
(ケズ・マルグリー)
教育者として、物語を伝える側として、今現在の役割はどうあるべきか、私たちは議論を重ねました。思いやりと他者を受け入れる心の大切さを、子供たちが理解する手助けとなる。世界中で偏見や憎悪が増大しているような時ほど、その重要性が高まることはないと感じました。2つの優秀作品も、これをうまく伝えていました。「はじめてのドキュメンタリー」を幼児向けカテゴリーの最優秀作品に選んだのは、非常に美しいストーリーが、幼児である視聴者にとって適切なテンポで語られているからです。子どもたちは、双子のジュリアとソフィーの世界へ手を取るように誘われます。ジュリアが補聴器を外してプールに入るシーンでの巧みな音響効果、カメラは常に双子の目線にあり、姉妹を中心に物語が展開します。ほんの数分の間だけ、私たちは2人の友だちとなるのです。一見シンプルな作品が私たちの心を捉え、子ども向けメディアにはもしかして、世界を変える力がまだあるのではいか、そんな希望を与えてくれました。