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昭和の大噴火から95年 北海道駒ヶ岳

  • 2024年6月18日

 

函館の市街地から車で1時間。国道5号線を北上しトンネルを抜けると、木々の向こうに広大な空間が現れます。静かに水をたたえ大きな鏡のようにも見える大沼、そしてその奥に遠近感が一瞬分からなくなるほど大きな北海道駒ヶ岳。一帯は「大沼国定公園」として南北海道を代表する景勝地になっています。しかし駒ヶ岳は過去何度も大きな噴火を起こし、周辺地域に甚大な被害をもたらしてきました。ことしは昭和の大噴火から95年。駒ヶ岳のリスク、周辺で生活する上での山との向き合い方について考えます。

記録で見る駒ヶ岳大噴火

北海道駒ヶ岳は標高1,131m、左右非対称の独特の形をした活火山です。去年12月から火山性微動を観測するなど活動が懸念されましたが、現在は落ち着いています。北海道防災士会道南ブロック代表の伊藤友彦(いとう・ともひろ)さんに特徴を聞きました。

伊藤友彦さん

直近の噴火は2000年の水蒸気噴火です。これは小規模な噴火で収まりましたが、マグマが流出するような“大噴火”になると被害はけた違いになると考えられています。

記録に残されている北海道駒ヶ岳の大噴火は4回。そのうち最も激しかったのは、今から380年ほど前の1640(寛永17)年の噴火です。この噴火で山頂部が崩壊。なだれ落ちた大きな山の一部が折戸川をせき止め、今の大沼・小沼・じゅんさい沼を形成し、駒ヶ岳は今の姿になったと考えられています。

伊藤友彦さん

いまの標高は1,131メートルですが、もともと1,700メートルほどの富士山のような形をしていたと言われています。左側と右側の斜面に沿って上に線を延ばしていくとそんな形になると思います。

山頂部分が崩壊し、南側になだれ落ちたものは大沼一帯を形成しましたが、東側に崩れたものは内浦湾になだれ込みました。その際大津波が発生し700人あまりが亡くなったとされています。鹿部町の出来澗崎はその時海になだれ込んだ山や岩、そして噴出した軽石や火山灰で出来た岬です。駒ヶ岳から10キロほどのこの場所にはその後の大噴火の際も火砕流が押し寄せたり軽石が降り注いだりしましたが、長年波にさらわれた影響で火山堆積物の地層がきれいに見える場所があります。こちらについては先日鹿部町を旅した奥野真代キャスターの記事をどうぞ!

火山の恵みと暮らすマチ 鹿部町 

すさまじいパワーを秘めた北海道駒ヶ岳。しかし最後の大噴火は今から95年も前で、今生きている私たちのほとんどはそれを実感したことがありません。

伊藤友彦さん

駒ヶ岳がなければ生み出されなかった自然の美しさも、いろんな恵みもあると思います。一方で大噴火が起きると被害は非常に大きくなります。記録や伝承に触れながら次の“まさか”に備えることが大切です。

幸いなことに95年前の大噴火は、写真や映像といった技術によって多くの記録が残されています。1929(昭和4)年6月17日、日付が変わったばかりの真夜中に駒ヶ岳の噴火活動は始まりました。比較的小規模な活動が断続的に続きましたが、夜が明けたあと、午前10時ごろに大規模な爆発が起きました。噴煙の高さは1万4,000メートルに達し、火砕流も発生。多くの家屋が被害を受けました。

噴火の痕跡を探して鹿部町へ

とりわけ当時の鹿部村、現在の鹿部町の被害は甚大でした。空から軽石や火山灰が大量に降り注いだからです。鹿部町の防災危機管理官である德丸照彦(とくまる・てるひこ)さんを訪ねると、鹿部町役場の隣の空き地へ案内してくださいました。

德丸照彦さん

このあたりは昭和4年の大噴火で軽石が1メートルほど積もった場所なんですよ。ちょうど西風だったんでこの辺に大量の軽石が降ったんです。

軽石と火山灰によって家屋も、農地も、線路も、道路も埋まり、村の重要な特産品だった昆布も海面を覆う軽石によってほぼ全滅。鹿部町の町史によると、一時「廃村」が検討されたほどの被害の大きさでした。しかし当時の映像には、被害の大きさとともに復興のために立ち向かう村人の姿も記録されています。全村避難から戻って来た村人たちは、生活がままならない中すぐに自分たちの手で軽石を撤去し始め、浜辺では新たな昆布の漁場を作るため人々が協力して大きな岩を海に運び入れました。

德丸照彦さん

自分たちの村を取り戻すんだという気持ちですね。それに呼応するように周りの村からの支援があったということで、今日に至る復興になったということなんですね。

次の大噴火にどう備える?

噴火の周期性が明確ではなく、明確な前兆を伴わない可能性もあり、北海道駒ヶ岳は予測が難しい火山と言われています。私たちは駒ヶ岳のどんなリスクに気をつけておけばよいのでしょうか。

伊藤友彦さん

北海道駒ヶ岳の噴火の際は地震や噴煙、噴石(軽石など)などのほか、噴火の規模によっては火砕流が発生することもあると言われています。またその後雨が降ったり、雪の季節に噴火したりすると土石流の発生も懸念されます。

北海道駒ヶ岳で起こりうる災害については、予測される危険区域を示した「ハザードマップ」があります。実は長い歴史があり、1983年、「火山のハザードマップ」としては日本で初めて作られました。今は避難所一覧、避難経路図、非常持ち出し品と備蓄品のリストなど、北海道駒ヶ岳の理解と備えに必要な情報が1冊にまとめられた「火山防災ハンドブック」の中に掲載されていて、周辺自治体(森町・鹿部町・七飯町)と北海道による火山防災協議会が改訂を重ねています。

伊藤友彦さん

北海道駒ヶ岳は予測が難しいとは言われていますが、観測の態勢は非常に整っていて24時間監視されています。噴火の際には何らかの予兆を捉えることが出来ると考えられているので、過度に恐れる必要はないと思います。北海道駒ヶ岳の火山防災ハンドブックで必要な備え、避難所の情報などをよく見ておいて、避難指示が出たときには危険がないところまで行動できるように、ふだんから避難の手段やルートを確認しておいて頂蹴ればと思います。

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