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6月から札幌市の助成制度開始!がん患者の“見た目の悩み”を和らげる アピアランスケア

  • 2024年5月24日

「アピアランスケア」という言葉をご存じでしょうか?がん患者が「外見の変化」によって受ける苦痛を和らげるケアのことです。がんの治療中は、髪の毛が抜けたり、爪の色が変わったり、人によって異なるさまざまな症状がでます。6月から札幌市では、ウィッグなどの購入に対する助成金制度が始まり、外見のケアの大切さは少しずつ広まり始めています。放送に入りきらなかった内容をウェブ記事でお伝えします。(NHK札幌放送局ディレクター・堀越未生)

【放送予定】
5月25日(土)朝7:30 NHK総合・全道 『おはよう北海道土曜プラス』

【映像】(放送後2か月間公開)

6月から始まる助成制度 札幌市内のサロンでは

札幌市内で医療用ウィッグなどを販売するサロンを訪れると…

オーナー・姉歯麻未さん
「がん治療による“外見のケア”に対しての補助金ということで、来月から札幌市で購入費用の助成が始まるんですよ。」

札幌市の助成制度の紹介が行われていました。このところ、次々に申請を希望するお客さんが来ているとのこと。

来月から申請開始となる札幌市の助成金は、人工乳房と医療用ウィッグ、補正下着が対象。今年4月以降に購入したものに対して、それぞれ1回ずつ申請できます。

医療用ウィッグ
安いものでも数万円、30万円以上するものもある。
医療費に加えての出費になり、闘病中には大きな負担になることも。
人工乳房
温泉に入るときなど、乳房を切除した胸にペタっと張り付けて使う。
こちらも相場は数万円から数十万円と高額。

この日サロンに訪れていたピット江里子さんは、乳がんの治療中。人工乳房の購入を検討していました。

ピットさん
「水泳する時に必要かなと。普段はガーゼ系のものを使っているけど、プールだとべちょってなっちゃうので、こういうのがいるかなと思って。」

姉歯さん
「温泉が好きな方も、本当にこういうのはいいなっていうふうに言ってくださってますね。今まで金額で諦めてた方たくさんいるんですが、補助金が出ることによって、ちょっと手が出しやすくなるかもしれないです。」

助成金制度のある自治体はまだまだ少ない

道内でこうした助成金が出ている自治体は札幌市を含めて5つ(旭川市は8月から開始予定)。全国の自治体ではすでに半数以上で始まっており、北海道は一歩遅れている状況です。

助成金だけでは足りない?支援の課題

そんな中、札幌市内のウィッグサロンのオーナー・姉歯さんは、道内のアピアランスケアの課題は助成金だけではない、と考えています。

「ANEHA」オーナー・姉歯麻未さん
小学生の時に汎発性脱毛症を発症し、20年以上ウィッグを使ってきた
5年前にサロンをオープンし、ウィッグだけでなくネイルケアも手掛けている

姉歯さん
がんの診断を受けた方が見た目の悩みを相談できる場所がない現状を感じています。医療機関では“治療についてだけ”、美容室では“美しさについてだけ”しか相談できず、医療と美容の懸け橋になる場所はなかなかないんです。」

ウィッグ?帽子?相談できて分かった自分のスタイル

このサロンに通うピット江里子さんも、相談できる場所を探してきた一人です。
乳がんと診断され、抗がん剤の副作用で脱毛すると医師から説明を受けたことで、ウィッグを探し始めました。

ピットさん
「淡々と治療の計画が説明されて、直前になって『かつら用意しといてくださいね』みたいな。『えっ』ていう感じでした。病院だと自分もパニックだし、お医者さんも看護師さんも皆さん忙しそうにされてるから、あんまりゆっくり話せる感じではなかったですし。」

診療中は、治療の方針や検査の結果について話がメインになり、なかなか外見の変化の不安についてまで相談出来なかったというピットさん。

友人の紹介でこのサロンに来ることになり、姉歯さんと相談しながら、3万円ほどのウィッグを購入しました。

小学生の子どもたちの行事に出席できたり、仕事で人と会うときに使ったり、治療を続けながらこれまで通りの日常を続けていくうえで、欠かせない存在になりました。

そんな中、次第に、ウィッグをつけ続けていると、なんだか頭が重く感じる、リラックスできない、と感じることも増えてきたといいます。
そのことをサロンで相談し、追加で購入したのが、おしゃれなデザインのケア帽子でした。

おしゃれなターバンのようなデザインの帽子
頭皮を傷つけないようやわらかい素材でできている

ピットさんは、仕事中や自宅、ちょっとした買い物など、シーンに合わせてウィッグと帽子をコロコロ付け替える生活が、自分に一番あっていると徐々にわかってきたそうです。

ピットさん
「やっぱりこういうふうに、対面で話しながら、疑問に思ったことを、ぱっと聞いたりできるのが1番でしたね。特にこうガンって言われただけでね、がくっと気持ち落ち込んでる時だからその時に時間をかけて、お話できるようなところがあるっていうのは、すごく重要だなと思います。」

医療機関でも相談できる場所を

医療機関でも、見た目の悩みを相談できる場所づくりが始まっています。
札幌や砂川、函館などのがん診療の拠点病院の中には、アピアランスケアコーナーが設けられたり、専門の看護師が相談に応じたりしている病院があります。

北海道がんセンター(札幌)のアピアランスケアコーナー
がんを経験したピアサポーターが相談に応じ、ウィッグのレンタルもできる

しかし、こうした場所はがん診療の拠点となる都市部の病院に限られているほか、すべての患者に知られているわけではないのが実情です。

国のモデル事業に選ばれた北見赤十字病院

オホーツク地域のがん診療の拠点、北見赤十字病院もアピアランスケアコーナーのある病院の一つです。

今年度、北見赤十字病院は、アピアランスケア推進のための国のモデル事業に選ばれました。国の補助金を活用しながら、設備や知識のない同じ地域の医療機関にも、その重要性を伝えていく役割を担います。

看護師、医師、ソーシャルワーカーが集まりチームが発足

オホーツク地域にはウィッグなどの販売店も少なく、助成金の制度もまだありません。
今年度は、院内向けの研修会のほか、医療機関や理美容業界に向けた勉強会などを企画する予定です。
一人でも多くの患者に「相談できる場所がある」と知ってもらえるように、模索が続いています。

北見赤十字病院 看護師長・渡明美さん
「地域の保健医療機関の方、薬剤師さんだったり理美容業界だったりとか様々な職種の方と一緒に連携して患者さんのケアを、この地域全体でやっていきたいなっていうのが1番です。」

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