トップページ  番組情報  情報WAVEかごしま  さつま狂句  2021年11月25日放送分

11月の兼題
「赤(あ)け」

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    西空にしぞらん けおさんに 御礼ごれをしっ

    日置市/馬場 充 さん

    西空ん 赤けお日様に 御礼をしっ(にしぞらん あけおひさんに ごれをしっ) 日置市/馬場 充 さん

    (沈む夕日に今日もありがとうとお礼を言った という意味)

    寿星 :薩摩狂句は人を詠まなければなりません。似たような句が他にもありましたが、「夕日が沈む」だけでは狂句とはいえません。この句のように人を絡ませてこそ薩摩狂句として景色も生きてきます。
    キャスター:情景も浮かんでくるようですね。
    寿星 :まさに西海岸なればの景色でしょう。「串木野さのさ」の文句に「朝日をおがむ人あれど、夕日をおがむ人はない」がありますが、作者は朝も夕も拝んでいらっしゃるのでしょう。句は人柄を表すとも言いますが、それが伺えるようです。

    西空にしぞらん けおさんに 御礼ごれをしっ


     

    <唱> 今日きゅ一日ひしてをば 無事じ過ごせたち
    (今日一日を無事に過ごせたことに感謝だ という意味)

    間違いなくきっといい明日が訪れるでしょう

  • 神様かんさあが こぼさった け絵の具

    鹿児島市/仁禮 京子 さん

    神様が 山め零さった 赤け絵の具(かんさあが やめこぼさった あけえのぐ) 鹿児島市 仁禮 京子

    (神様が赤絵の具を零したような山々の紅葉だ という意味)

    寿星 :「秋の夕日に照る山もみじ 濃いもうすいも・・」そのものです。この句は余計な説明をしないで、秋の景色を課題どおりに描いてくれました。これ以上ないように擬人法がしっかり決まっております。ぼそっとつぶやいているような表現がまた良いですね。
    キャスター:丁度今の時期ですね。
    寿星 :狂句をする人は短歌や俳句も勉強すべきだと、先達から言われたことがありましたが、いろいろされていらっしゃるのかもしれません。そこまで伺える句です。

    神様かんさあが こぼさった け絵の具


    <唱> 霧島きりいまあたい 沢山使ずんばいつこっ
    (霧島辺りに沢山零(こぼ)したのでしょう という意味)

    旅心を誘います

  • うすしょい 夕日が桜島しまを めっ

    鹿児島市/中野 大八 さん

    薄化粧い 夕日が桜島を 赤こ染めっ(うすげしょい ゆうひがしまを あこそめっ) 鹿児島市 中野 大八

    (桜島が薄化粧をしているように夕日が赤く染めている という意味)

    寿星 :この句から私は鹿児島出身の北村維章(きたむらこれあき)作曲のタンゴ「夕映え」を思うことでした。ここにうたわれている景色から名曲が生まれたのだそうです。ところで過去の名句に「拝(おが)まれっ 桜島(しま)も初日い 頬(ふ)を染(そ)めっ(拝まれた桜島が初日に頬を染めている)」というのがありました。朝日と夕日の違いはありますが共に桜島にしっかり色付けされた句です。夕焼けの桜島は言葉にはできない、絵にも描けない美しさがあります。時期的にも空気の澄んだ今頃が一番です。

     

    うすしょい 夕日が桜島しまを めっ


    <唱> あか富士じ負けん ほこるいしっ
    (富士山の赤富士にも負けないような誇れる景色だ という意味)

    毎日、心の洗濯をしてくれます

今月のポイント「投句には句の説明は書かない」

投句の中に句の説明を書いている方がみられます。説明を書かなければ選者にわかってもらえない句は推敲不足と言えましょう。あくまでも5・7・5の17音字だけで勝負しましょう。