WORK WITH HOKKAIDO

職員紹介

小出 悠希乃

想いがチャンスを生む

映像取材

小出 悠希乃

Koide Yukino from 札幌

カメラマンになろうと思ったきっかけは?

NHKの採用説明会で、カメラマンの話を聞いたことがきっかけです。それまでは、カメラマンは人の心の中に土足で踏み込んで涙を撮る仕事という印象を抱いていたのですが、採用説明会で、地震で家が倒壊したおばあさんの後ろ姿を撮影した映像を見て衝撃を受けたんです。
その映像を撮影したカメラマンは、おばあさんが長年住んだ家に別れを告げるときに、あいだに自分が割り込んで撮影することはしたくなかったと話していました。後ろ姿のおばあさんの肩が涙で震えていて、それだけで伝わるものがあると思ったと。それまで自分が想像していたカメラマン像とのギャップを感じて、カメラマンの仕事に興味を持ちました。

ニュース取材のほかに潜水カメラマンとしても活躍していますが、なぜ潜水カメラマンの道に?

NHKには潜水や山岳など特殊なスキルを必要とする取材を担当する専門チームがあり、入局後に希望者は潜水取材や山岳取材をするための研修を受けることができます。私は学生時代水泳部に所属していたのと、ダイビングってかっこよさそうだなという単純な動機から潜水カメラマンを志望しました。先輩から「地球の7割は海。潜水できれば取材のフィールドが一気に広がるよ」と言われたことも決め手になりました。

小出 悠希乃

世界で初めて4Kカメラでの
撮影に成功した「オルダ水中洞窟」。撮影で苦労した点は?

2014年にソチオリンピックの取材に行ったとき、現地の人から「ロシアに世界一美しい水中洞窟がある」と聞きました。ウラル山脈の麓という秘境にあって日本人で見た人はいないだろうし、世界初の映像が撮れるかもしれないと思い、企画を提案しました。外気温がマイナス40℃、水温が5℃という極寒の世界で、器材が凍ってしまうのでお湯で少しずつ溶かしながらセッティングしました。寒さに耐えられず一度に30分ほどしか潜れず、何度もアタックを重ねて撮影に成功した時はほっとしたことを覚えています。

取材の難しさを感じることは?

入局したばかりの頃、兵庫県で20人が犠牲となった豪雨災害が発生しました。インタビューを撮りに行ったのですが、いざ災害現場を目の当たりにするとカメラを向けることができませんでした。
それまでは、映像の力でニュースに無関心な人にも訴えかけるような取材がしたいと思っていたのに、いざ現場に出たら何もできず……。「もうこの仕事を続けられないかもしれない」ともんもんとした気持ちで過ごしていたとき、ある企画で取材したご遺族からインタビュー後に「今まで長く真っ暗なトンネルを歩いてきたけれど、取材を受けたことでようやく先に光が見えてきたような気がした」と声をかけていただき、この仕事を続けていこうと思うことができました。

小出 悠希乃