NHK札幌放送局

#ローカルフレンズ(37)【瀬田宙大】

瀬田 宙大

2020年10月13日(火)午後4時36分 更新

先週末、BSプレミアム「家族になろうよ」の司会のため、久しぶりに渋谷へ行ってきました。出勤前に“渋谷の伊達”を見ようとMIYASHITA PARKへ。みなさんはご存知でしたか?渋谷の新スポットに、北海道・伊達市出身の彫刻家が手掛けたモニュメントがあることを。僕は最近知りました。ということで、実際に行ってきました!!

そのモニュメントは…

ボルダリングウォールの上に佇むチンパンジー『YOU we.』。

作者は、伊達市出身の彫刻家・渡辺元佳さんです。

都心だけでなく、伊達市でも作品を見ることができます。

例えば「道の駅」。
伊達成実公の兜を模したモニュメント。
“毛虫”の部分がそうです。
「前にしか進まない」という点が、伊達との共通点ですね。

私が渡辺さんを知ったのは、#ローカルフレンズ出会い旅 #伊達は応援合戦だった件 のロケでのこと。オンラインでつないでお話を伺いました。
―――伊達市に彫刻家として関わることになったのはどんなお気持ちなんですか。
嬉しいですよね。3年前の展覧会の時も、瀬田さんがいる『ロコベース』のマスターの荒井さんがお店もあるのに昼間は設営を一生懸命手伝ってくださったんですよね。そのこと自体もありがたいなと思うし、この空間があることで居場所がある、伊達に帰った時に気軽に行ける場所があるというのはものすごくありがたいなと思っています。まさにハブですよね。
―――いま少し出ましたけど、伊達市とのかかわりが深くなったのは、この蔵のマスター荒井さんや奥田さんたちとのつながりができたことだと伺ったんですが、しばらく離れている伊達のイメージってかわりましたか?
渡辺)
そうですね。僕が伊達にいたのは18歳までで、高校を卒業した後は正月とお盆に帰るくらいだったんです。だから、大人のというか、街を動かしている人や動かしていきたいと考えている人には接したことがなかったんですね。みなさんとの出会いは、大人のつきあいとして故郷に関われるという意味で新鮮だったんです。僕自身も東京でパブリックアートをやったり、街づくりを考えたり、地域のコミュニティーと一緒にアートプロジェクトをやったりしていたので、そんな目線で伊達市のことを見られるのは嬉しいですよね。
―――150年の記念彫刻である、あの兜の毛虫に願うことは?
渡辺)
あのブロンズもはじめは金ぴかだったんです。徐々に色が濃くなって、汚れたような質感になったり、いろんな表情が出せるものなんですよね。地域のみなさんが金ぴかにしたいと思えば磨けばいいし、そのままの風合いも楽しめるし。長く街の中にとどまって、「人々と会話」をたくさんしてもらえたら嬉しいなと思っています。
―――伊達が持つパワーって、なんだと思いますか?
渡辺)
やっぱり人だと思います。あと、気候。お金じゃ買えないですからね。気候がいい人を呼ぶし、気候に癒された人が新しいものを生むし、柔軟性を生むんじゃないかなと。“北の湘南”じゃないですけど、僕は結構住みやすくていい地域だなって思いますね。本家と比べても。これからも新しい文化、活気をつくっていってほしいし、関わっていきたいですね。

このインタビューを伺ったのは、蔵を改装したビアバー。

地域の人間交差点ともいえる場所で、ここに来ると伊達や西胆振を思う人と確かに出会えます。
この日も数多くの人が集まり、それぞれに語り合っていました。

マスターは、荒井秀樹さん。
私がこの写真を撮っていると…後ろでシャッター音が。

撮影していたのは24歳の吉田貫太郎さん。

おっくんが、いまイチオシという西胆振の若手のプレーヤー。
自費でフリーペーパー「スピーチバルーン」を作成しています。

番組では、貫太郎君の取材にも同行。

地域の輝きを、自然な会話で探していました。
特に、壮瞥町でミニトマトを栽培している木村大作さんとの会話は心に残りました。
―――貫太郎君はフリーペーパーをつくっているんですけど、ご存知ですか?
木村)
知っています。若い人が発信をする意味があるなと思うんで、頑張ってほしいですね。
吉田)
ありがとうございます。地域のいいものとか、力を入れて仕事をする人をもっと知ってもらうお手伝いが少しでもできればと思ってやらせてもらっているので、嬉しいですね。
―――24歳でこういう思いをもってというのは、大事にしたいですよね。
木村)
実は、僕が農業で独立したのも24歳だったんです。最初、すごく若いからって僕も相手にされなかったり大変な思いをしましたけど、それぐらいの時期って情熱にあふれているものなので、成し遂げる力はあるなと思っているんですよね。
―――まさか、24歳でつながったね貫太郎くん!
吉田)
びっくり。はじめから壮瞥町で?
木村)
そうですね。本音でいうと、本当に若かったですし、お金もそこまでなかったので、なかなかどこに行っても受け入れてもらえなかったんですよね。でも、壮瞥は役場が窓口になってくれて、「やる気がありそうだから頑張って」と言われて今があるんです。本当にご縁があって壮瞥町にという感じですね。やる気を買ってくれました。
―――チャレンジする。アクションを起こすと、次につながるということですね。
木村)
そうですね。応えてくれる人はいると思います。僕自身もまっさらな状態からはじめて、本当にいろんな人に助けてもらってやってこられたなと思っています。地域のみなさんが助けてくれるのが、西胆振の空気。すごくいい地域だし、人に恵まれた場所だなって思っています。僕はもうチャレンジをはじめてから十数年たったので、今度は応援する側かな。よかったら農場にも来てください。
吉田)
いいですか!ぜひ伺います。ありがとうございます。

貫太郎君、これからも頑張ってね!!

【“寺ス”の発想は、地域のマルシェ】

伊達市の旅では、地域の雑貨屋さんにも。

藤田晶子さんは、京都府からの移住者。
地域の暮らしに彩りと潤いを届けるステキ雑貨を集めた、セレクトショップを経営しています。実は、前回のブログでご紹介したイベント「ミュージック寺ス」は、藤田さんが自らの店の前で開いたマルシェがヒントになっています。コロナ禍で人が集まりにくい中、屋外にテラスを新たに作ってイベントを開きました。
ここで、素朴な疑問が浮かび聞いてみました。
―――ところで、なぜ伊達でセレクトショップを開いたんですか?
藤田)
この風土が気に入ったんです。一番は。ここでやると決めた時に、はじめは都会にいる友達からも伊達の人からも「なんで?」と言われたんです。確かに商圏としたらミニマムかもしれないけど、競業他社はいないしチャレンジする価値があるなと思ったんです。実際開いてみたら、ありがたいことに多くの人が利用してくださってるので。ほら!って感じです。
―――私には見えていたぞと。
藤田)
それに、都会だとライバルの問題だけではなく、家賃も高すぎるし、固定費もかかりすぎるし、絶対にテラスをつくるとか、店を開くとかいろんなチャレンジできなかったんですよね。だから都会でくすぶっているくらいなら、地方に来てお店をもつというドリームを実現する方が幸せ。チャンスはいっぱい転がってるなと実感がありますね。まだまだやれますよ。
―――コロナ禍って、どうだったんですか?
藤田)
一番は、このまま世の中の動きが止まっていたらどうなるんだろうと、閉塞感に対する恐怖しかなかったですね。でも、怖がって布団をかぶって震えていても何も始まらないので、屋内が難しいのであれば、屋外をどう生かすのかを考えたんです。できる範囲のことをできる限りやって、それこそ堂々とやりましょうと。農家さんたちも新しい販売先として好意的に捉えてくれた印象です。
―――結果として、地域の暮らし全般を売るお店にもなったと。
藤田)
そうなんです。もともと、衣食住に力を入れていたんですけど、加工品はあっても、生鮮食品は扱っていなかったんです。でも、テラスでお野菜を販売することでお店がトータルで地域の暮らしにつながるという形になったんですよね。面白いですね。

藤田さんは聞くと同級生。
行動力と明るさに力をもらいました。
今度はゆっくりプライベートでお伺いしたいです。

【やる気をトコトン応援!】

伊達市の旅のフレンズ・おっくんが自らの原点と語る人たちも紹介してくれました。
写真の右手前の栗原竜太郎さんと、右後方の寺島寛さんです。
その理由を聞きました。
―――お二人とはどういうつながりだったんですか?
おっくん)
3年前に、僕がまだ京都にいる頃にSNSで「北海道伊達市」というハッシュタグをつけて投稿している人がいると思ってずっと追っていたんです。そうしたら「いいね」が返ってくるようになって、そんなことをしているうちに、面白そうなことをされている方だなと思っていたらそれが栗原さんで。「イベントに来ない」って誘ってもらって、そこからつながっていったんですよね。寺島さんともそのあとつながって、次から次へと地域の人とつないでくださったんです。
―――伊達に戻る前からつながり始めていたんだ!
おっくん)
そうですね。何かやりたいといっても仲間が必要じゃないですか。でも当時は僕も同級生以外に実は知っている人って少なくて。そんなときに二人がいたから今があるという感じで、原点ですよね。
寺島)
我々はそんな風には思っていなくて、もともとやる気があるなー、すごい人が伊達に帰ってきてくれたなというのが正直な印象だよね。
栗原)
僕たちは地域活動をしている人とか、移住を考えている人たちのサポートをさせてもらっていて、なんにしても仲間がいないとできないのでそのお手伝いをしているだけなので。最初のきっかけづくりというか。そのあとは、もう彼の完全な独走状態でいろいろ面白い企画をやっていて、それが頼もしいなと思っていて。
―――何かやりたいっていう風に声を上げる人って伊達には多いんですか?
寺島)
それもそうだけど、むしろ、そういう思いがある人を応援したいという人が多いかな。やりたい気持ちってすごく貴重な資源だと思うんですよね。何かイベントやるにせよ必要なのはやる気なので。いくら人がいっぱいいても、予算があっても、魂がこもっていなければ労力かけても…となるじゃないですか。であれば、全力でやる気がある人を大事にしたいなっていうのはあると思いますね。

まさに、 #伊達は応援合戦だった件 ・・・。
いい空気が流れています。

【信じています】

今回の旅では、おっくんのお父さん。住職にもお話を伺いました。
―――正直、DJやお寺でのイベントなどおっくんが考えていることを聞いた時には驚かれたんじゃないですか?
住職)
最初は何をやっているのか全然わからなくて。京都に行って、何を学んできたのか…と、最初は思っていましたけどね。受け入れるにはそれなりに時間がかかりました。でも、知れべてみると全国でも同じように新しい切り口でお寺と地域のつながりをつくっていることもわかりましたので。
おっくん)
もちろん、お寺の枠というのもしっかり考えながらやっていかなければならないという風には思っています。それはこれからも変わらないと思います。でも、いまの時代にあわせた取り組みをしないと何か近寄りがたい存在にどんどんなってしまうような思いもあって、そうすると寄り添いたくても寄り添えなくなってしまう、お寺としての仕事ができないなと。なので、あえて僕は周りにいろいろ言われるかもしれないけど、ポップな部分も出しながら身近に感じてもらうことが大事だなと思ってやっていますね。
―――衝突はなかったんですか?
住職)
ありましたよ。お寺の一番大事な部分はお参りであったり、行事に関わることであり、そこがおろそかになっているんじゃないか。理想ばかり追い求めているのではないか。そんなことを率直に突きつけました。すると、そこは一番大事にしているところだから安心してくれと本人が言ったので、そこからは冷静に背中を見て、ひとりの僧侶として見ています。
おっくん)
心配はよくわかったので、僕もその時にせっかくだから自分なりのお寺のビジョンを伝えたんです。お寺の新しい形が必要だと思っているし、地域とつながって、地域を盛り立てる存在でありたいと。地域との関わりが一番大事なので。僕は僕なりのやり方で、そのコミュニケーションを取りたいということを伝えましたね。
住職)
コミュニケーションの場をつくるという点、信じています。

今回の旅では、あちこちで人を応援する姿が見られました。
伊達がこうした応援合戦の末にどんな街になっていくのか―今後に目が離せない地域であることがよくわかりました。伊達、あなどるなかれ。いい街です。

伊達編の放送は、
ほっとニュース北海道では
今夜(13日)とあす(14日)お伝えします。
そして25分の「完全版」、
#伊達は応援合戦だった件 は
10月17日(土)夜8時15分からです。
お楽しみに!

最後に、BSプレミアム「家族になろうよ」第4弾を放送しました。
保護犬と保護猫の新しい家族を探すお手伝いをする番組です。番組でご紹介した保護犬・保護猫の情報は放送後もホームページでご紹介しています。関心のある方はぜひこちらもご覧ください。

#ローカルフレンズ出会い旅 まとめページはこちら

2020年10月13日


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