過去の受賞番組
第27回コンクール東京都知事賞受賞番組
未来への教室
「ワリス・ディリ− タブーに挑むスーパーモデル」

参加機関: 日本放送協会(日本)
部門: 教育ジャーナル
【番組の内容】
 さまざまな分野の第一線で活躍する国際的な著名人が、彼らの経験や知恵を若い人々に伝える特別な授業(課外授業)を行うシリーズ。
 この番組では、スーパーモデルで、人権活動家でもあるワリス・ディリーがニューヨーク市のハーレムにある高校を訪れる。高校生を前に彼女は、アフリカの遊牧民ソマリ族の出身であることや、望まない結婚から逃れるために家出をしたことなどを語りながら、もっとも重要な話題、今でもアフリカの多くの地域で行われている慣習"性器切除(FGM)"へと話しを進める。
 ショックで黙り込んでいた生徒たちは次第に質問を始め、授業の後、町に出てインタービューをするが、アフリカ系の人たちも含めてこの問題については口を閉ざす。ワリスが特別大使をしている国連人口基金を訪れた後、二回目の授業でワリスと生徒たちは再び討論を重ねる。FGMは根絶されるべきか、それとも自分たちのとは異なる文化を尊重すべきか。両親がFGMをさせるかどうかを決めるべきか。生徒たちはFGMについてオープンに話し合い、次第に意見をはっきりと述べるようになる。

【審査委員の講評】
 "教師"であるワリス・ディリーが何より魅力的であり、リクエストに答えて行ったハーレムの高校生への"課外授業"は非常に説得力をもっている。市場でアフリカ系の女性たちが示した拒絶反応がこの問題の難しさを伝えている。女性差別という、重要でかつジャーナリスティックな社会問題をどのように教えるか、この番組は教育の一つの有効な方法を示している。アフリカとアメリカの共通する差別という問題を巧みに結びつけており、多くの教育的な効果が期待できる。
 単純で明快なメッセージを、率直かつ細心の注意をもって扱っており、インパクトの強い番組である。