NHK札幌放送局

#ローカルフレンズ(1)【瀬田宙大】

瀬田 宙大

2020年2月7日(金)午後3時56分 更新

先月末、三夜連続でお伝えした「ローカルフレンズ 出会い旅」。地域の人たちと強いつながりを持ち、私と地域を結び付けてくれる人=“ローカルフレンズ”にスケジュールをお任せして地域の素顔を映像化して全道のみなさんにお届けする新企画です。この企画の案内人を務めてくれたローカルフレンズ第1号が「ドット道東」という団体の代表・中西拓郎さんです。

(撮影 tomokikokubun)

仲間から「親方」とも呼ばれている中西さん。
オホーツクだけでもなく、釧路・根室だけでもなく、十勝だけでもない「道東」というアイデンティティーを多くの人が持てるようにしたいという思いから去年5月、仲間と共に団体を立ち上げました。
自らを“クリエイティブ百姓”と呼び、自治体や企業、個人など様々な案件を引き受けるフリーの編集者です。

31歳らしさと、地域の将来を見据えるビジョナリーとしての一面を併せ持つ愛嬌のある男性です。誰からも「拓郎くん」と呼ばれる姿に、地域の人との距離の近さ、信頼関係の強さが印象に残りました。それもそのはず。数十分会うためだけでも労を惜しまず、何時間も車を運転して会いに行くということを何年も実践してきました。本当の由来は知りませんが、人と人を結び付け、新たな仕事や価値を生み出すことから「親方」と呼ばれるのも納得です。インターネットが当たり前の時代に育ち、デジタルネイティブと呼ばれる彼らですが、心や生き方はアナログの大切な部分を誰よりも継承している新時代の人間なんだと感じました。

中西さんと地域との関係性が見える企画「ローカルフレンズ 出会い旅」。今後全道をまわっていきたいと考えていますが、準備も含め次回の放送までは少しお時間を頂きます。
それまでのお楽しみとして、中西さんと、「田舎の未来」の著者で遠軽町出身の佐野和哉さんと一緒にまわったオホーツクの旅をここでシェアします。

【ローカルフレンズ 出会い旅 オホーツク編①】

第一回 旅の始まり!北見市 おしっこの契り

旅の記録ほぼ全起こし ほっと通信88

第二回 津別町で興奮!!ぶちかませ道東

旅の記録ほぼ全起こし ほっと通信89

第三回 サロマ湖の冷凍カキ?!

旅の記録ほぼ全起こし ほっと通信90
旅の振り返り全起こし ほっと通信87

地域を爽やかに、若々しく紹介してくれた中西さんが代表を務める「ドット道東」とはいったいどのような団体なのか。その特集もあわせてご紹介します。

去年行われたクラウドファンディングで目標の3倍超、398人から334万円余りの支援を集めて制作が進む「ガイドブック」があります。舞台は「道東」、オホーツク、釧路・根室、十勝各地の魅力をまとめた一冊になる予定です。制作するのは「ドット道東」という団体です。道東各地でフリーランスで働く5人が中心となり、去年5月に設立されました。この団体が目指すものとは。そして、ガイドブックになぜ多くの支援が集まったのか。「ドット道東」に迫りました。

「ドット道東」とは

ドット道東」は道東各地でフリーで活動するデザイナーや編集者、ゲストハウスオーナーらが協力して設立した一般社団法人です。代表は北見市を拠点に活動するフリーの編集者・中西拓郎さんです。
中西さんたちは、オホーツク、釧路・根室、十勝に点在する、プレイヤーと呼ぶ「地域のために働く人たち」をつなぎ合わせ、結び付けることを目指しています。その理由を中西さんは「北海道独自の課題だと思うが、街と町の地理的な距離が、結果として精神的な距離を生んでしまっている。自治体ごとの境界が断絶を表現しているような感覚さえある。そうした状況では孤立してしまう人が出てくるし、発信力も落ちてしまう。市町村や振興局ごとではなく『道東』というエリアを自分事にできるようにしていきたい」と話しています。

全国から集まった398人の思い

ガイドブックの制作費用はクラウドファンディングを活用して集めました。100万円の目標に対し、集まったのは334万円あまり。398人が支援しました。このうち48人は「制作お手伝い」という支援メニューを選択しました。これは、交通費などは自費で負担しながら、ガイドブックの制作を手伝うというものです。士別市出身で東京在住のデザイナーの吉岡芽映さんも「制作お手伝い」を選んだひとりです。その理由を尋ねると吉岡さんは「道東の同世代がなぜ、そこまで地元に夢中になっているのかを知りたいと思ったのが一番大きい。協力して新しい地域の形を生み出そうとしているうねりは面白く、自分も参加して、一緒に北海道を盛り上げたかった」と答えました。中西さんは「これほど多くの人が『制作お手伝い』を選んでくれるとは思っていなかった。一緒に新しい価値を生み出していきたい」と話していました。

地域の先達のエールも受けて

ドット道東」の活動を地域の人たちはどのように見ているのでしょうか。津別町の造形作家でイラストレーターの大西重成さんは「出てくるべくして出てきた、地域気体の取り組みだと思う。土地の気配や暮らしの気配を形にして届けていかなければ、北海道は『ただの観光地』として消費されて終わってしまう。そこから脱却する未来をどうやって作るのか。誰かがやらなければならないが、実勢インするには相当の行動力が必要になる。若いエネルギーで各地を行き来して、地域をつないできた彼らがどんな価値を生み出してくれるのか楽しみだ」と期待を語りました。
中西さんがUターンして活動する中でたどり着いたのは「地域は結局、人が作るもの」だということ。「道東」が本当の意味で人るになれば大きなインパクトが生まれ、地域が変わるかもしれないと期待を抱いています。その上で、今回制作しているガイドブックはあくまでも始まりだと強調していました。

原点「1988」から感じる本気

中西さんは5年前、道東を刺激するメディアと銘打って「1988」というタイトルで情報発信を始めます。雑誌からはじまり、WEBでも数多くの記事を送り出してきました。「1988」というのは中西さんの生まれ年です。始めた理由について中西さんは「自分が関東にいる頃、いずれ故郷、道東に帰ろうと思っていたが当時必要としていた地域の暮らしや地方の仕事の現状、どんな人がいま活躍しているのかなど、帰りたいというモチベーションを持っている人にとって必要な情報が、アンテナを立てて探しているつもりでもあまり見つからなかった。同じように感じる人もいるのではないかと考えて、誰もやらないなら自分でやろうと始めました」と振り返ります。この実践力で構築したネットワークが「ドット道東」の原型になっています。
この雑誌を北見市のオフィスで読ませてもらった時に私が感じたのは、北海道の未来の為にも若い世代が故郷で働きたい、働けると感じて欲しい、頑張ってる人は同世代として応援したいという「友情」「仲間意識」「同志」のような、言葉にすると少しこそばゆい感情そのものでした。世代が同じだからこそ届くものもある。そんな思いも奥底にあり世代を表す「1988」をタイトルにしたのではないかと、深く考えさせられました。

取材を終えて

平成育ちをはじめ、インターネットが当たり前の時代に育った世代の人たちを「デジタルネイティブ」といいます。SNSなどに特化して、アナログ軽視、デジタル優先で生きているという印象を持つ人がいるかもしれません。しかし、中西さんをはじめ「ドット道東」の活動に参加する人たちが示してくれたのは、むしろアナログ、対面に勝るものはないという考え方でした。中西さんは「デジタルはあくまでも手段でしかない。ツールとしてうまく活用して効率化を図り、時間を生み出しているだけ。そうして生み出した時間を使って、例え数十分の為だけでも実際に足を運んで、人と会うことが一番大事だと思う」と常々話しています。
今回の取材を通じて、道内のデジタルネイティブ世代の多くは地域の未来、北海道の可能性を信じて、自ら動くことで変化を起こそうと挑戦している人たちなのだと感じました。そうしたアナログの極み、人に会いに行くことで生まれる一つの成果「ガイドブック」の完成を、取材者としても、北海道で暮らす一人としても楽しみにしています。完成はことし春の予定です。

なお、この特集制作の密着ロケの様子は ほっと通信85をご覧ください。

北海道の未来は明るい!
それでは、また(^^)/


(2020年2月7日)

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