一次審査通過作品の紹介[予告編] (2013年)

一次審査通過作品の紹介(予告編)

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Hatsumi - One Grandmother's Journey Through the Japanese Canadian Internment

  • Entering organization:Walking Through Pictures Productions Inc.
  • カナダ
  • TV /Film/Video

ハツミという一人の女性を通して日系カナダ人女性の人生を紹介する。第二次世界大戦中、カナダ政府は、日系カナダ人を「敵性外国人」に分類することを決定し、財産を没収の上、強制的に収容した。このためハツミの人生は、取り返しがつかないほどの変化を余儀なくされた。
クリス・ホープはナンシー・ハツミ・大蔵の孫である。クリスはナンシーに、カナダを縦断し、彼女が抑留を経験した場所へ行こうともちかけた。彼女が「仕方がない」という感情を克服して、今まで語られることのなかった収容生活について語ってくれることを願ったのだ。異世代間・異文化間の交流を通して、クリスは抑留生活のショッキングな詳細を学び、彼の祖父が残した収容所の膨大な写真資料の中に、祖父が撮った写真が含まれていることを知る。祖父は大きな危険を冒して、こっそりと持ち込んだ違法カメラで、それらの写真を撮影したのだ。映画制作過程において、クリスは日本に大叔父がいることを知り、ナンシーが兄弟と再会を果たせるよう、初めて日本に行く。
映画制作におけるクリスのねらいは、強制収容について、一人称の目線から見た記述を行うことである。教育関係者はこれを利用して、将来の世代を担う生徒たちに、カナダの歴史におけるこの不幸かつ重大な出来事を、生々しく伝えることができるだろう。教育的役割のみならず、異世代をつなぐ「ロード・ムービー」ハツミは、人間精神の普遍的な強さの証明、祖父母と孫たちをつなぐ強い家族愛の証として、成功を収めている。

Alphee of the Stars

  • Entering organization:National Film Board of Canada (NFB)
  • カナダ
  • TV /Film/Video

主人公Alpheeにはまれな遺伝子障害があり、発達の妨げとなっている。彼女は力いっぱい戦ってきたが、未だ医学への挑戦を続けている。その姿は、まるで愛で満たされた奇跡のようである。彼女の両親は直感に従って、彼女を特殊学級に入れることはせず、一年間スイスのアルプスへ移り住むことにした。彼女の父親であり、映画監督であるHugo Latulippeは、普通学級に転入させられればという期待を胸に、この時期を利用して、まるで妖精のような娘の学習に集中する。この映画は、父から娘へ当てた、感動の親子愛の表現である。同時に、ギャンブルの物語でもある。一年間ひっそりと身を隠し、人生の流れに対抗して、これを変えようというのだ。
見かけは魔力を持っているかのような、かなり変わった女の子に焦点を合わせることで、彼は、うわべに惑わされないようにと呼びかけている。同時にLatulippeは、人間にとっていかに学校教育が重要であるか、あらゆる子どもが平等に機会を与えられる学校というものがいかに大事であるか、という信念を表明している。優しく辛抱強い視線を通して、本作品は我々の思い込みに挑戦し、追われるような毎日の中で見失ってしまったのかもしれない未知の世界を明らかにしてみせる。
本作品は、障害や病気によって、身体的・神経的発達が阻害されている子どもたちが、普通学級に入ることについての教育的議論・論争に、一石を投じている。監督は、自らの子どもの持つ才能を伸ばすための新しいアプローチを紹介している。これは、同じ教室で学ぶ子ども全員にとっても、のちのち有益なものとなるであろう。

SAND WARS

  • Entering organization:ARTE France
  • フランス
  • TV /Film/Video

21世紀末までには、砂浜は過去の遺物となるだろう。そう警告する科学者や環境団体の数は増え続けている。砂は現代経済における必需品だ。歯磨き粉にも、洗剤にも、化粧品にも使われているし、コンピューターもモバイルも砂なしでは存在し得ない。我々の住む家、高層ビル、橋、空港も基本的には砂からできている。砂は水に次いで、地球上最も消費されている自然資源なのである。新興国経済と増加の一途をたどる都市化のあおりを受けて、世界的な建設ブームが進み、地中及び海中から砂が絶え間なく抽出され、環境破壊を引き起こしている。本作品では、新たなゴールドラッシュの渦中にある各国の土建業者、砂の密輸業者、無節操な不動産開発業者を追い、環境保護者や地域住民に会いに行く。あって当たり前だと思われているこの自然資源の未来が、脅かされている。この状況をなんとか変えようと、彼らは戦っているのだ。

The Adventure of MuMo, the mobile museum

  • Entering organization:APRES Production
  • フランス
  • TV /Film/Video

MuMoは、L'art áが設立した移動美術館で、特製の長距離トラックに作りつけられた移動美術館を通じて、現代美術に対する子どもたちの関心を高めようというものだ。
目的地に到着すると、コンテナの扉が開き、美術館に変身する。美術館は三つのスペースに分かれていて、子どもたちを、絵画・彫刻・インスタレーション・写真・ビデオ・デザインなど、それぞれ異なった世界へと誘う。James Turrell、Ghada Amer、Daniel Buren、Yong Ping Huang、Pierre Huygue、Paul McCarthy、Nari Ward、Lawrence Weiner、Cherry Samba、Maurizio Cattelan、Jim Lambie、Roman Signerを始めとする、特徴あるアーティストが、移動美術館のために特別に制作したアートワークを提供している。

The Kamaishi Miracle

  • Entering organization:Japan Broadcasting Corporation (NHK)
  • 日本
  • TV /Film/Video

東日本大震災により、巨大津波が釜石の街を襲ったとき、驚くべきことが起こった。これは後に「釜石の奇跡」と呼ばれることになる。津波が到来したとき、子どもたちは学校や大人の目の届かないところにいたが、地元小学校の児童184人全員が無事だったのだ。彼らは持てる知識を総動員して、小さな子の手を引き、大人には避難を呼びかけて、各自安全な場所へとそれぞれ避難したのだ。彼らの勇気ある、判断力に満ちた決断は、多くの命を救った。
群馬大学教授片田敏孝氏は、釜石市の防災アドバイザーとして勤務、子どもたちに「生き残るための3つのルール」を教えてきた。これが奇跡につながったのだ。片田氏の唱える3つのルールはどのように実行されたのか?このドキュメンタリーでは、アニメーションとインタビューを通じて、子どもたちの軌跡を追い、将来の防災に備えるためのヒントを示している。

Poem of Death

  • Entering organization:NTR
  • オランダ
  • TV /Film/Video

アムステルダムだけでも、年間平均15名の死亡者の告別式が、だれも人が来ないまま挙げられる。名もなき人々もいるし名前の判明している人もいるが、共通していることは一つ、埋葬あるいは火葬に付されるときには、友人も家族もいないということだ。
詩人F.Starikを中心とするオランダの詩人グループ—中にはMenno WigmanやMaria Barnasもいる—は、「死者のための共同基金」を結成する。彼らは、特別に書き上げた詩を読み、墓地まで孤独な死人に付き添っていく。本作品では、この「孤独な葬儀」の過程を追っていく。我々は市役所の役人たちが厳粛な式を挙げ、葬儀屋の人がどのように死体と棺を扱うのか、そして詩人たちが墓地での朗読に向けてどんな準備するのかを見ていく。亡くなった人が、孤独な環境でどんなふうに命を終えたのか、知る術はほとどない。それが故意によるものか、状況のためなのかは不明だが、おそらくだれも知ることはないだろう。だから詩人たちは、解釈や創作を余儀なくされる。

映像による回想形式をとった本作品は、ある人の死から埋葬への道筋に焦点を当てることにより、生前はだれに知られることもなく生活していたのが、死後はだれかの記憶に残される、という一人の人間の人生が経験しうる理解を超えた転換点について、我々の理解を深めてくれる。

Inocente

  • Entering organization:Shine Global, Inc
  • アメリカ
  • TV /Film/Video

アカデミー賞を受賞した『Inocente』は、15歳の少女の感動の成長物語である。映画と同名の少女は、カリフォルニアに住んでいる。ホームレスの上に、不法移民でもある。アーティストになろうという夢をあきらめず、もって生まれた才能ではなく、夢が自分というものを作り上げているのだということを証明している。彼女自身の言葉で物語は進んでいくが、人生の転換期にいる彼女は、生まれて初めて、自分の運命は自分で決めると決心をする。ようやく彼女の才能は認められる。もし期間内に作品をモノにできれば、初めての展覧会を開くチャンスを手にすることができ、夢の実現に向けて大きく一歩を踏み出せるのだ。本作品は、アートが持つ変容の力について語る、時を超えたストーリーでもあり、アメリカのホームレスを構成する新しい要素−子ども−を撮った一瞬のスナップショットでもある。
賞賛を持って迎えられた本作品の制作者たちは、この問題について、若者を対象にした啓発活動を立ち上げた。我々は、教師が授業で利用できるよう、7年生から12年生向けの基礎カリキュラム、及び大学レベル向けに白書とパワーポイント資料を、無償で提供するキャンペーンを始めた。また、HotDocs カナダ国際ドキュメンタリー映画祭の学校向けプログラムとの作業により、カナダの教育基準に合わせた別の学習ガイドも作成した。加えて、美術関係団体や美術館との提携を結び、アートワークショップの手引きも作成した。これは、作品中でざん新な手法で描かれているように、若者たちが自身を表現する際に遭遇する様々な問題を考察する手がかりとなるであろう。

Justice for my Sister

  • Entering organization:ARTEVISTA FILMS
  • アメリカ
  • TV /Film/Video

本作品は数々の賞を受けたドキュメンタリーであり、「ダビデとゴリアテ」的な物語である。グアテマラのRebecaは、姉妹Adelaを殺した犯人を捕まえ、法廷での裁きを受けさせようと決心する。近親殺し(女性殺し)が頻発するこの国で、Rebecaは反対、汚職、偏見にもひるまず、正義を追及する。
ある日、27歳のAdelaは家を出て仕事へと向った。しかし彼女が帰ることはなかった。元の恋人に見分けがつかないほど殴られた姿で、道路わきで見つかったのだ。過去10年で、グアテマラでは6千人以上の女性が殺され、うち2パーセントのみの犯人が司法の裁きを受けている。メディアのあおりにより、世論は、犠牲者が「そう望んだのかもしれない」と考えている。Adelaの姉妹、Rebecaはグアテマラの悪名高き汚職まみれの司法制度に対し、勇敢に立ち上がった。彼女の3年にも及ぶ戦いは、つまずきの連続である。紛失した記録、自身が妻殺しで訴えられる裁判官、怖がって証言をしない証人。大きな変化を遂げたRebecaは、地元コミュニティのリーダーとして立ち上がり、「正義は実現可能だ」というメッセージを伝える。
様々な形で女性が犠牲となっている暴力問題について、観客の目を向けることが本作品のねらいである。長いこと口にされることのなかった問題に、我々は人間的な側面を与えた。そして沈黙を突き破るために、例えば若い男性のような思いもしないような協力者たちに立ち上がる勇気を、暴力の犠牲者たちに強さを持つよう、呼びかけている。

Little Children Big Challenges

  • Entering organization:Sesame Workshop
  • アメリカ
  • TV /Film/Video

過去20年で、刑務所に収監されている親を持つ子どもの数は8割近く増加した。ほぼ270万人の子どもの親が、合衆国あるいは州政府の刑務所にいるが、人生を一変させるような状況にいる子どもたちや家族をサポートするリソースは、ほとんどない。これに答えるため、セサミストリートを制作する非営利教育団体セサミワークショップが、最新の、二ヶ国語(英語・スペイン語)による番組構想を明らかにした。これは、収監されている親を持つ幼児(3−8歳)の家庭向け、『Little Children, Big Challenges: Incarceration』という名の番組である。こういった状況にある家族にリーチする団体・パートナー・個人が、地域の販売店を通してのみ、リソースの配布を行う。コンテンツは、物理的配信(DVDキット)とデジタル配信の両方が行われた。全てのセサミワークショップ制作コンテンツ同様、この社会活動も、形成的評価から始まった。形成的評価には、次のものが含まれる。子どもの発達・幼少期・精神衛生分野における、著名な専門家からなる助言機関のコンサルティング。更にコンテンツメッセージや目標を引き出し、明確にするための、専門家と実際の家族との共同作業である。

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