グランプリ日本賞

第45回日本賞 優秀作品

グランプリ日本賞
マイ・ライフ
ビデオブログが私の人生
機関名 ブレイクウェイ・ノース
国/地域名 イギリス
メディア テレビ
(ジャクリーヌ・ヒョンワニー)

「日本賞」の最終選考に残ったのは、なんらかの賞に輝く価値があるすばらしい作品ばかりでしたが、最高の栄誉、つまりグランプリ日本賞にふさわしい作品がひとつありました。各カテゴリーの最優秀賞の中から選ばれたのは、10代の少女の類まれな人生を追ったドキュメンタリーです。ニッキーの生きることへの情熱と喜びはとどまるところを知りません。ニッキーはこの番組を通して、自らにつきつけられた数多くの試練と、病気がもたらす困難にもかかわらず力強く前に進む姿を私たちに見せてくれます。


私たちは、顔面の変形をともなうAVM(動静脈奇形)という命にも関わる病気について学び、その上で、人生の意味を決めるのは健康状態ではなく、心のあり方と毎日をどう生きるかなのだということを知ります。ニッキーはごく普通のティーンエイジャーですが、並外れた才能の持ち主です。ケーキ作りもそのひとつ。審査委員たちは彼女のキャラクター、カリスマ性、勇気、リーダーシップにすっかり魅了されてしまいました。


人生に困難はつきものです。「マイ・ライフ ビデオブログが私の人生」を観ると、外側だけではなく、内面をしっかりと見て、充実した人生とはどういうものなのかを深く掘り下げようという気持ちが湧いてきます。その意味で教育コンテンツの水準を引き上げた作品です。

(サラ・マーチ)

クランプリ日本賞をいただき、この上なく光栄に感じています。ニッキーが彼女の物語を番組にすることを許可してくれたときの嬉しさに匹敵します。


番組制作は終始一貫してニッキーとの共同作業で進められました。どのようなアプローチでこのドキュメンタリーを制作すべきかについて、ニッキーのアイデアに耳を傾けることが不可欠でした。ニッキーの行動を追った映像と彼女自身のビデオブログ、さらに彼女のプライベートな日記を用いることで、ニッキーの番組制作への当事者意識を高め、また、彼女の人生をありのままに、かつ詳細に洞察できるようにしました。


この作品の焦点はニッキーの病状だけではありませんが、病状が彼女の体験を形成しているのも事実です。そのため、ニッキーがときおり「外見で判断されているな」と感じるときの気持ちを理解することも大切でした。


何が普通で、何が完璧で、何が美しいのか。それらに関する子どもたちの理解がソーシャルメディアによって狭められることが多くなっています。そんな時代にニッキーがSNSを通してこれらの基準に異を唱えることはきわめて重要です。子どもが7歳になるまでに外見的な違いに触れると、それがあたりまえなものとして認識されるようになることを示す研究があります。放送に関わるものとして、プロデューサーとして、多様性を示し、何が「ノーマル」であるかについて常に挑戦してゆくのが私たちの責任であると信じています。

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