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せたな町 石段でレース!?連覇目指す町役場係長に密着

  • 2024年6月17日

道南のせたな町では、長らく町民に親しまれたマラソン大会に代わる、新たなイベントの開催を模索していました。そんな中、会場として目をつけたのは、町に古くからある場所でした。
(NHK函館 寺岡祥平カメラマン)

動画はこちら👇
ぎゅぎゅっと1分にまとめました。

町に新たな呼び物を!町民の手作りで準備を進める

人口およそ7000人、海と山に挟まれ、漁業や酪農が盛んなせたな町です。

町では、これまで約50年にわたって、およそ300人が参加するマラソン大会を開いてきました。
しかし、コロナ禍で大会は中止に。
もともと沿道警備などで100人近くのスタッフが必要だったこともあり、町ではイベントの「スリム化」を図るため、新たなイベントを考案することになりました。

大会を主催するせたな町の教育委員会が考えたのが、町内にある玉川神社の石段を使ってのレース、「石段駆け上がり大会」です。

地区のシンボルでもある丘の上の神社に至る石段は、全部で273段。長さは約200メートルあります。
ここを舞台に、誰が一番早く頂上へ着けるかを競うレースを開催することにしたのです。

石段がコースであれば、広い範囲で開催されるマラソン大会よりもスタッフを減らせる上に、開催時間も短くすることができます。

大会を主催 せたな町教育委員会 中飯崇斗さん
「これまで運営スタッフは町役場の職員などが多かった。
スタッフの数が減れば、これまでスタッフとして参加していた人たちも、客としてイベントを楽しめるんじゃないかなと。
石段を使ったイベントはなかなかないので注目してもらえるという狙いもある」

こうして去年始まった「石段駆け上がり大会」。
好評の声を受けて、ことしも開催されることになりました。

準備をするのは地区の住民たち。
石段の落ち葉を掃除し、ケガにつながりそうな穴も補修して、大会に備えます。

せたな町教育委員会 中飯崇斗さん
「主催する側としては、とにかく事故無く安全に終わってくれたらいいなと思っています」

役場のヒーロー、連覇を目指す

町役場に、大会に並々ならぬ思いを持つ人がいました。
総務課の栗城惇史さん(40)です。
3人の子どもの父親でもある栗城さん。
高校時代からサッカーが好きで、今でも地域の少年サッカーチームのコーチを務める「スポーツパパ」です。

スーツ姿で仕事をしていた栗城さん。
終業のチャイムが鳴ると更衣室へ直行。
向かった先は…。

神社の石段!
実は栗城さん、前回大会の優勝者です。
石段を1分28秒台で駆け上がり、初代王者の称号を手にしていたのです。

栗城惇史さん
「大会の賞品が地元の商品券3万円分だと聞いて参加しました」
「(賞品の使い道は?)コーチをしている地元の少年サッカーチームのみんなと焼き肉パーティーをしました」

去年は賞品目当ての参加でしたが、優勝したことで気付けば町のみんなの期待を背負うまでに。
ことしは仕事帰りに石段へ向かい、走り込みを重ねていました。

栗城惇史さん
「生まれ育ったせたな町に恩返しがしたいという理由で役場に就職しました。
地元民である自分が楽しんでいる姿を見せることで、せたな町ってなんだか楽しそうだなと町外の人たちにも思ってもらえて地域が盛り上がったらいいなと思います」

大会前にはサッカーチームの子どもたちと一緒に石段駆け上がりの練習も。
石段をきっかけに、世代を超えた町民の交流も生まれていました。

100人を超える参加者が!

5月中旬の日曜日。
いよいよ大会当日です。

レースは、小学生から大人まで、部門ごとに行われます。
タイムを競わないオープン参加も含め、107人が参加しました。

栗城さんが参加する「一般・男子の部」には、19人がエントリー。
多くは20代の若者たちです。

待ち受ける石段コースは?

選手たちが駆け上がる石段。
幅や高さが不規則で、足の運び方が重要になってきます。
さらに、勝敗を分けるポイントが2つあります。

1つめは、石段さしかかる場所にある鳥居。

コースの幅が狭まるため、ここで先頭集団に入り込めるかが勝負です。

2つめは、最終盤の200段以降。

挑戦者達をあざ笑うかのように、傾斜が一際大きくなります。
スタミナを温存し、最後まで走り続けられた人が、勝利を手にすることができるのです。

栗城惇史さん
「40代パワーで頑張ります。作戦は、先行逃げ切りで。スタートが肝心です」

勝負は劇的な幕切れ

いよいよスタート。

黄色いシャツの栗城さん。序盤はいい位置につけて、鳥居を4位で通過。

しかし、100段目付近から遅れを取り始めます。

先頭を走るのはラグビー部の21歳大学生。
1段飛ばしで淡々と石段を上っていきます。
それに比べると、栗城さんは少し体が重そうです。

先頭を守り切った大学生がそのまま1位でゴール。
昨年の栗城さんの記録を10秒以上も上回る、圧勝でした。

先頭から後れを取ることおよそ30段…栗城さんは、4位につけていました。
傾斜が大きくなる最終盤で、前を走る登山ガイドの男性との40代対決。

栗城さんが懸命に追い越しをかけますが…。

2人、ほぼ同時に転倒。

最後は栗城さんが転がるようにして手でゴール。

執念の3位入賞をもぎ取りました。

息を切らして座り込む栗城さんに、応援していた子どもたちからは様々な声がかかります。

「惜しかったね」
「かっこ悪い」
「20代が多かったからしょうがない、エグい!」

1分30秒足らずの短い勝負。
それでも、会場は大いに盛り上がりました。

栗城惇史さん
「老いには勝てませんでしたが、楽しかったです。
町外からもたくさんの人がきてくれて、こうして盛り上がってくれて、最高です!」

 

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  • 寺岡祥平

    函館局

    寺岡祥平

    2014年入局。松山局、大阪局などを経て2023年から函館局。 取材のため石段を歩いてのぼっただけなのに、1時間ほど動けなくなりました。

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