(モニーク・ポッツ)
青少年カテゴリーの一次審査通過作品群は、世界各地にいる若者たちの成長過程にどのような変化があるのか、いままでにない見方を示してくれました。世界が近くなり複雑化していく現代において、若者でいること、ときに無意味と思いながらも世界を理解しようとすることは容易ではありません。難しい審査でしたが、討議を重ね、フランスのジャバ・フィルムからエントリーされた「炭鉱の子どもたち」を青少年向けカテゴリー最優秀賞に選びました。貧困、いじめ、ホモフォビアとどのように向き合ったのか、若者の生の声を通して語られる彼ら自身のストーリーは、とりわけ印象的で引きつけられました。このドキュメンタリーは、葛藤、痛みや苦悩を正面からとらえているだけではありません。困難を乗り越えて気丈に将来と向き合う決心をした主人公に対して、未来への希望の扉を開いているのです。
「日本賞」での受賞は、人々の物語が普遍であることを意味しています。そのことは私たちにとって大きな励みです。