NHK札幌放送局

ローカルフレンズ テーマ曲完成!制作秘話を大公開!

瀬田 宙大

2021年7月8日(木)午前11時47分 更新

ローカルフレンズ滞在記&フレンズニュースのテーマ曲が完成しました。4月のコーナー放送開始から流れていたので「え、まだだったの?!」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。でも、この曲、よく聴いていただくとラララと歌っているところが多く、歌詞はサビしかありませんでした。4月の宗谷エリア、5月の喜茂別町、6月の弟子屈町の放送、そしてフレンズらとのコミュニケーションを通じて、ついに歌詞が完成しました。作詞作曲は札幌市出身のシンガーソングライターなかにしりくさん。今回なぜ、私たちがなかにしさんに楽曲制作を依頼したのか。そして、地域のみなさんと共に創るという制作過程でなかにしさんが考えたこととは。その思いを全て記します。

❝時代をうたう❞アーティストとの出会い

私がなかにしりくさんに初めてお会いしたのは、2018年3月。
なかにしさんが書き下ろした、当時のほっとニュース北海道 テーマ曲「ドア」にこめた思いを伺った時でした。

もともと「ドア」の仮タイトルは「歓喜と歓声」。冬季オリンピックでメダルを獲得したどさんこアスリートがインタビューに答えている様子をテレビで視聴。語られた言葉に、知られざる努力の存在を感じ、それがきっかけで生まれました。それで「歓喜と歓声」というタイトルになっていました。それが最終的には「ドア」に変わりました。その狙いを伺うとこのような答えが返ってきました。

歓喜と歓声は、特別なことのような印象を持ちすぎてしまいますよね。でも伝えたいのは、日々の何気ない生活の積み重ねの中でのことで、毎日を大事にしてほしいということなんです。ムダだと思っていることでも、いつかは明確ではないけれど、自分の中にある未来への扉、『ドア』を開ける時に必ずつながっている。そんな思いをこめて変更しました。

この答えを聞いた時から、その瞬間の思いを言葉に変え、ひとりひとりにそっと寄り添ってくれる曲をつくるのが上手な方なんだなと感じていました。

その後、時代はコロナに。出会った頃は札幌在住でしたが、なかにしりくさんは関東との二拠点生活を始めていました。みずからを応援し続けてくれたカフェが苦境に立たされていることを知りチャリティーソングを作ったほか、会場に来てライブが楽しめないのであれば、それを逆手にとってオンライン配信で耳元に会場をつくる試みにも挑戦しました。

その名も「ヘッドホンライブ」。コンサート編成でスタジオでライブ収録を行い、チケットを購入した人にオンライン配信するというものです。会場では聞き逃してしまう細かな音のつくりまで楽しんでもらおうというものでした。

一方、私たちも新型コロナウイルスの感染状況をみながら、去年、出会い旅をスタート。今年度に入り、滞在記とフレンズニュースに形を変え、プロジェクトを続けています。ローカルフレンズは、この時代だからこそ、いまを生きる地域の人と一緒に生まれたプロジェクトだという思いが強く、その思いも曲に閉じ込めてほしい―。そんな思いから、いまの時代に合わせた音楽活動を続けるなかにしりくさんに楽曲制作を依頼しました。その後、月に数回開いているフレンズミーティングに参加していただき道内各地のフレンズと言葉を交わしてもらったり、番組を視聴してもらったりしながら歌詞のイメージをかため、つくりあげてくださいました。完成した「ローカルフレンズ」を聴いて、いま、本当になかにしさんに依頼してよかったなと心から思っています。

『ローカルフレンズ』歌詞を初公開

目にするまで分からないことが
きっとあるのに なぜかラクしちゃうよな
CMすら待てなくなってる
だけどそんなに毎日分刻みじゃないはずだよね

ちょっと最初だけ 重たい漕ぎ始め
超えたら ひらけてく全部

明日へと 急かされる日々で
ぱっと会って さよならじゃ気づけない
君が初めて見つけるかもね
ずっと探してきた宝物

いつ最後か分からない だから
なんの根拠もないけど「それじゃ、またね。」って言いたいんだ

もっと会えるなら
今日の特別は薄まってしまうかもしれないけど

明日へと 急かされる日々で
ぱっと会って さよならじゃ気づけない
歩こうよ 探そうよ
いつだって帰るにはまだ早いんだ

わがままに 時間をかけて
もっと見て ちゃんと聞いて 抱き合えば
そこで初めて 見つかるかもね
ずっと探してきた宝物

対談インタビュー❝こめた思いと願い❞

「ローカルフレンズ」の完成を受けて、先日、札幌拠点放送局のほっとニュース北海道のスタジオになかにしりくさんをお迎えし、対談収録を行いました。こうしてカメラの前でお話しするのは3年ぶりです。まず伺ったのは曲にこめた思いです。

―――この曲にはどんな思い、そして時代感をのせたんですか?

いま、情報やエンタメはスピード感とコンパクトさが求められているような気がしています。それがどんどん進んだ結果、時間をかけて何かを味わうとか、あえて手間暇をかけて何かをするということにすごく腰が重くなっているという感覚をもっています。そうした現代において、ローカルフレンズという企画は、少なくとも一か月という時間をかけて地域を見つめ、伝えていく。おもしろいですよね。テレビのようなスピード感命の世界の人たちが取り組んでいるのを見て、刺激を受けました。楽や早いという方に軸足を置くのではなく、あえて時間をかけるスタンスが素晴らしいなって思いましたし、自分の中にもそうしたことを大事にしたいという思いがあったので、そこを核にして今回は曲をつくらせていただきました。

―――「ローカルフレンズ」という曲の中で、なかにしさんが特に大切にした言葉はなんですか?

2番の最初にある、「いつ最後かわからない」というフレーズですね。去年、新型コロナウイルスが蔓延したことによって閉店を余儀なくされてしまった店が数多くありますよね。僕ら音楽業界でいうとライブハウスとかライブバーとか、お世話になっているお店がなくなってしまって、また今度ねと言って別れた、それが最後になってしまったこともたくさんあるんです。ことし、こういう楽曲制作の依頼を頂いたときに、やっぱりいま感じたことを、ちゃんと歌詞というか、言葉にしたいなと思って入れることにしました。「いつ最後かわからない」というのは、別にコロナじゃなくても当然、みんな思っていることなんですけど、やっぱり、どこかでずっと続いていくし、まぁ大丈夫だろうと、僕は正直思ってしまっていたんです。でも、コロナが、そんなことはないんだということを気がつかせてくれました。あまり切実な感じにはしたくないのですが、一回一回が大事だ、いつ最後かわからない、だからこそ一瞬一瞬を大事にしていきたい。そういう思いはコロナが収束しても忘れたくない、持ち続けたい思いとして歌詞に残すことにしました。

―――コロナの時代になって、音楽制作にも変化があったんですか?

ありましたね。正直に申しますと、去年、僕は一曲も曲が書けなかったんです。なんというか、こういう時代だからこそ、音楽でみんなを元気にとか、希望をという気持ちもすごく分かるんですが、僕の心の状況的に、それがあんまり本当じゃないというか・・・。この一年、歌にしようと思ったときに作為的になってしまうなと思ってつくらないというか、つくれずにいたんです。考えて考えて、ようやくたどり着いたのがさっきの考え方というか、元気に行こうよとかじゃないけど、客観的に見て、いつ最後かわからないなって、そういう思いを持っておきたいなっていうことを歌えばいいんだと思ったんです。それが希望になるかはわからないんですけど、少し自分の中では整理がついて、歌にできるかなと思った感じですかね。それがことしの2月とか3月とかのことです。瀬田さんからの電話で楽曲の共同制作の話を頂く直前ですね。

「最後」にこめた思い

―――今回のローカルフレンズ、4月の放送に合わせて最初にサビの部分をつくって頂きました。でも、最初に頂いたサビの歌詞には「最後」という言葉は入っていませんでした。入れることに迷いがあったんですか?

悩みはありました。決め手は弟子屈町に行けなくなったことです。共同制作のピークとして当初から6月のディレクター滞在中に僕も弟子屈町に伺って、そこを拠点にいろんなフレンズの方にお会いして歌詞を完成させるということになっていました。でも、緊急事態宣言で中止になってしまいました。実は音楽業界でも最近はライブが中止になるっていうことはだいぶなくなってきたんですよ。コロナ時代に合わせた方法でうまく対応してきたので。でも、これだけ準備をしていても、パンとなくなってしまうことがあるんだなというのが実体験として直近にあったことが決めてとなりました。「最後」って、歌詞として歌うとネガティブな印象というか、あまりよくないかなと思ってはじめは入れていなかったんですが、いまを歌うのであればやっぱり「最後」も歌った方が本当だなと思ったので、最終的に入れることにしました。

―――確かにそうですね。私も含めて弟子屈に行って、地域の人と触れ合いながら曲を完成させようと話していたのが全てなくなってしまいましたもんね。私自身、自分の呼びかけが噓にならないように、不要な往来をしないように心掛けていたこともあって、緊急事態宣言などが出されたときに、積極的に行動を自粛していました。気がつくと、この一年余りで、なくなってしまうことに、諦めることにどこか慣れてきてしまっていたのかなといま話をしていて思いました。はじめは仕方がないという風に思っていましたが、長くなってきて、ちょっとそんな心持ちにいま疲れも出てきているなと。でもきっと多くの人がいまそういう状況にあるんですよね。心が折れそうな瞬間も多いですけど、流れていってしまう時間を無駄にするのはよくないので、いまを大事にしたいと思います。ありのままに言葉を紡いでくださったこの曲に、励まされました。

ムチャだけど、そこが面白い

―――ローカルフレンズのプロジェクト。特徴的なことが二つあると思っていて、一つは、地域のみなさんと常にオンラインでつながっていて、地域のみなさんに企画をプロデュースしてもらう、委ねるというスタイルだということ。そしてもう一つが、ディレクターが一か月間その地域に住まわせてもらって、そこで一緒に宝を探していくということ。それぞれについてプロジェクトメンバーの一人でもあるなかにしさんに印象を聞きたいのですが、フレンズのみなさんが自らプロデュースするという仕掛けはどうでしょうか?

本当にムチャするなって思います。言ってしまえばプロデュースに関して、その地域の人たちは初めてやるわけじゃないですか。それを委ねるということは、結果がどうなるかわからないわけですよね。それでもやると決めて、毎週放送する。その、ちょっと実験的な部分というか、そのプロセスも見せていくスタイルがすごくいいなと思いました。これは僕の偏見かもしれないですけど、例えばどこかの地方を取材しますということになったら、たぶん最初にゴールを決めておくというか、こことこことここをこう取材しよう、こういう人の話を撮っておこうとか、ある程度、台本ができあがっている状態で取材とかをするのかなって想像してしまうんですけど、今回のやり方だとそうじゃないですよね。一から本当に作っていって、どれが生かせるかどうかも分からないっていうなかでやるっていうのが、非常に素晴らしいし、実験的でいいなと思いました。なによりも、絶対に面白いと思うんですよね、未知数なので。予期しないものってこわいけど、やっぱり面白い方が勝つんじゃないかなと思って楽しみにしています。

―――ディレクターが一か月間その地域に滞在するということについてはどうですか。

これも本当にムチャするなって。でも、長くいるからこそわかることって絶対にあるんですよね。ディレクターさんが一か月いるって、パッと聞くと何をするんだろうと思っちゃうんですけど、一週間ごとに一つの作品を作り上げるというか、一か月で、4クール分の仕事をひとりでするということで、すごく密度の濃い一か月間を過ごされているんじゃないかなと思って、羨ましいなと思います。

―――それはものをつくるクリエーターとして、羨ましいということですか?

最初の話に戻るんですけど、早くて、コンパクトっていうものが求められている時代だけど、それだけだと深さがないと思うんですよね。パッと聞くとか、パッと味わう分にはいいんですけど、何にも残らないというか。時間をかけて深みというか、何かちゃんと残る、人の心に残るものをつくるっていうのは今こそ、すごく大事なんじゃないかなと思っているんです。そのために一か月という時間をちゃんとその街のために使うっていうのはすごくいいと思いましたね。

―――この3か月間、テーマ曲として中西さんの曲を流しながらお伝えしてきましたけど、ご覧になって、関わってみて、今後への期待、今どんなことを思っていらっしゃいますか。

いま種まきというか、いま活動してきたことが一気につながって、ローカルフレンズを見たからちょっと道東行ってみようかなとか、喜茂別行ってみようかなとか、稚内行ってみようかなという人が増えてくれたら嬉しいですよね。そんな展開ができたらいいなと思っています。僕は音楽面で、その動きをつくることに協力できたらいいなと思っています。何より僕も各地に出かけてみんなと会いたいです。

―――放送上フレンズと呼んでいるみなさん、いまは番組上に出てくる人ですが、番組をご覧のみなさんが実際に現地を訪れたときにそのフレンズの人とも言葉を交わしてくださると、案内役に変わり、地域がより見えてくるという部分もありますよね。

そうですよね。実際に会えますもんね、お店の方とかならなおさら。なんかその、ロケ地巡りじゃないですけど、あぁご本人だという感動もありそうですよね。それを想像するとすごいですよね。それぞれに嬉しいだろうし、絶対きっかけの一つになりますよね。オンラインも大事だけどやっぱり違うんですよ。リアルが大事だなってつくづく思います。でも難しいことがあるのも理解しているので、我慢の時期は続いていますが、今できることを腐らずにやって、新しいことをあれこれ探していければいいなと思います。

―――お話を伺っていると、コロナ時代になって初めてなかにしさんがつくることができた曲ということもあり、ご自身にとっても特別な一曲になっているような印象を受けました。今回、お話を聞いて、私自身も制作を依頼できたこと本当に嬉しく思っています。

そうですね、アーティストを探すとなった時に僕のことを思い出してくださって本当にありがとうございます。ようやく曲を書きたいという思いになったタイミングにプロジェクトのメンバーに加えて頂いたこともあるとおもうんですが、この曲は、時間をかけてやるぞいう、ある種の決意表明でもあるなと感じています。時代の流れに逆らってでも、自分のペースで、でも絶対に納得のいく、深みのあるものをつくるぞと。

―――この曲を、放送を応援してくださっている方、フレンズのみなさん、ローカルの皆さんと一緒に歌いたいですね。

本当に。早くみんなと会いたいですね。それまでのお楽しみの一つとして、ローカルフレンズをみなさんに口ずさんでもらえたら嬉しいなと思っています。そして、いつか絶対みんなで歌える日、歌えるシーンが来るじゃないですか。それをぼくも想像してレコーディングをしました。みんなで楽しめる時間というか、みんなで同じ場所にいて、同じ空間を共有できる日が来るといいよねという希望をちょっとでも持つことができたらいいなと思っています。その時には大合唱したいですね。

―――その日を楽しみにしたいと思います。ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。あー緊張した 笑

今夜のほっとニュース北海道で初お披露目!

ローカルフレンズのフルコーラス完全版は7月8日(木)のほっとニュース北海道(午後6時10分~全道)で地上波初放送。放送後には北海道NEWSWEB(一週間限定)ローカルフレンズ滞在記Webにも掲載しますが、道内の皆さんはぜひ今夜の番組をご覧ください。

なお、次回の滞在記は9月の放送。
オホーツク海側の西興部村を舞台に地域の知られざる宝を探します。お楽しみに!

2021年7月8日




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