経営に関する情報

日本放送協会番組基準

国内番組基準

制定 昭和34年7月21日
改正 平成 7年9月26日
平成10年5月26日

 日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさなければならない。
 この自覚に基づき、日本放送協会は、その放送において、

  • 1 世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する
  • 2 基本的人権を尊重し、民主主義精神の徹底を図る
  • 3 教養、情操、道徳による人格の向上を図り、合理的精神を養うのに役立つようにする
  • 4 わが国の過去のすぐれた文化の保存と新しい文化の育成・普及に貢献する
  • 5 公共放送としての権威と品位を保ち、公衆の期待と要望にそう

ものであることを基本原則として、ここに、国内放送の放送番組の編集の基準を定める。

 第1章 放送番組一般の基準

 第1項 人権・人格・名誉

  • 1 人権を守り、人格を尊重する。
  • 2 個人や団体の名誉を傷つけたり、信用をそこなうような放送はしない。
  • 3 職業を差別的に取り扱わない。

 第2項 人種・民族・国際関係

  • 1 人種的、民族的偏見を持たせるような放送はしない。
  • 2 国際親善を妨げるような放送はしない。

 第3項 宗教

宗教に関する放送は、信仰の自由を尊重し、公正に取り扱う。

 第4項 政治・経済

  • 1 政治上の諸問題は、公正に取り扱う。
  • 2 公職選挙法に基づく政見放送および経歴放送については、法律に従って実施する。
  • 3 経済上の諸問題で、一般に重大な影響を与えるおそれのあるものについては、特に慎重を期する。

 第5項 論争・裁判

  • 1 意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。
  • 2 現在、裁判にかかっている事件については、正しい法的措置を妨げるような取り扱いをしない。

 第6項 社会生活

  • 1 国民生活を安らかにすることにつとめ、また、相互扶助の精神を高めるようにする。
  • 2 公安および公益をみだすような放送はしない。
  • 3 暴力行為は、どのような場合にも是認しない。

 第7項 地域文化

地域の多様性を尊重し、地域文化の創造に役立つ放送を行う。

 第8項 家庭

結婚はまじめに取り扱い、家庭生活を尊重する。

 第9項 風俗

  • 1 人命を軽視したり、自殺を賛美したりしない。
  • 2 性に関する問題は、まじめに、品位を失わないように取り扱う。
  • 3 不健全な男女関係を魅力的に取り扱ったり、肯定するような表現はしない。

 第10項 犯罪

  • 1 犯罪については、法律を尊重し、犯人を魅力的に表現したり、犯罪行為を是認するような取り扱いはしない。
  • 2 犯罪の手段や経過などについては、必要以上に詳細な描写をしない。
  • 3 とばくまたはそれに類似の行為を是認したり、魅力ある行為として描写したりしない。
  • 4 医療以外の麻薬の使用は、悪癖としてのほかは取り上げない。

 第11項 表現

  • 1 わかりやすい表現を用い、正しいことばの普及につとめる。
  • 2 放送のことばは、原則として、共通語によるものとし、必要により方言を用いる。
  • 3 下品なことばづかいはできるだけ避け、また、卑わいなことばや動作による表現はしない。
  • 4 人心に恐怖や不安または不快の念を起こさせるような表現はしない。
  • 5 残虐な行為や肉体の苦痛を詳細に描写したり、誇大に暗示したりしない。
  • 6 通常知覚できない技法で、潜在意識に働きかける表現はしない。
  • 7 アニメーション等の映像手法による身体への影響に配慮する。
  • 8 放送の内容や表現については、受信者の生活時間との関係を十分に考慮する。
  • 9 ニュース、臨時ニュース、公示事項、気象通報などの放送形式を劇中の効果などに用いるときは、事実と混同されることのないように慎重に取り扱う。

 第12項 広告

  • 1 営業広告または売名的宣伝を目的とする放送は、いっさい行わない。
  • 2 放送中に、特定の団体名または個人名あるいは職業、商号および商品名が含まれる場合は、それが、その放送の本質的要素であるかどうか、または演出上やむをえないものかどうかを公正に判断して、その取り扱いを決定する。

 第13項 懸賞

  • 1 報酬や賞品だけで受信者をひきつけたり、必要以上に射幸心を刺激することのないようにする。
  • 2 懸賞番組については、応募者または参加者のすべてが、公正な審査により、技能に応じて賞が受けられるように配慮する。
  • 3 作品の募集にあたっては、その優劣を判断する基準と賞品の内容とを明らかに公表する。

 第14項 訂正

放送が事実と相違していることが明らかになったときは、すみやかに取り消し、または訂正する。

 第2章 各種放送番組の基準

 第1項 教養番組

  • 1 一般的教養の向上を図り、文化水準を高めることを旨とする。
  • 2 大多数の要望ばかりでなく、あらゆる階層の要望も満たすようにつとめる。
  • 3 社会的関心を高め、また、生活文化についての知識を深めるようにつとめる。
  • 4 学術研究の発表その他専門にわたる放送に関しては、その学術上の権威と重要性を尊重し、取り扱いは、一般に認められている倫理と専門的な標準に従う。

 第2項 教育番組

  • 1 放送の対象を明確にし、番組の内容がその対象にとって、有益適切であるようにつとめる。
  • 2 教育効果を高めるため、組織的かつ継続的であるようにする。
  • 3 放送を通じて、教育の機会均等のために努力する。

 第3項 学校放送番組

  • 1 学校教育の基本方針に基づいて実施し、放送でなくては与えられない学習効果をあげるようにつとめる。
  • 2 各学年の生徒の学習態度や心身の発達段階に応ずるように配慮する。
  • 3 教師の学習指導法などの改善・向上に寄与するようにつとめる。

 第4項 児童向け番組

  • 1 児童に与える影響を考慮し、豊かな情操と健全な精神を養うようにつとめる。
  • 2 児童がまねることによって害になる放送や児童に主旨が誤解されやすい放送はしない。
  • 3 児童に異常な恐怖を与えるような表現はしない。
  • 4 児童に害を与える迷信は、取り扱わない。

 第5項 報道番組

  • 1 言論の自由を維持し、真実を報道する。
  • 2 ニュースは、事実を客観的に取り扱い、ゆがめたり、隠したり、また、せん動的な表現はしない。
  • 3 ニュースの中に特定の意見をはさむときは、事実と意見とが明らかに区別されるように表現する。
  • 4 災害などの緊急事態に際しては、すすんで情報を提供して、人命を守り、災害の予防と拡大防止に寄与するようにつとめる。
  • 5 ニュース解説または論評は、ニュースと明確に区別されるように取り扱う。

 第6項 スポーツ番組

  • 1 健全なスポーツ精神のかん養と体位の向上に役立つようにつとめる。
  • 2 アマチュアスポーツの取り扱いは、その目的と精神を尊重し、特に少年選手については慎重にする。

 第7項 芸能番組

  • 1 すぐれた芸能を取り上げ、情操を豊かにするようにつとめる。
  • 2 古典芸能の保存と各種の芸能の育成に役立つようにつとめる。
  • 3 放送の特性を生かした新しい芸術分野を開拓する。
  • 4 芸術作品の放送については、その芸術性を尊重し、取り扱いは、良識に基づいて慎重に行う。

 第8項 娯楽番組

  • 1 家庭を明るくし、生活内容を豊かにするような健全な娯楽を提供する。
  • 2 身体的欠陥などにふれなければならないときは、特に慎重に取り扱う。
  • 3 方言や地方特有の風俗を扱うときは、その地方の人々に反感や不快の念を与えないように配慮する。

付則
この基準は1998年5月26日から施行する。

「日本放送協会国内番組基準」の一部変更について

 NHKは、1998年5月26日、「日本放送協会国内番組基準」の一部を変更しました。
 放送法に基づいて制定された「日本放送協会国内番組基準」は、NHKの放送に関する規範を示したもので、いわば放送番組を制作するときの憲法とも言えるものです。

 NHKは、1997年12月に起こったアニメーション問題の再発防止と、放送に対する皆様の信頼を維持し続けるため、今後の番組制作にあたっては、アニメーション等の映像手法による身体への影響に一層配慮する必要があるとの判断から、「日本放送協会国内番組基準」第1章第11項「表現」のなかに、「アニメーション等の映像手法による身体への影響に配慮する」という規定を、新たに設けました。
 「日本放送協会国内番組基準」の変更については、中央放送番組審議会に諮問して答申をいただき、さらに経営委員会において議決をしていただくという手続きを経て決まりました。

 NHKでは、「日本放送協会国内番組基準」を守り、これからも皆様に信頼される放送番組の制作に努めてまいります。

関連ホームページ:
「放送倫理・番組向上機構」(NHKサイトを離れます)