ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. 番組スタッフ
  4. 「煙の街にロックが流れる」 完成試写会・出演者会見レポート

「煙の街にロックが流れる」 完成試写会・出演者会見レポート

  • 2024年7月9日
NOT WONK 加藤修平さん

6月28日(金)にNHK総合で放送する北海道スペシャル「煙の街にロックが流れる」
※再放送が7月14日(日)に決定しました!
6月19日(水)に苫小牧ELLCUBE(エルキューブ)でメディア向け完成試写会および出演者会見を行いました。
NOT WONKのギターボーカル加藤修平さんと、制作者の山森ディレクターが登壇し、番組への想いや見どころについて語りました。NOT WONKをよく知る高市佳明アナウンサーが進行を務めました。

高市アナウンサー、加藤修平さん、山森ディレクター

——番組を見て率直にいかがでしたか。

加藤さん

番組を見ての感想は、ナチュラルな自分を撮ってもらったなと、飾り気なくありのままに。自分が大事にしていることを山森さんにしっかり話せて、伝えたいことや真実が曲がらずに番組にしてもらえたのがよかったです。きっとこの番組を見てNOT WONKのことを初めて知る人や、こういう人がいるんだなって見る人が多いと思うんです。だからこそ自分がずっと考えてきたことなどを取材・撮影中にもいっぱい話をしました。自分の芯の部分を引き出せてもらえて良かったです。この番組を通して何か視聴者に伝わるんだったらいいなっていう、ポジティブな感想と想いです。

 

——番組に込めた想いは。

山森

今回の撮影を重ねながら考えていたのは、簡単に加藤さんのことをわかった気にならないぞっていうことです。加藤さんには音楽という圧倒的な表現があるし、その表現を全て説明したいとはきっと加藤さんも思っていない。そう感じながら撮影を続けるうちに、段々ナレーションを書ける気がしなくなりました。ナレーションが悪いわけではまったくないのですが、どこか我々が解釈してしまうことにもなる。今回はそれが非常に難しく思えました。現場で撮影された映像と音を感じてもらえばそれで十分じゃないかと。それから、今回は、加藤さんをよく知る方々にお話を伺いましたが、NOT WONKの高橋尭睦さん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さん、カネコアヤノさん、音楽ライターの石井恵梨子さんらが、みなさん本当に真摯に語ってくださいました。人は誰しも多面性があって、接する人ごとに少しずつ違う面が見えるものだと思うのですが、加藤さんの様々な側面をご出演いただいた方の言葉から感じていただけたらうれしいです。

 

——苫小牧の街について。

加藤さん

僕は29年間苫小牧に住んでいます。苫小牧は観光地がいっぱいあるとかっていうのではない、小さな街。東京や大阪などの大都市に出ることも1つの幸せなのかもしれないけど、そうじゃないパターンが、もっとあった方がいいんじゃないのかって感じているんです。15歳の時に、初めてエルキューブでライブを見たんですけど、バンドをやりながら働いている大人たちを見て、ローカルを守るみたいなところを意識的にやっていてかっこいいと思ってから、それが自分の中では当たり前になっているというか。自分が暮らしているところで楽しいことを作り続けることに尽力しています。この番組を見て「私、ちょっと似ているな」「ローカルな場所で何かできるかも」って思う人がきっといるような気がしていて。共感を得たいわけではないけど、きっと共感する部分がある人も多いだろうなっていう気がします。

——なぜ今回、取材を受けようと?

加藤さん

僕、基本的にテレビあんまり見ないんですよ。自分の判断基準みたいなものが、わりとしっかりあって、自分のことが誤解されたり、テレビのドキュメンタリーにありがちな、最初からゴールが見えていてアタリがつけられているような、田舎で若いやつが働きながら音楽やっててえらいねみたいな、そういう作品にならなきゃいいなっていうのは僕はずっと思っていて。山森さんと話した時に、そういう番組にする気は全く無いとわかったので受けました。この番組を通して自分のバンドが売れたいとかは全然思っていないんですけど、もともと好きだった人がもっとNOT WONKの音楽に理解を深めてくれたりしてほしいなとは思っています。あと、この街に住んでいる人たち、苫小牧の素敵な人たちを知ってほしいという想いもありました。

 

——なぜNOT WONKを今回取り上げた?

山森

最初は音楽配信サービスでたまたま「Your Name」が流れてきて、イントロが緩やかな曲なんですけど、 緊張感というか、緊密な感じもあって、それにひかれて調べてみたら苫小牧のバンドで、それで会いに行こうと思ったのがきっかけです。2年前の冬でした。そこで3時間ぐらい話をさせてもらったのですが、加藤さんは、ご自身の表現のことだけでなく、生活や社会のありようについて、どういう風に自分たちが生きればいいかみたいなことも含めて話してくださいました。「音楽に政治を持ち込むな」っていう方もいるじゃないですか。それとは真逆で、臆さず語ってくださるのが、すごくかっこよくて、それで撮ってみたいなと思いました。かっこいいって素朴な言い方になってしまうんですけど、言い換えると、なにか自分が問いかけられているような気がしたんです。それがどういうことか、最初は自分でもよくわかっていなかったんですけど、音楽ライターの石井恵梨子さんにインタビューをさせてもらって、「加藤さんは、自分がどうあるべきか、自分に問いかけている」と伺ったときに、ようやく思い当たりました。どう生きるべきか、その表現をする価値が自分にあるのか、自分に問いかけている加藤さんの「自己への問い」みたいなのが、反射して私に当たっていたんだ、みたいなことに撮影しながら気づいたっていう感じがあるかもしれません。

——先ほどローカルを守るという話もありましたね。

加藤さん

音楽を始めたきっかけも、人と違うことをしてみたい、誰もやってないことをやってみたい気持ちがあって、それは今でもすごくあるんですが、そういうことを自分の中で考えた時に、東京に行って音楽をやるって割と誰でもやってるなって思って。苫小牧で全部やりきるほうが前例がないし面白いんじゃないかっていう。生まれた街でそのままやっちゃうって面白いかもっていうところですよ。ただ、音楽家だからといって、特別なことをやるとか、スポットが当たってすごいとか、そういうことではないと思っていて。自分自身がこの時代の1つのサンプルとして生きたいなと思っています。苫小牧にはライブハウスもクラブもありますから、それでもずいぶん豊かな街だと思っているんですけど、 大都市に比べるとやっぱり文化的資本は小さい。あるところには最初からある文化的な豊かさみたいなものを、知らない子どもたちもいたりするんです。僕がその一例だと思ってて、それでもこういう場所で表現をしたりとか、幸せを感じているとか、それが評価されるとか、それを続けられる土壌があったりするとか、大きな資本に頼らなくてもそれを継続できる仕組みがあったりするとか、そういうことが、僕がここでできることだと思ってます。いろんなものがちょっとずつよくなって、いい方向に舵をきれたらいいと思います。そのために僕にできるのは、音楽だったり、子どもたちを応援するってことだったり。チェーン店もいいけど、ローカルの素敵なカフェでコーヒーを飲んだり、バーでお酒を飲んだり、そういうことも苫小牧で自分のできることの1つです。

——Ian MacKaye(イアン・マッケイ)の言葉が冒頭に出てきましたね。

山森

2019年に加藤さんが苫小牧で行ったイベントで、手作りのチケットを約250人の観客の方全員に手書きで書いて、しかもおひとりおひとりのお名前を書いて送られたと聞きました。かつてイアン・マッケイが似たようなことをやっていたと知って、もしかしたらそれが加藤さんにちょっとだけ影響を与えたというか、参照項になったのかなって思ったりもしたんです。やっぱり関わってくださっている方とか、聴いてくださってる方、ひとりひとりのことをちゃんと知りたい、見たい、分かりたいという感覚が、もしかしたら共通しているのかなって思って引用しました。

——最後に視聴者の方へメッセージをお願いします。

山森

加藤さんの表現のありよう、暮らしのありよう、あるいは表現と社会が交わる部分を見ていただけるとうれしいです。ただ、45分のこの番組に全てのことが映っているわけではなくて、むしろほとんどのことは映ってないですし、加藤さんの表現の全部がここにあるわけでもないけれども、その映っていない部分も想像してもらえたら嬉しいなと思っています。

 

加藤さん

自分は出演側で自分の作品ではないのですが、いろんなポイントでいろんな捉え方ができるものが好きで、 この番組はそうなっているように感じています。だから同じような境遇にあるような人の気づきになったり、これでいいんだ、もしくは、これだったら俺の方がうまくやるよとか、そういう気づきになったら嬉しいなと思います。まだフォーカスされていないけど、かっこいいことをやっている人が日本にいっぱいいると思うので、僕がその人に出会うきっかけにもなったらいいなという気持ちもあります。

 

北海道スペシャル「煙の街にロックが流れる」
【再放送】
7月14日(日)午後1:05~1:50
NHK総合・北海道ブロック 
※NHKプラスで1週間、見逃し配信予定。全国から視聴できます
【出 演】
加藤修平(NOT WONK)
高橋尭睦(NOT WONK)
後藤正文  (ASIAN KUNG-FU GENERATION)
カネコアヤノ(シンガーソングライター)
石井恵梨子(音楽ライター)
ほか
【番組HP】
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/lreport/articles/300/102/62/

ページトップに戻る