特別賞＜国際交流基金理事長賞＞

「シルクロードの子どもたち 宙を舞う少女」は、端正に仕上げられたドキュメンタリーシリーズのエピソードのひとつです。シリーズは、5か国の子どもたちを訪ね彼らの試練や苦悩や成功の喜びを通してそれぞれの人生を映し出します。このエピソードの主人公、11歳のモンゴル人少女エルデンチメグは、自らと家族が貧困から抜けだせるよう曲芸師になって名をあげようと心に決めています。作品には、政府宮殿前のスフバートル広場で行われる名誉ある公演のステージに立つことを切望する彼女が、熱心に曲芸クラスに通い、片手倒立をマスターしようと奮闘する姿が描かれています。この世界には多くの若者たちがさらされている厳しい現実の数々があります。それらの現実に対する理解と認識を深めてくれるドキュメンタリーです。私たちは審査委員として、エルデンチメグが静かに燃やす闘志、彼女の自制心、決意の固さ、そして将来を見据える目に惹きこまれました。