ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. ほっとニュースweb
  4. 【十勝発】13年ぶりの記録更新!ハンマー投げで全国へ

【十勝発】13年ぶりの記録更新!ハンマー投げで全国へ

  • 2024年5月23日

スポーツに必要な要素は「心技体」と言われます。己の心を見つめ、技を磨き、体を鍛える。そのことば通り、みずからの努力で、男子ハンマー投げの北海道高校記録を13年ぶりに塗り替えた選手が十勝にいます。幕別清陵高校の方川寛翔選手です。急成長を遂げた理由は、方川選手がハンマー投げに向き合う姿勢にありました。(帯広放送局記者 堀内優希)

持ち味は“スピード”

ことし4月、北海道帯広市で開かれた陸上競技大会。そこに方川選手の姿がありました。遠心力を使い、巧みなターンで重さ6キロのハンマーを遠くへ飛ばす。ドスン。記録は56メートル6センチ。北海道高校記録更新の瞬間でした。13年ぶりの快挙に会場は沸きました。歌手の松山千春さんと同じ、足寄町出身の高校3年生。身長1メートル72センチとハンマー投げの選手としては小柄ですが、抜群のセンスでハンマーを巧みに操ります。小学生からフィールド競技に取り組み、ハンマー投げを始めたのは高校に入ってから。競技歴はわずか2年余りですが、高い技術力で急成長を遂げています。さらに、大会から2週間後の5月11日に帯広市で行われた大会でも、56メートル75センチを投げ、2週間足らずでみずからの記録を更新しました。
 

方川寛翔選手
ハンマー投げは、ハンマーと友達になっていく感じがして、それがすごく楽しいです。

方川選手の強さの秘密、それがスピード。小柄な体格を逆手にとって、加速するターンが持ち味です。
加速の秘密は足さばきにありました。

方川寛翔選手
僕の強みは「歩くターン」です。ターンを難しく考えずに、人間の動きとして自然な「歩く」ことを意識しています。こうすることによって、両足を地面についている時間を延ばすことができ、ハンマーを加速させることにつながります。

高校生では、できる選手はあまりいないというこの動き。方川選手は日々の努力で会得しました。そんな中で大切にしているのが、動作の丁寧さです。日々の練習では、ハンマーを握る前に足さばきを1つ1つ分解して、ゆっくりと確認する時間を欠かしません。これによって、体に正しい動きをしみこませ、ハンマーを握ってもぶれない、安定感のあるターンができあがります。

徹底的に客観視

指導する顧問も、彼の競技に向き合う姿勢を高評価。そんな彼の持ち味をこう見ています。

幕別清陵高校陸上部顧問 西山修一教諭
いちばんは練習熱心なところだと思います。こうやりたいなっていうことを自分で常に考えていて、それを毎日の練習で実践している。

西山さんが評価する「研究熱心な姿勢」。それは、自身を徹底的に客観視することにあります。

練習中、後輩に動画を撮ってもらう方川選手の姿がありました。こうして客観的に自分の投てきを見ることで、投げている時には自覚できていなかった課題に気づくことができるといいます。1回の練習で5本以上の動画を撮り、スマートフォンの写真フォルダは、ハンマー投げの動画でいっぱいです。

さらに研究は、下宿先に帰ってからも続きます。日課にしているのが、「部活ノート」です。その日の練習メニューやコンディション、反省点を事細かに記録。練習をした日は毎日欠かさずに記入し、顧問の西山さんも目を通すことで、いま自分に足りないものや必要な練習などを双方で確認します。

方川寛翔選手
課題とか成長した過程が明確になるのでとてもいいです。読み返して「ここ成長したな」と思うこともたくさんあります。

こちらの方川選手。一見くつろいでいるだけに見えるように見えますが、こちらも研究中です。自身のスマートフォンには、練習中に撮った自分の動画だけでなく、世界で活躍する国内外のトップ選手の動画がたくさん保存されています。暇さえあれば、自然とハンマー投げの動画を見てしまうという方川選手。まさに、ハンマーと友達になっていっています。特によく見る動画は、「あの人」の投てきです。

方川寛翔選手
いちばん見るのは室伏広治選手です。ロボットみたいにいつも安定して素晴らしい投げをする。こうなりたいと思います。

食べることも鍛錬

そして、最近取り組んでいるのが増量です。体重を増やすことで、遠心力に負けない安定した体づくりを目指します。1日に食べる米の量は6合余り。実は方川選手、たくさん食べることはあまり得意ではありません。それでも、私が下宿を訪ねた際には、皿に山盛りのご飯、そして、その上にカレーとカツを乗せ、無心でほおばっていた方川選手。「もうやめたいよー」。食べ進めるうちに苦悶の表情をにじませます。きついと感じることも多いといいますが、半年余りで約10キロの増量に成功。ターンに安定感が出たり、スピードが上がったりと、成果は確実に出ています。

5月17日、帯広市。方川選手はインターハイへの第1歩となる十勝支部大会に出場しました。3回目の投てき。努力で習得した得意の「歩くターン」で飛ばしたハンマーの飛距離は、55メートル30センチ。2位以下を大きく引き離し、大会記録を更新して優勝しました。しかし、表情はどこかすっきりしません。そう、彼の目標はもっと高いところにあったのです。目指す飛距離は未踏の60メートル。そして、全国での上位入賞です。さらなる高みを目指して、きょうも研さんに励みます。

方川寛翔さん
全道大会出場の権利を取れたのはとてもうれしいですが、記録としてはもう少し狙いたかったです。北海道には55メートルを超える選手があまりいないのですが、道内の選手と一緒に、北海道のハンマー投げを盛り上げていきたいと思います。

  • 堀内優希

    帯広放送局 記者

    堀内優希

    2022年入局。札幌局を経て現所属。農園でとったシイタケはバターで焼いておいしく食べました。

ページトップに戻る