NHK札幌放送局

パンに❝ こねた ❞思い

瀬田 宙大

2021年5月31日(月)午後0時13分 更新

6月20日までの延長が決まった緊急事態宣言。先週金曜日、繁華街・ススキノでおよそ30の飲食店を経営する会社の青木康明さんにお話を伺いました。教えてもらったのはビールをパンにこねた思いでした。

延長を受けて

青木さんは、以前、特集チェンジ「ススキノ大学」で取材をさせてもらった経営者の方です。「他社と争っている場合ではない」と語り、ススキノのおもてなしを底上げしようと、複数の企業の社長らと協力。仕組みづくりを進めていました。

青木さん達のグループが経営する飲食店の多くはアルコールを提供するお店。要請に全面的に従い、8割が休業、1割がデリバリーやテイクアウトのみ、1割が予約が入った時だけアルコール提供無しで開店という状況が続いています。今回の延長を受けてお話を伺うと、このような答えが返ってきました。

もう本当にギリギリの状態でやっているので、中途半端な形で要請が長引いていくことに不安がある。どのような数値で解除になるのか。アルコールと感染拡大、飲食店の対策状況などの因果関係があまり説明されないままに一律の制限を受けることに違和感は残る。もっと納得のいく説明が欲しい。

これまで、どんな局面においても未来を見た言葉が多い青木さんが現状を語る姿に、長期化の影響を感じざるを得ませんでした。

廃棄ビールを「つかう責任」

5月中旬。宣言発令を受けて休業を決めた青木さんは、開封済みのビールの樽を見て「何かに使えないだろうか」と社員に相談。検討の結果、パンが生まれました。ピザ生地に、水の代わりにアルコールを蒸発させたビールを加えて発酵、焼き上げます。通常のパンよりも製造に手間はかかりますが、麦の風味がより強く感じられるという特徴もあります。「うちのピザ職人が頑張ってくれて、美味しくできたんです。打ち込める仕事があるって大事ですし、期待に応えてくれました」と話していました。

毎晩、パンを焼きあげ、この2週間あまり、上記写真のように、取引先やお得意様に無料で配り「お世話になっています。これからも頑張りましょう」と声を掛け合ってきたといいます。青木さんは「この一年余り、私たちの後ろには多くの業者さんやそのご家族がいることを実感していて、そんな皆さんと一緒に何とか生き残りたいという思いが強くあります」と話し、従業員ひとりひとりにも「お店はほとんどが営業していないから来てもらうのは難しいが、パンを配りたい相手がいたら教えてほしい」と呼びかけているといいます。

明るい未来を信じて

青木さんは、コロナ禍のすすきのにエールをと、以前、クラウドファンディングを活用してクラフトビールを開発しました。今月、1店舗のイートインスペースをテイクアウトスペースに改装。宣言があけたら、クラフトビールのテイクアウトも始めようとしていました。しかし、宣言延長でそれも延期することを決めました。いまはそういう状況ではないという判断です。その上で、最後にこのように語っていました。

私は飲食店が協力するのは当然だと思っています。何よりも医療従事者のみなさんが大変なのはよくわかっています。命に関わり、余裕がない中で一年以上を過ごしておられるので。要請に従うことで協力になるのであればそうします。一方で、一か月、一か月真剣に経営をしている状況でもあります。東京などでは申請したにもかかわらず、協力金が支払われていない飲食店があるとも聞いています。万が一、札幌でも同じことが起きたら・・・と、想像するだけでも恐ろしいです。行政も大変だとは思いますが、現場を見た上で、スピード感を持った対応をお願いしたいと思っています。

取材後記

取材中、青木さんの店の従業員の方ともお会いしました。休業などで十分に仕事ができない中でも、いまできることは何かを考えて働く姿が印象に残りました。厳しい中でも周囲に目を配ることができるかどうか。そんなリーダーの資質が、チーム全体に及ぼす影響を目の当たりにしました。こうした見えない努力を続ける飲食店は数多くあると思います。行けるようになったら取材でお世話になったお店から順番に足を運びたいと強く思いました。

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