先日、十勝・浦幌町に行ってきました。
きっかけは3年あまり前にした「会いに行きます」という約束。約束をしていた相手は一緒に写る古賀詠風さん。当時は地域おこし協力隊でしたが、現在は卒業し、町内のまちづくり会社に就職。個人事業主としても働いています。異動前になんとしてでも約束をはたそうとプライベートで訪れた十勝・浦幌旅。3年連続で20代人口が流入超過と躍動する町のパワーにふれてきました!
出会いは2019年
#札幌discover
古賀さん、じつは前回のブログにも登場しています。

NHK北海道と2019年にイベントでつながり、その後も2020年に町の博物館で開かれた「コロナの時代」を後世に伝える展示について“興味深いですよ”と情報を伝えてくれたり、同年NHK北海道が制作したthe Locals vol.2に登場してもらったりと、交流が続いていました。

出張で道東を訪れることが多かった私に、「待ってます!」と連絡し続けてくれた古賀さん。今月、異動の内示を受けた際、古賀さん、いや詠風くんと出会った当時に“超ローカル宣言”を掲げたことが頭をよぎり、「会いに行かなければ!」と今回の旅を決めました。
旅は“道連れ”が楽しい
「行くぞ!」と決めて、仲間内に十勝旅を宣言したところ、「浦幌でミーティングあるので帯広から浦幌まで送りますよ!」「せっかくなので一緒に行きましょう!」という声が届きました。ありがたい!
浦幌駅で集合しました。

帯広から浦幌まで送ってくれたドット道東の野澤一盛さんはこの後、ミーティングへ。釧路市から今回の旅に参加してくれた田辺貴久さんと私は、古賀さんが運転する車に乗って町のツアーに出かけました。

まず案内されたのは閉校した浦幌高校。
街の中でも大きく立派な建物。これまであまり活用されていませんでしたが、先日、校舎を活用して初めてイベントが開かれました。

進学のために町を離れることが当たり前になった今、地域の子どもたちに変化が起きていると話す詠風くん。地域で進学できるのであれば浦幌の高校を選択したいと話す小中学生が増えているといいます。
さらに、町内には大きな子ども園も新たにつくられるなど子育て環境の整備も進んでいます。この先、さらなる変化が起きるのではないかと期待せずにはいられませんでした。
ハハハ!笑顔あふれる町に
次に向かったのは詠風くんよりも長く町で実践を続ける小松輝さんが運営する「ハハハホステル」。

この日は、ちょうどドット道東のインターン生が合宿を行っていました。私たちもミーティング中に少しだけご挨拶。キラキラ目を輝かせて学ぶ姿に、頑張らないとな!と元気をもらいました。若さは強さ。歳を重ねても心は若くいたいですね。

このホステルは寮をリノベーション。
多くの人たちが関わり、つくられました。
客室につながる踊り場には完成予想図が掲示されています。

多くの人が交わり、ハハハと笑顔あふれる場にしたい。オープン前からその未来が始まっていたことを強く感じさせます。
館内を案内してくれたのは工藤安理沙さん。
ドット道東のSNSも担当し、先日NHK札幌で開かれたトークイベント「仲間づくりは泥まみれ」で登壇者もつとめました。

やわらかい声と優しい語り口で紹介されたことでこの空間のあたたかみを存分に感じることができました。
そして、インターン生の引率は釧路市を拠点に活動する「クスろ」のメンバーで、ドット道東の須藤か志こさん。

私が「『行く』と言いっぱなしにならないように」と伝えるとこう返されました。
嘘つきにはなりたくないですもんね
その通り!
行き来することでネットワークを広げてきたドット道東のメンバーに言われると重い一言ですね。ハハハ。
「ハハハ」に来たらやらないとと勧められた「ハ」ポーズ。自然と笑顔になる不思議空間でした。

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若者が守る老舗の味
このあとは昼食へ。向かったのはちょっと変わった老舗のお蕎麦屋さんです。何が変わっているかというと…

店主と店員がものすごく若いんです!
店主の近江幹太さんは21歳、井上陽さんは高校卒業後にUターンした19歳。ほかの店員を入れても平均年齢は20歳ほど。昭和2年創業の町のお蕎麦屋さんの味を引き継ぎました。
番組で、店を継ぐ思いについて近江さんはこう話しています。
チャレンジする姿を見てもらい、同世代の人たちが浦幌を見つめなおすきっかけになりたい
私が訪問した日は井上さんはお休みでお会いできず、近江さんも満席の店内をまわすため厨房で働いていてお話はできませんでしたが、暖簾から少しだけ顔を出して「こんにちは」と挨拶してくれた際の笑顔だけでも充実ぶりがうかがえました。
店内には店の歴史とどのように承継したのかをしらせる模造紙が掲示されています。町の小中学生が製作しました。

歴史を引き継ぎつつ新しいお店に。
その思いが町で生きる小学生や中学生に特に響いたようでした。
「包丁も持てないまま」には驚いたようですが。

店内の雰囲気を味わい、注文をしようとメニューを開くと魅力的なメニューが並んでいます。
熟考の結果、私は天丼とカレー南蛮セットを注文!

でも実は最後まで悩んだメニューがありました。それがローカルフレンズ浦幌編で滞在した住田カメラマンが注文した豚丼とかしわそばのセット。

豚丼の継ぎ足しのタレが美味しいんだとか。
最後まで悩んでいたらこんなささやきが…!
せたちゅーさん、一枚味見でどうぞ。
そう声をかけてくれたのはハハハホステルの小松輝さん。海老天との交換を進言しましたが「大丈夫です。でもかしは大きいですよ笑」と。「かしわ家だけに」と、さほどうまくもない返しを即座にしたものの、さてさてどうやって返していきましょう。

憧れの昆布刈石へ
宿題(?)を抱えつつ、次に向かったのは町を一望できるスポット。
いままさに見てきた営みが景色を輝かせ、思わず声が出ました。
人口4400あまり。若者が躍動し、人口の増減をはっきりと認識している20代がたくさんいる浦幌。いや~いい町ですね。

町を一望したあと向かったのは海沿いのエリア。
その道すがら詠風くんが去年自ら事務局をつとめたマラソン大会について教えてくれました。
実はこの道、企画した「うらほろマラソン」のコースなんです。ゴールは海で、ランナーの方はアップダウンがあるこの道を「人生のようですね」と話していました。まずは十勝の人向けに参加を募って開催しましたが、今後は全道の人たちにも参加を募り、人がこの町を訪れる、町を知る機会にしたいです。
すごいな~。
そんな話をしながら昆布刈石に到着したのは午後2時頃。
左には断崖の海岸線が。

右には太陽と海が広がっています。

多くの人に知らせたい北海道の景色がまたひとつ増えました。
この景色を一緒に見られた喜びを忘れぬよう3人で自撮り。

とはいえ風が抜け寒いため、短く堪能して即撤収!(笑)

このあと町の中心部に戻る前にもう一ヶ所、立ち寄ることに。ローカルフレンズ滞在記にも登場したミズナラでつくる浦幌木炭の炭焼き場です。

ちょうど木炭にする前の木材が積まれており、車を降りると、木のいいにおいと微かにスモーキーな香りが私たちを出迎えてくれました。
訪れた日の数日後、炭焼きの仕事を体感してもらう研修が予定されているということで準備のまっただ中。忙しいなか、炭焼きの仕事についてあれこれ教えていただきました。そろそろお暇しようとすると…
やってみますか?
と声をかけられ、突如まき割に挑戦することに!

「はじめてにしては筋がいい」とほめられ調子に乗りました(笑)
別れが近くなり、車の中で私たちにこんな話をしてくれました。
観光地というわけではないので、地域の暮らしや産業にふれてもらうのがこの町の楽しみ方。この町に戻りたい。この町で挑戦したい。この町の人と一緒に取り組みたい。そんな人たちをこれからも増やしていきたいんです。さらにこの春から5年間、小松さんが起業仲間と一緒に留真温泉の経営に関わることになりましたし、町でビールを醸造しようとしている人もいたりと、まだまだ面白くなりますよ!また来てください!!
詠風くん、案内してくれてありがとう。
また、行きますね。

なお、浦幌町の記事は最近多くのメディアで取り上げられているのでいろいろのぞいて、みなさんもぜひ足を運んでみてください。

もうひとつの約束の地へ
このあと私は田辺さんと帯広へ。
実は、今回の十勝旅ではもうひとつ果たしたい約束がありました。
この人に会うこと。

森山真人さんです。
2021年に東京から帯広に移住した方で、私がカメラを持ち歩くようになるきっかけになった人でもあります。去年の暮、市の中心部にお店を出したということで「行きますね!」と約束をしていました。
この約束もなんとかコンプリート。
さて、異動前にあと何個の約束をはたせるでしょうか。

2023年2月27日 瀬田宙大