荒井 匡 - あらい ただし

更新履歴

アナウンサー・キャスターだよりトップへ
アナウンサー・キャスター紹介
2021年6月3日(木)

久しぶりの高校野球実況


写真1

懐かしい、NHK旗のパンフレット。20年ぶりに手にしました。
NHK旗とは夏の大会を前にした最後の公式戦、NHK旗争奪鹿児島県選抜高校野球大会です。
今年は5月15日~30日の予定で試合が行われることになりました。
その中で、私は準決勝、第一試合のラジオを実況することになりました。
実況するのは5,6年ぶり。かなりさび付いた能力を使わなくてはなりません。
さび取りが間に合うか!いや間に合わせなければなりません。
準決勝の予定は5月29日。そこまでに仕上げなければ。
そこで、まずは平和リース球場で行われている試合を探しました。


写真1

大学野球が予定されているではありませんか!そこで、休みを使って腕試し。
「ピッチャー投げました。打ちました・・・うーん」
言葉が出てこない。左中間と言う言葉がすぐに出てこない。
引き続き、実況!
「ピッチャー投げました。打ちました、ライトフライ」違う!レフトフライだ!
レフトをライトと基礎的な間違いを繰り返す自分に落胆です。
このままでは本番に臨めない。高校球児に失礼だ、リスナーに失礼だ。
そこで、毎週土日を使い球場に足を運びました。


5月15日、NHK旗開幕の日でしたが、その日は大雨。雨天順延で試合は16日に!
雨は上がり、開幕です。放送まで時間は限られている。
とにかく、徹底的に、打球を追いました。
「打った!センターフライ」「打ちました!三遊間の勢いのあるゴロ」
「打った!強烈な左中間のライナー。センターレフトが追います。抜けました!長打コース」など、打球の性質、方向を間違いなく、しかもラジオの前の人がイメージできるように表現に気をつけて練習しました。
ただ、三試合実況し続けると、さすがに口も疲れる、のども痛くなる。それでも時間はあまりありません。


次の日も球場へ足を運びました。
今大会は、雨のため試合が順延となり、スケジュールが変更されるなど、なかなか練習できない環境でしたが、それでも、練習を重ねていくと、体が覚えていくんですね。
しかも、投球や打球をきちんと伝えられるようになると自然と実況にリズムが出てきて、自分でも実況が楽しくなっているのが分かりました。


写真1


さあ、いよいよ準決勝。天気にも恵まれました。
試合は第一シードの鹿児島実業とノーシードから勝ち上がった鹿児島城西の対戦です。
11時5分にプレイボール。球場には、守備の選手を伝える場内アナウンスの声。一心不乱にボールを追う球児たち。強烈な打球音が響き、一喜一憂する選手やスタンド。懐かしさを感じながら、自分の中に熱くなるものがあることに気がつきます。
そうだ、20年以上前はこの野球実況をアナウンスの生業にしようとしていたんだ。そのため、この球場に何度も足を運び、朝から晩まで実況の練習をしていた。高校球児が甲子園を目指して、何時間も泥だらけになって練習しているのと同じです。その後、スポーツアナウンサーの道から外れましたが、新たな道を見つけてあれから20年。
アナウンサーとしての原点を思い出しました。そして、あのときのような実況能力には及びませんでしたが、肩の力が抜けて楽しく実況できている今に、その後の経験の重みを改めて感じました。


アナウンサー・
キャスター一覧