トップページ  番組情報  情報WAVEかごしま  さつま狂句  2021年12月23日放送分

12月の兼題
「買物(けもん)」

  •      

    結婚といえ当初はな 買物けもんとっも 手をにぎ

    錦江町/三番サード・ナガノ さん

    結婚当初 買物の時も 手を握っ(といえはな けもんのとっも てをにぎっ) 錦江町/三番サード・ナガノ さん

    (結婚当初は買物をする時まで手を握っていた という意味)

    寿星 :今回の投句の中に、「買物より試食」という句がありましたが、やはり課題をメインに詠んでもらいたいと思います。 ところで、この欄では初登場の方ですが、ずいぶん慣れていらっしゃいまして、しかもユーモアという薩摩狂句の大事なところをおさえていらっしゃいます。
    キャスター:字を見たら意味もしっかり分かります。
    寿星 :普通は漢字が先にあってそれに振り仮名を付けます。ところが薩摩狂句では鹿児島弁としての「といえはな」に、鹿児島弁を知らない方が読んでも分かるようにその意味である「結婚当初」という漢字を後から当てたということになります。

    結婚といえ当初はな 買物けもんとっも 手をにぎ


     

    <唱> ほかんおきゃっの 邪魔じならんごっ
    (他のお客様の邪魔にならないように という意味)

    ところで、今もはどうなんですかね?追跡調査をしてみたいですが・・

  • 買物けもんかご 満杯がんぶいならな めん女房かか

    霧島市/堂脇 天進 さん

    買物籠 満杯いならな 止めん女房(けもんかご がんぶいならな やめんかか) 霧島市/堂脇 天進 さん

    (買物籠が一杯にならないと奥様は買物を止(や)めない という意味)

    寿星 :今回の投句には「買物袋」がメインの句がありました。これでは課題とは離れてしまいます。句作りに当たっては最初にそれをしっかりおさえて方向を誤らないことが大事です。この句は買物、それも今回発表された句の中では一番沢山の買物でした。大げさと思えるところで、狂句になりました。そしてこの「籠」は脇役です。
    キャスター:「満杯」を「がんぶい」というのですね。
    寿星 :語源はわかりません。大体は液体がこぼれるようなさま(・・)を言いますが、このような使い方も狂句ならではと感じさせてくれました。

    買物けもんかご 満杯がんぶいならな めん女房かか


    <唱> 冷蔵庫どま パンクをすいが
    (冷蔵庫には入りきれないのでは という意味)

    旦那さんは一言も注意は出来ないのですかね

  • 買物けもん カートんをば したがえっ

    姶良市/坂井 弘 さん

    婆ん買物 カートん爺をば 従えっ(ばんけもん カートんじをば したがえっ) 姶良市 坂井 弘

    (おじいさんのカートを後ろに付けて買物をしている という意味)

    寿星 :スーパーに買物に行きますとよく見かける光景です。今回の投句では「奥様の買物に付いて行って疲れた」という句が競合しました。 この句は文句も言わずに素直に付いて行っているところで狂句味が出てきました。
    キャスター:仲の良い夫婦のようですね。
    寿星 :買物の状況がしっかり想像されます。奥様は堂々と、御主人は背中を丸めて黙って付いて行っているのではないでしょうか。外に出るのは買物ぐらいしかないでしょうから、気晴らしも兼ねていいことですが。

     

    買物けもん カートんをば したがえっ


    <唱> たもいかち きないたい
    (何を食べたいかと、時には聞いたりしている という意味)

    現物を見ながら献立が出来ます

今月のポイント「字数の数え方」

薩摩狂句は17音字の定型詩です。音字の数え方を再度確認してみましょう。
よう音は2字で1字 (きゃ・きゅ・きょ)など
・促音は1字    (小さく書く「っ」)
はつ音は1字    (ん)
・長音は1字    (ボートなどの「―」)