NHK札幌放送局

#ローカルフレンズ(26)【瀬田宙大】

瀬田 宙大

2020年8月6日(木)午後3時40分 更新

#北海道ピットインラジオ をお聴きくださったみなさん。本当にありがとうございました。放送後に番組タイトルでもあるタグをTwitterで遡り、ホッとしました。北海道に限らずローカルにある共通の悩みと向き合ったり、闘っている人たちにとっても「ピット」になっていたのではないかと感じられたからです。リスナーのみなさんの声に加えて、福井慎二アナウンサーからは「ラジオの可能性、新しい時代の放送を感じた」とラジオに親しんできた放送人としての感想ももらいました。やってよかった・・・。このブログでは、 #北海道ピットインラジオ を担当して感じたローカルの熱量について書いてみることにします。

そもそも #北海道ピットインラジオ とは―。

ラジオでもお伝えしたコメントをそのまま紹介します。

ピットイン。レーシングカーが給油とかタイヤの交換とかで入って、また走り出す。あのピットインです。この番組も道内各地のローカルプレーヤーが思考を整えたり、課題を持ち寄ってアイデアを出し合ったり、あるいは、互いを励ましあって、再び、地域で走り出すための元気を取り戻す【ピット】のような場所でありたい。そんな思いを込めています。(ピットインラジオ関連記事はこちら

#北海道ピットインラジオ は今後も継続します!
全力でローカルで走り続けるプレーヤーのみなさんが、ピットインを希望するタイミングが来たら、またピットを開き番組としてお伝えします。第1期のthe Localsメンバーだけでもあと7人いますし、ラジオの中で少しお伝えしましたが第2期のメンバーの皆さんにご協力を頂いて道内各地で撮影を行っており、近く複数人のプレーヤーのみなさんが加わります。みなさんに、最低1度はピットインしてもらいたいという野望があります。それを考えただけでも、ずいぶん長く続く、NHK北海道の新たな試みになりそうです。

ひろがる!つながる!ローカルは無限大!

#北海道ピットインラジオ (ピトラジ)のタイトルは上川町の地域おこし協力隊で、番組では“超絶ハッシュタガー”とご紹介した絹張蝦夷丸くんが考えてくれました。本来は敬称を「さん」とするべきですが、ここでも普段通り「くん」と呼ばせてもらいます。蝦夷丸くんは、今回のラジオにも参加してくれたドット道東の中西拓郎くんと、#ローカルフレンズ出会い旅 のロゴやイラストを毎回描いてくれている北海道のひだりうえ・遠別町を拠点に活動している「NPO法人えんおこ」のはらちゃんこと、原田啓介さんの3人で #北海道シャトルラジオ (シャトラジ)というオンライン配信のラジオ番組を放送しています。今月3日の夜には、このシャトラジに、ピトラジに参加した服部亮太さんを迎えて感想戦を行っていました。近く、編集したものも配信されるそうなのでぜひ覗いてみてください。

この感想戦もそうですが、北海道のローカルで活動する人たちは多くが普段からつながり、刺激しあい、情報を共有し、背中とおしりを叩きあいながら、肩を組んで地域で活動しています。以前、地域のアンオフィシャルガイドブック「.doto」を制作している様子を取材し、拓郎くんへのインタビューで印象深かったのが「ローカルで活動する人は意外といて、でもその人たちが孤立していると、どんなに頑張っていても頑張れなくなる瞬間がある。だったら自治体の境界でなんとなくひかれている線を取っ払い、もっと広くプレーヤーがつながれば現状が変えられるんじゃないか。そのネットワークを一つの形にしたのが団体で、ガイドブックだ」という思いでした。その様子はつぶさに、Twitterやオンライン配信で見える化されているいまの時代。地域に根差し、「行動さえ起こせば」という条件付きでしょうが、よりひろがり、よりつながるチャンスはあふれていると思います。都会のコピーではなく、それぞれのオンリーワンの追及は本当に面白く、活動を見せてもらい、応援させてもらっているだけでも暮らしが豊かになっている気がしています。ローカルの可能性は無限大です。

こうした見える化で、ローカルプレーヤの汗のかきかたも明らかになりました。半端ないです・・・。私たちが、公共メディアとして”彼らのパートナー”になるためには、かける汗を今後もたくさんかかなければならないなと思いました。
同時に、距離感も大事だなと再確認しました。近すぎると見えなくなることもありますしね。それぞれの場所、それぞれの役割があって、個人として、NHKのひとりとして、どの位置どりがベストなのかを常に考え、ポジションを変える。計算ではなく、嗅覚を使って、いつもいい位置にいたいと思いました。鼻がきかなくなったら、あるいは匂いをかげない距離にいった時に何かエラーがあると思って、程よい距離で、ファンとして関わっていきたいなと思っています。

北海道には原風景と原体験、ヒトと大地がある

#北海道ピットインラジオ で事前に用意をしていたテーマは5つ。

◆北海道には、、、ある
◆どう生きる?コロナ時代
◆理想のローカルってどんな姿?
◆ねぇねぇ聞いて、私のピットイン
◆だからローカルに生きる 

このうち、ローカルの話をするのであれば、私たちが暮らす北海道を見つめなおすことから始めたいと考え「北海道には、、、ある」というテーマからスタートしました。

the Locals に参加し、「ナットク!とかちch」にもたびたび協力をしてくれているドット道東の理事で帯広市の野澤一盛さんは、#北海道ピットインラジオ のタグをつけてこうツイートしています。

ローカルは、なにもないんじゃなくて、あるができていないだけ。なにもないという認識を大人が作り出してしまっただけで、これからのローカルプレイヤーがあるを表現していければいい。それが.doto。

ラジオに出演した中西拓郎くんも「あるものは無数にある。“あるとする”という言い方もできる。自分の中で面白いをつくっていく。それをかけ合わせて、さらに創りだしていくまで」と語りました。そう、既にいろいろあるんです。誰がどう見ても、北海道には、なんでもあります。“ポテンシャルだけ”を脱却したいと活動するローカルプレーヤーがそれを表現するまでという野澤さんの宣言は、すでにゾーン「道東」の当たり前になってきているということなんだと思います。素晴らしい。

「ある」を、クリエイティブに表現したものとして思い出すのが、 #札幌discover-。#札幌disをcoverし、地域を見つめなおそうと呼びかけたあのムーブメントです。

私も以前、ほっと通信(81)ほっと通信(82)でご紹介しましたが、浦幌町の古賀詠風くんと、上川町の蝦夷丸くん、そして上のキーデザインの制作者・帯広市で活躍するデザイナー青坂さつきさんが中心となって、東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に変更するという決定に伴うSNS上の分断を巻き取って、クリーンな地域の未来を見せてくれたあの動きです。

古賀詠風くんは自らのTwitterのモーメントにこう記しています。

何もないと嘆いても、遠くの誰かをdisっても始まらない。札幌を、北海道を、ここから自分たちの手でdiscover(=発見)していきたい。そんなハッシュタグをまとめました!!

その上で、「北海道のみぎがわ道東の誇るイケてるデザイナー」と紹介されている青坂さんがハッシュタグからインスピレーションを受けてデザインに落とし込みました。その時にあわせて制作したコピーこそ、「札幌には、ある」でした。

札幌には、ある。
大きな空も、広い道も。
走りたくなる場所も。

この動きは瞬く間に広がり、「北海道には、ある」というコピーも発表。全道の人にのしかかったモヤモヤを晴らしてくれました。

ふだんから切磋琢磨するローカルプレーヤーらが、日々積み重ねてきた関係性を背景に瞬発的に発した輝きに、私たちも強く刺激を受けました。

だからこそ、私たちの宣言文にも、こう記しました。

そのとき、パートナーでありたい。

北海道には、ある。
すでに豊かな文化が。そして、待ち遠しい未来が。
教えてくれたのは、若きローカルプレーヤーだった。
いろんな個性、多様な経歴を持ち、活動する彼らは、
地元を(いい意味で)騒がせ、(前向きに)かき混ぜている。
彼らの描く未来は、静かに深く、浸透していく。
そのムーブメントは、やがて、最高のローカルをつくる。
そのときに、
私たちは公共メディアとして頼られる、パートナーでありたい。
ひそかに、実は熱く、そう意気込んでいる。

「教えてくれたのは、若きローカルプレーヤーだった」
「そのときに、私たちは公共メディアとして頼られる、パートナーでありたい」

そんな私たちを横目に、彼らはさらに先へ進んでいます。

上士幌ナイタイ高原            帯広幸福駅

実家での大晦日(北海シマエビ)      釧路川の白鳥

これらの4枚の写真は、札幌、北海道に続き、青坂さつきさんが、自らの拠点である道東のメンバーと制作した「道東版」です。
「楽しい場所にするのは、自分だ」とする人たちの動きからは、これからも目が離せません。

北海道には、、、ある」。今回の放送で出演者が挙げたキーワードは、奈良美智さんが「原体験」「原風景」「コミュニティー」、拓郎くんや蝦夷丸くんは「ヒト」「生き方」、服部さんは変わらずそこにある「大地の尊さ」でした。
このコーナーを始めるにあたり私はこう宣言しました。

北海道には、、、ある。何があるのか。なんでもあります。逆に何もないと思ってしまっている、当たり前になりすぎてしまって気がついていないこともあるかもしれません。

この言葉の背景には、私たち転勤族がふと訪れて知った驚きと、前述したローカルの確実な活動がったのでした。

ちなみに。
ローカルの活動を語る上で、プレーヤーのみなさんが使う言葉でいいなとおもっているのが「ひだりうえ」や「みぎうえ」という表現。例えば、北海道の「ひだりうえ=道北」は遠別町を拠点に活動している「NPO法人えんおこ」のはらちゃんが、「みぎうえ=オホーツク海側」は #ローカルフレンズ出会い旅 企画者の遠軽町出身のかずきゅんこと佐野和哉さんが、「みぎがわ=道東」は古賀詠風くんが、それぞれ使っていて、クリエイティブだなと思いました。こうしたやさしい言葉と、鋭い視点でローカルを見られる人が各地にいるということも北海道の強さ。北海道には、なんでもあります。

ノールック注意で、丁寧に生きる

ラジオの面白みは「行間」。人そのものが見えること。
ノールックリツイート(拓郎くん曰く「中身を見ずにひとまずリツイートすること」)とノールックパスはそれをよく表す現象でした。私は議論に耳を傾けながら、画面に映る出演者の表情を注意深く見ていました。真剣そうな表情でパソコン画面を見つめている(ように見えた)拓郎くんにパスをしましたが、ノールックリツイートをしていたとのこと。ラジオをしながらTwitterをするなんて・・・いまの子は、器用なことするのね。ファンブルさせてしまってごめんなさい!次回以降はそのことも意識してパスをします。でも、拓郎くんと話をしているとお互いにままある現象。あれで和んだ自分もいました。ありがとう。

番組後半はそんなハプニング(?)もありながら、釧路市阿寒町でゲストハウスのオーナーをしながらデザイナーとしても働く名塚ちひろさんのツイートから「ローカルで生きる」というテーマで語らいました。そのツイートはこちら。

みなさんが描いている5年後、10年後の理想の生き方を聞いてみたい…

この問いに、それぞれがどう答えたのか。
ほぼ全文起こしがいずれ公開されると思うので、ここでは話を聞いていた私の主観で書きます。

服部亮太さんは「子どもたちがいつも中心にいる、若い世代にスポットが当たるような大人として生きていたい」と、すでにいま意識して取り組んでいることの延長戦上にあるものが理想だと話していました。これに対して、上川町の絹張蝦夷丸さんは「上川町内のネットワークと同時に、札幌という都市部の人とのつながりも同時に重要。都市にいながらしっかりとローカルにも目を向けてくれる、服部さんのような人がいるかいないかは大きく違う」と語りました。
そんな蝦夷丸さんは自らが3年という任期がある地域おこし協力隊という働き方を選択したことから、「将来については否応なしに考えざるを得ない。上川町はローカルとしては理想的な環境にあるが、もっとネットワークを拡張したいし、仲間も欲しい。そして、将来何を生業にするのか自分の生き方を考えると焦る部分もある」とも語っていました。
「将来の生き方」について、奈良美智さんは「未来は考えない。過去ばかり見ている。過去や歴史は変わらないからこそ、その中から確かものを見つけ、そのことに目を向け、明日をどう生きるのかが大雪。その先に、結果としての未来がある。焦らなくていい。大切なことは、やれることをちゃんとやること」というメッセージがありました。この言葉を聞いた拓郎くんが、「今のことに精一杯で、未来までわからない。いまで必死」と、本音を吐露してくれました。

この時、拓郎くんが以前「ローカルで生きることは、決めの問題。ここで生きる覚悟を決めたまで。先のことより、いまをどう生きるかだ」と話していたことを思い出しました。道東をはじめ、ここ最近の北海道では目立つ存在になってきた拓郎くんが「いまで必死」と語ったことは意外と思った人がいるかもしれません。でも、みんな悩みながら闘っているんですよね。ローカルで生きるということはそういうことなんですよね。こうしたやりとりを受けてTwitterに流れてきた「丁寧に生きたいと思う」という言葉に、私も大きく頷きました。

ローカルの話は綺麗にまとめない!

番組が終わった後に奈良さんが見せてくれた自筆の「ありがとう!」。どこまでも優しい先輩の姿に感動しました。北海道を、ローカルを思う奈良さん、引き続きよろしくお願いします!
繰り返しになりますが、この番組、今後も継続します。
ローカルごとの闘いや悩みを共有し、それぞれが理想とする地域の未来に一歩近づくためには何が必要なのか。みんなで同じ未来を目指すのではなく、それぞれの将来に向けて、それぞれの進捗状況で番組にピットインしてもらい、共有できることは共有し、叱咤激励しながらまた走り出す。そんな場に育てていきたいと思っています。“それぞれ”でいい。だから、なにかまとめたりする必要はないとおよそ2時間の番組を担当して思いました。なので、今後もきっとまとめません。だから、気軽にみんなの声を持ち寄って、言いたいことは言って、ピットアウトしましょう。

ローカルな音楽も楽しもう

このラジオ番組で個人的に楽しみにしていたコーナーのお話を最後に。それは、ノールックのやりとりや、奈良さんの言葉をかみしめる時間にかかった音楽タイムです。出演してくださっているローカルプレーヤーの皆さんがそれぞれ選んだ楽曲を、自ら曲紹介するこのコーナー。今回の出演者3人がレコメンドした楽曲を最後にご紹介しておきます。
服部さんが JHONLEON 「Elevation」
蝦夷丸くんが ランチブレイク 「吉報」
拓郎くんが アキオカマサコ 「Ray of light」
そして私は、#ローカルフレンズ出会い旅 でもたびたびご紹介している 蓑田峻平 「City Light」 をオープニング曲として選ばせてもらいました。それぞれの選曲に込めた思いはほぼ全文公開のページでご紹介しますので、私がなぜ蓑田さんの曲を選んだのかを書きます。函館の夜景を想起させるこの楽曲。ひとつひとつが人の営みであり、輝きの集合体が街になる。この番組が、ひとりひとりの活力になればいいなという思いを込めました。この楽曲は函館在住のフリーライターせいらさん(函館旅まとめページはこちら)が私たちに教えてくれました。ありがとうございました。

内容盛りだくさんの #北海道ピットインラジオ 今後ともよろしくお願いします。

【おしらせ】
the Locals 兄弟姉妹プロジェクト #ローカルフレンズ出会い旅 初の25分拡大版がまもなく放送されます。 

#ローカルフレンズ出会い旅 #知床と清里にほれこむ件
8月11日(火)よる10時45分から(総合・北海道)

つづく

2020年8月6日

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