NHK札幌放送局

#ローカルフレンズ (42)西興部村の夢追い人

瀬田 宙大

2022年1月17日(月)午前11時03分 更新

西興部村 訪問記。今回は西興部村のグラスフェッドミルク(放牧し、牧草を与えられて育てた牛から搾ったミルク)をソフトクリームにして、村から全道、いや全国に発信しようとする男性のお話しです。
ソフトクリームは村内で2か所、村外では札幌や東京で食べられます。滑らかな口当たりというよりはしっかり硬度があり、口に入れた時に表面はシャリ、中はトロッ!さっぱりした味わいですが、食べ進めるとしっかりと口の中にミルクが広がります。“みるく”味は表記の通り、優しくミルクを味わえます。

≪ローカルフレンズ滞在記スペシャル≫
ほっとニュース北海道で毎週木曜日にお伝えしている「ローカルフレンズ滞在記」。ディレクターが地域にディープな人脈を持つローカルフレンズの元に1か月滞在して、地域の知られざる宝をお伝えしています。地域のその後も伝えたいと、3か月ごとに制作するのが滞在記スペシャル番組です。
今月28日(金)夜8時00分~8時43分【総合・全道】からの放送では西興部村・十勝エリア・環駒エリアのその後に迫ります。
~西興部村 訪問記①はこちら~

冒頭ご紹介したソフトクリームの製造・販売を手掛けている山田尚大さん。
もともとIT畑出身、システムエンジニアでした。山田さんに素朴な疑問をいくつもぶつけたところ、多くの発見がありました!
中でも、思考方法や事業の拡げ方がユニークでしたので、そのあたりを中心にご紹介していきます。

直列型ではなく並列型?

山田さんはことし大きな挑戦をしようとしています。
まず、去年販売を始めたソフトクリームをカップアイス化することと、商品ラインナップを増やすためにチーズの製造ラインを整えることです。

カップアイス化はすでにレシピは概ねできているそうで、ソフトクリームのシャリシャリ感を残すのか取り除くのかなど微修正を進めているといいます。この夏にも販売できないか取り組みを進めています。
一方、チーズについては製造ラインの設計を進めている段階で、今年秋までには設備を整え、早ければ来年春にも製品化したいと考えています。

「一気に事業を進めすぎではないか?」

私もそう思いましたが、周囲からも心配の声が多く寄せられると話す山田さん。「不安はありますけど、ムリゲーなことはしないので。不安に向き合ったうえで数字を積み上げ、確信をもって不安の中を泳ぐんです」と、答え慣れている様子でした。

その上で、IT畑にいた山田さんらしい思考法を教えてくれました。

それが「並列型の事業展開」でした。
例えばチーズ製造。まず作り方を学び、建物をつくって・・・など、順番に取り組み、販売するときには「その時点の理想の味」を商品化すると思います。
もちろんそれが普通だとは思いますが、ITの世界にいたことで少し考え方が違うと力説します。
「わかりやすいのは、ソフトウェア。通常の製品はスタート時に100点、最高のものを提案しますよね。でも、ソフトウェアは発表時よりも、その後、顧客のリアクションを受けてアップデートした先が100点。つまり、発表時が完全じゃないんです。そういう世界にいたので、勝算を得た上で、あれこれ同時にチャレンジしているんです」と言います。

札幌出身の山田さん。
神奈川県出身の妻と子供とともに西興部村に移住しました。移住を決めた時に妻から言われた言葉を大切にしていると言います。
「スローライフが送りたいとか、田舎暮らしをしたいということなら賛成はしない。でもやりたいことがあって、失敗もするかもしれないけどやりきるというなら反対はしない」という言葉です。

山田さんのモットーも「途中でやめなければ失敗はない。成功するまでやり続けるから」とのこと。やりきる力と覚悟が大事なんですね。

では、移住してまで実現したかったこととは―。

生産者に喜びを
消費者に選択肢を

山田さんは、まず西興部村で一生懸命生産している酪農家に喜びを届けたいと言います。

≪山田尚大さん≫
消費地から遠いこともあって、村で生産されたものはバターや脱脂粉乳として出荷されることが多いのですが、丹精込めて生産したものだからこそよりフレッシュな形で消費者に届けたいんです。それを考えるとチーズは必須。ソフトクリームを去年販売し始めたばかりですが、ここで幅を広げることが重要なんです。

力をこめて話す様子に本気を感じました。

そしてもう一つ実現したいのが、消費者に選択肢を増やすことだそうです。

≪山田尚大さん≫
現在、グラスフェッドミルク100%の製品はそう多くはありません。他のミルクと混合されて出荷されるためです。その為、選びたくてもなかなか選べない現状があります。
だからと言って、100%グラスフェッドにしようということではありません。牛乳などを誰もが手ごろに手にできるいまの仕組みは重要で、それを壊すことではなく、放牧・グラスフェッドの乳製品を選べるくらいにしていきたいというのが僕の考えです。

「生産者と消費者がつながった先に、西興部村の明るい未来もあるのではないか」―お話を通して、山田さんが見る村の未来が少しわかった気がしました。全道、全国に製品を通して村を知ってもらう挑戦は始まったばかり。やりきる力に期待です!山田さん、お時間を頂き、ありがとうございました。
関連記事:村待望のソフトクリーム誕生

~#ローカルフレンズ (43)へつづく
次回は新得町トムラウシの話題。10月の滞在記 十勝エリア編に登場したフラワーアーティストとして活躍する野村絵里さんのご家族についてです。当時の番組では大阪から新得町へ移住した経緯を、妻の目線で語ってもらいました。
一方、夫の龍史さんの考えはあまり聞こえてきませんでした。
実際のところ、どのように捉えているのか・・・。
そんな疑問をもって、龍史さんが切り盛りする「のむらのカレー」を訪問しました。

カレー屋さんはこの写真を撮影した狩勝峠の、新得町側の入り口にあります。
次回更新は今週金曜、スペシャル番組放送1週間前の21日(金)の予定です。

2022年1月17日

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