イベント

Japan Prize 2022
 イベント&授賞式

11月1日(火)

午後5時30分~6時15分

公共放送 生き残りをかけたデジタル戦略

公共メディアを担う制作者も、時代の変化を見極めながら、放送以外のメディアの活用法を模索している。このセッションでは、アメリカ、ドイツ、日本の公共放送の制作者が、今取り組んでいるデジタルコンテンツを紹介し、技術と工夫がもたらす可能性を探った。

WNETグループが紹介したのは、1300万回以上の再生を誇るアクセシブルゲーム。障害を問わず参加でき、自分たちのニーズに合わせゲームをカスタマイズできることが魅力となっている。他にも、若者が自国の歴史を学ぶゲームなど、子どもや若者の想像力を掻き立てて学習を促すコンテンツを目指しているとした。

ZDFは、デイリーニュースをTikTokに展開する試みや、大人気ゲーム「マインクラフト」をベースにしたクイズゲームの開発話を披露。子どもたちが時間を過ごしている場所に、公共メディアが乗り出していくべきだとの考えのもと、テレビをこえ、さまざまなプラットフォーム上で実験をしていると述べた。

NHKは、子どもたち自身が主体的に関わることができる教材の例として、昆虫や絵画の画像を自在に拡大し、さまざまな角度で観察できるデジタル教材を紹介。デジタル教材は、実物の観察では気付かない視点を与えてくれる利点があり、リアルな経験と併用することでより学びが深まると述べた。

三者とも、デジタルメディアの功だけでなく罪も認めた上で、子どもだけでなく、保護者、教師に向けたメディアリテラシーにも力を入れているとまとめた。

ミシェル・チェン
モデレーター

ミシェル・チェン

WNETグループ キッズメディア&教育 シニア・プロデューサー

アメリカ

WNET(米国ニューヨーク市の公共放送局)キッズメディア&教育部門シニア・プロデューサー。
2004年以降、公共テレビおよびデジタル・プラットフォーム向けのコンテンツを制作している。PBS KIDS(子供向け公共放送サービス)の『Cyberchase(サイバーチェイス)』シリーズおよびマルチプラットフォーム・プロジェクト『Get the Math(わかる数学)』でエミー賞を受賞。
画期的な教育的ゲーム・シリーズ『Mission US(ミッションUS)』は、日本賞のデジタルメディア部門最優秀賞およびゲームズ・フォー・チェンジ賞の最も影響力のあるゲーム部門を獲得。その他、Z世代教育・メディアキャンペーン「Youth Collective(若者の声)」、PBS KIDSのビデオおよびゲームシリーズ『Oh Noah!(ノア!)』、教育者向けの職能開発シリーズなどのプロジェクトに参画。

イエンス・リプケ・デサウルス
スピーカー

イエンス・リプケ・デサウルス

ドイツ放送協会(ZDF)子ども・青少年向けドラマ部長

ドイツ

2020年5月よりドイツ放送協会(ZDF)の子ども・青少年向けドラマ部長。1996年にライター兼エディターとして活動を開始。手がけた作品の多くが、グリム賞や、プリジュネス子ども映像祭、シカゴ国際児童映画祭などで賞を獲得している。ドイツ・オランダのジャーナリスト国際交流プログラムIJPに参加し、ジュネーブの欧州放送連合(EBU)に2年間務めた後、2019年ZDFに復帰。ドラマ部門の統括として、公共放送およびウェブサービス向けに、数多くの実写およびアニメーション作品の委託制作や共同制作を行っている。

大本 秀一
スピーカー

大本 秀一

日本放送協会(NHK)第1制作センター 教育・次世代 教育デジタル統括プロデューサー

日本

1997年、NHK入局。福岡局、大分局、大阪局などを経て、本部で学校向け教育番組をディレクターとして制作。プロデューサーになってからは、学校向け教育番組のポータルサイト『NHK for School』編集長を担当。今年度は大人向けの新たな教育サイト『NHKラーニング』が立ち上がり、その編集長に就任。

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