NHK札幌放送局

ほっと通信(88)【瀬田宙大】

瀬田 宙大

2020年1月29日(水)午前11時32分 更新

今夜から3回シリーズでお届けする「ローカルフレンズ 出会い旅」。初日のきょうは北見市中心部と北見市端野町をめぐります。

女満別空港に降り立ち、ローカルフレンズ(詳しくはほっと通信86ほっと通信87)の中西拓郎さんと佐野和哉さんと合流した私。行き先は一切、教えてもらえないまま車に乗り込み、向かったのは…。

美味しいパスタを提供してくれる北見市中心部のカフェ&バー。
とりあえずニンニクたっぷりのペペロンチーノを食べましょう」と言われ、私は「女満別長いものとろろがけ和風ペペロンチーノ」を、中西さんたちは「牡蠣のペペロンチーノ」などを注文しました。

ふわふわのとろろとモチモチのパスタ。ニンニクとキレのある辛みがアクセントになっていて、とても美味しかったです。聞くと、北見や遠軽出身の彼らにとって高校時代から知っている馴染みの店だといいます。店主は北見市に詳しく、最近は知床でガイドもやっていると教えてもらいました。でも、ニンニクたっぷりのパスタを食べる理由は一切教えてもらえず、モヤモヤを抱えながら次の目的地へ。予定がわからないことって、結構ストレスなんだなということもわかりました(笑)。

そんな中、到着したのは、地元ではよく知られている牛の尿を活用した消臭液を販売する企業でした。

そうです。消臭液です。ようやくニンニクたっぷりのパスタをみんなで食べた理由が判明!彼らはいかに消臭能力が優れているのかを私に教えようとしていたのです。早速噴霧してもらったところ…ん?!…効果がわからない…。正直に言っていいのだろうかと言葉に困っていると、企業の社長・窪之内誠さんが口火を切ります。「ニンニクもね、嫌だと思う人もいるんですけど、そのもの本来の匂いだから実は効かない。ただし、腐敗したにんにくの匂いは消える。たとえばイチゴでも、イチゴのいい匂いは消えないんですね。ただ傷んでしまって、おかしい臭いしてるなっていうのは消えるんです。なぜならバクテリア、微生物が分解して臭いを出す。その微生物が出す腐敗臭に対して、この消臭液は非常によく効くんです」。

想像とは違う伏線の回収。でも、そうだったのか!と、全員が笑顔で納得しました。

製造プラントを見学しながら窪之内さんは「ここには牛の尿を無害化したものが100トン以上あります。実は酪農家の皆さんにとって尿の処分は手間もコストもとてもかかるもの。それを私たちは購入させてもらって、製品に変える。酪農家の皆さんも潤うし、我々も潤う。いわば邪魔者で経済をまわしているんです。いわゆるアップサイクル型循環モデルを実現しようと頑張っているんです。さらに微生物は生きているので、抗菌活性も認められています。除菌、殺すのではなくいいバランスに戻すことで消臭も実現されるんです」と話します。

一通り社内を見学させていただいたところで、落ち着いて話を聞くことに。すると、窪之内さんの熱量がさらに爆発します。

~以下敬称略、窪之内は誠社長、(覚)は会長です~

窪之内
お付き合いさせてもらっている酪農家さん、この液体を自分の敷地に散布しているんですが、臭いもせず、ハエもいないと話していて、非常に周囲に驚かれているというんです。

窪之内(覚)
なぜハエがいなくなるんだっていうことを聞いたら散布したと。そこでハエを調べたんですよ、自分なりに。するとばい菌がいないとハエは育たないと。そこで、この液体がばい菌を減らしているのではないかと考えるようになったのがはじまりだったんです。

瀬田
その仮説を立てたと。

窪之内(覚)
当時、安全性の検査でいろいろと調べてもらって、やっぱりばい菌が、悪い菌が減っていって、いい菌が増えていってることがデータとして分かったんですよ。

窪之内
拓郎くんがさっき言ってましたけど、まさに「実感主義」!効くということが前提条件にあって、そこから調べることがこの液に関しては多いんです。普通の研究って、基礎研究を重ねてから進むんですが、その逆のモデル。製品としてできあがっているものを、いま北見工業大学や研究機関と協力して基礎研究をまさに行っているという珍しいモデルなんです。いまはスピードをあげて突き詰めていこうと取り組んでいるところです。そうした中で、実は2月以降にJICAに採択されて、ブラジルに売込みにも行くんです。ブラジルは農業国なので、土地に散布してどうかなどを探りに行くんです。日本で生まれたこの技術や商品を、移住者が多いコミュニティーを通して、他の国にも貢献できるようなものにできるかもしれない。厄介者が地球を変えるような商品になるかもしれない。それにチャレンジしているんです。

瀬田
グローカルだ。地球の環境とかなり密接に関わり合いのある企業だからこそできることですよね。

窪之内
たまたまこの地域で、牛を通じて機会をいただいたので全うしていきたいと思っています。もうひとつ面白いのは、使い方をお客様が教えてくれるということ。例えば、アルコールで拭くとどうしても高齢の方や赤ちゃんが肌が荒れたり、ペットも困ると。そこで自宅の拭き上げに使っていますとか。僕らの知らない使い方をお客様がアップデートしてくれて、それをもとに、ニーズがわかりやすいようにパッケージングしようかとか、効果があるか確認しようかということも起きています。

中西
あの、盛り上がっているところすみません。素朴な感想を…なんか僕たちテレビの対談番組の最前線にいる観客みたいだなって(笑)

佐野
確かに。
いま、話を聞きながらちょっと前のことを思い出していたんですけど、地域で活躍されている方に「こういうことをやりたいんです」と言っても相手にしてもらえないことがあった時、窪之内さんは話を聞いてくれて、それがとにかく嬉しかったなと。あの時も背中を追っかけていきたい存在だよなと思いましたけど、今も改めて感じましたね。

瀬田
窪之内さんは二人を引き上げてくれる、地域の先輩みたいな存在なんだ。

窪之内
いやいや。それを言ったら、僕も二人のおかげでいろいろ学ばせてもらったり、いろんな人を連れてきてくれたりして。社会関係人口とかいいますけど、信用している人が連れてくる人だと間違いないじゃないですか。しかも、北見まで来るって、東京からしてみるとある意味で海外に行くよりも時間も旅費も気候もハードルが高いと思っていて。だけど魅力はめちゃくちゃあるんで、そういったことを特に中西くんや佐野くんは全国に伝えようと努力されてるし、そうなると僕らも努力しなきゃなと思う。例えば東京や大阪といったもっと大きなマーケットにこの商品を伝えて、酪農家さんの問題や悩みとかも伝えながら、社会課題を解決したいんです!協力してください!!ってことを伝えていきたいんです。例えばビーカー1杯分を使ってもらうと、1杯分の牛の尿を皆さんが処理したことになりますと。共感型の商品なので、是非お力添えをいただきながら、僕らも長く事業を続けられるような基盤を作っていきたいなと日々思っています。

瀬田
酪農家や農家の皆さんを支える仕事。ここ北海道にそういう理念を持った企業があることが知れ渡ると、まわりまわって北海道の見え方全体も変わってくるかもしれないですよね。

窪之内
一般の観光客の皆さんとも近い距離にいると実は思っているんです。例えば、観光してても、たい肥を撒く時期とか、臭いの問題は酪農家の皆さんも気にされてるんですよ。まだまだ件数少ないですが、僕らが効能やメカニズムを解明して、利用する人が増えて、例えば畑にまいたりしたらにおいが軽減されて、空気がいまよりもおいしくなるかもしれないという思いも抱いています。

瀬田
観光と酪農の共存もしやすくなると。

窪之内
車出てにおいがする!とかね、みんな言うでしょ。北海道って空気がおいしいので、空気を吸いにくるだけのツアーがあってもいいくらいだと僕は思ってるんですよ。そういうことがこの液を使って、なにかお手伝いできれば、さらに酪農・農業、観光がつながって発展するんじゃないかなと思っています。夢は大きくですね。

窪之内(覚)
ところでね。この透明な液体(製品)ね、北見市の水道よりも遙かにきれいだと僕は思っているんです。飲んで大丈夫ですよ。うまいんです(笑)
(※飲料用ではありません 安全確認として口にしているものです)

窪之内
そうそう、実は会長が本当に大丈夫かどうか分からない時に、毎日肌につけたり舐めたりして大丈夫かどうかってやってた名残なんですよ。かつての安全性試験。未だに舐めて、つけて、吸い込んで大丈夫か確認して、さらに機材で数値を取りながら間違いない商品を出そうということで続けているんです。

会長
(製品が入ったビーカーを差し出しながら)どうぞ。

瀬田
おしっこの契り!一体、何の契りを交わすんだっていう感じですね(笑)
じゃあ、いただきます…。あ、おいしゅうございます(笑)というのはあれですが、でもほんとに香りも当然ないですし、さらっとしてる。お水よりは硬い感じ…、硬水みたいな感じ…って、何を語っているんでしょう(笑)

中西
実は僕も、体調が悪い時とかにたまに飲んだりするんですよね。会長が毎日飲んでいるっていう話を聞いてから、たしかに体によさそうだなと思って(笑)

瀬田
中西くん、ちょっと疲れてるみたいだから、はい(ビーカーを渡す)

中西
(飲む)おいしい…って、これおいしいためのものじゃないから(笑)じゃあ、はい、かずきゅん(ビーカーを渡す)

佐野
(飲む)飲めます、おいしい。体の中から悪い菌が減りそうな気がする(笑)もともとおしっこだとは思えないような。

窪之内
人への効果は正直わからないんですけど、実はいま、猫のユーザーさんが口内炎が治ると某大手サイトのレビューに書いていたんですよ。せっかくだからそれの試験をちょっとやろうかってことで、北見市から補助をもらって、猫の口内炎の原因菌の一つを抗菌活性できるかどうか調べてるんです。それがもしわかってくると、猫って口内炎になるとご飯を食べなくなって、場合によっては衰弱してしまって死んでしまうこともあるそうなんです。そういう悲しい事象を減らすことができるかもしれないなと思って。3月くらいには一つ結果が出てくると思います。そういう未知の可能性がいっぱいあるんです。って、みんな飲んだから僕も飲んでおかないと(笑)

瀬田
いままさに進めている様々な効能分析など、解明されていない部分がわかってくると面白くなりそうですね。

窪之内
機械がどんどん進歩していって、僕らDNAまで落としこんで微生物を見ているんですよ、当然。で、それもやっぱり10年前じゃできなくて、だんだん分かってきたことがある。それを細かく分析してすべて解き明かしていく作業が、この先楽しみです。世の為、人の為、地域のためになればとね。

窪之内(覚)
限界を超えた、汚れがひどい環境汚染に対して、もしかしたらこの液がわずかでも何かの手助けをして、元に戻るように働きかけてくれるんじゃないか。いろいろ、わかるまで社長は頑張って下さいね。

瀬田
引き継ぎが(笑) 

中西
公開引き継ぎだ(笑)

窪之内
はい。いろいろお話ししましたが最後に。私たちの会社では、こうした微生物から発想を得て、発酵経営という考え方をしているんです。微生物の拮抗作用、微生物があるとどんどん増殖してくので、そういうことを習っていい人がいれば伸びると。うちの会社ではチーム作りをしていて、誰がいいではなくて、その時々で強みを持った人が輝くようにチーム編成をして、やっていきましょうってことをやっているんです。生き方も、液に教えてもらってるって感じですね。

瀬田
話がつきませんね(笑)

このように話は盛り上がり、頂いていた時間を大幅に超えてお邪魔してしまいました。ご協力、本当にありがとうございました。放送は、このあと午後6時10分からのほっとニュース北海道でお伝えします。

それでは、また(^^)/


(2020年1月29日)


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