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【別海町】肥料高騰で注目「消化液」

  • 2024年6月26日

別海町には国内最大級のバイオガス発電所があります。発電の過程で生じる「メタン発酵消化液」は肥料として使われますが、需要が高まっています。その背景とは。

エコな肥料なのに…厄介者?!

牧草地へ消化液を散布

牧草地に散布されている茶褐色の液体がメタン発酵消化液です。牛のふん尿を原料としたもので窒素、カリウムなど、作物の生育に必要な栄養素を含んだ有機肥料として使われています。

発電所にふん尿搬送

消化液が作られているのは、9年前から稼働している別海バイオガス発電所です。1日で乳牛4500頭分のふん尿を処理できる国内最大級の規模で、町内のおよそ70軒の牧場と契約しています。

バイオガス発電と消化液

バイオガス発電は原料のふん尿を発酵させ、発生したメタンガスから電力を作ります。ふん尿の9割は「消化液」となり、牧草地にまく有機肥料へと生まれ変わります。

別海バイオガス発電 小菅加奈子部長
別海バイオガス発電 小菅 加奈子 部長

別海バイオガス発電 小菅 加奈子 部長
土がどんどん柔らかくなっていく。その成果として草がどんどん甘くなると言うふうに酪農家さんからの声が上がっているんですよね。甘くなると何が良いのかというと、牛の嗜好性が上がる。嗜好性が上がると乳量が増えるというふうにつながってていくんだろうなあと。

広大な牧場
 

ところが、思ったより利用が進みませんでした。その大きな理由は運搬費です。広大な牧草地には大量の消化液が必要で、その運搬費は酪農家の負担となります。一方、発電所側は消化液が減らないと原料のふん尿を新たに入れることができません。発電量を抑えざるを得ない状況が続きました。

別海バイオガス発電 小菅 加奈子 部長
消化液の貯留槽は約2、3ヶ月でもういっぱいになってしまう。本当に夜も眠れない日が何日もありまして、夢でも消化液があふれる夢を何度もみて。

見直される消化液

ところが去年、そうした状況が大きく変わりました。急激な円安で化学肥料が高騰したことで消化液の需要が高まっているのです。

別海町の酪農家

別海町の酪農家 眞下雅人さんは、これまで、ふん尿、化学肥料、消化液を併用し、化学肥料は年間250万円ほどかかっていました。それが倍の年間500万円かかることがわかりました。そこで去年から化学肥料を減らし、1トンわずか10円の消化液の割合を増やしました。

別海町の酪農家 眞下雅人さん
別海町の酪農家 眞下 雅人 さん

別海町の酪農家 眞下 雅人 さん
まぁ時代の流れといいますか、地域循環型、それから環境負荷の問題と、と言うことを考えますと、ここにあるバイオガス施設を利用して発電をして、さらに残った消化液を酪農家が牧草地に散布すると言うしっかりとした草地ができると言う事はすごく有効性を感じますね。

取材後記

エコな有機肥料の消化液。畑作農家の間でも注目が集まり、九州から買いに来たケースもあったといいます。消化液の利用が増えたことで、発電の効率がよくなり、昨年度、過去最高の発電量を記録しました。ただし、化学肥料の価格が落ち着いた場合に消化液の需要はどうなるのか、また、畑作にどれほどの効果があるのかデータが不足しているといった課題があります。持続可能な循環型農業を実現させるためにも、生乳生産日本一のマチ・別海の発電所の取り組みに期待したいと思います。

中標津支局 原田未央


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