北海道にお住いのみなさま。
そして、NHK+でほっとニュース北海道をご覧くださっているみなさま。
さらにはNHK北海道公式InstagramやTwitterアカウントをフォローしてくださっているみなさま。
先週行われた、東京の新年度の番組発表の通り、3月31日をもって北海道を離れることになりました。4月からは、Eテレの「ハートネットTV」キャスター(月~水 夜8時)と「ニュースLIVE! ゆう5時」プレゼンター(月・木 不定期で担当予定)を担当します。離任まで一か月あまりありますが、番組発表後、なにも発信しないのもな…と思い、だいぶ早いご挨拶をさせていただきました。
この5年間、北海道で過ごした時間は人生の宝です。これからも、未来を信じて道内各地で汗を流すローカルプレーヤーの応援を続けていきます。
心はいつも北海道とともに。本当にありがとうございました。 瀬田宙大
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≪本文≫ではこの5年をちょっと振り返りつつ、大河ドラマ「どうする家康」主演の嵐の松本潤さんが松浦武四郎を演じた特集ドラマ「永遠のニㇱパ」の放送PR時に名乗っていた“勝手に広報部長”を復活させ、新年度の「ほっとニュース北海道」について(本物の広報チームに怒られない範囲で)ふれてみます。
【アイキャッチ:アルテピアッツァ美唄 安田侃さん代表作「妙夢」にて】
2018年 台風に胆振東部地震
赴任前には大雪も 災害の一年目
ここからはこの5年を“可能な限り”コンパクトに振り返ってみます!

5年前の3月、「あさイチ」を卒業して北海道にやってきました。前任の佐藤龍文アナウンサーから「ほっとニュース北海道」を引継ぎ、最初の仕事として臨んだ会見。記者の方から「あさイチを見ていました。団地で取材中、階段を上がるのに苦労していた車いすの方を一緒に持ち上げているセタチューさんが印象に残っています。北海道でも頑張ってください」とあたたかい声をかけて頂いたのはとっても嬉しかったです。
2018年9月6日。
最大震度7を記録した胆振東部地震。地震直後、ブラックアウトのなか急いで出局し、「ほっとニュース北海道」の放送が終わるまでの間、ほぼスタジオで過ごしました。後に、道内在住の方からはNHKニュース防災アプリを通じて放送を見ていたと聞きましたが、停電がつづき、スマートフォンのバッテリーにも限りがある中でどのように命を守る情報や生活情報を届けるのか…。平時の備えや確認を呼びかけることも含め、番組を通じてできることは何か。今も考え続けています。
当時、Twitterである投稿を目にしました。
「家が怖い」と話す発達障害のあるわが子の不安を取り除くために制作したという作品です。

大切な視点だと思い取材を申し込み、制作の経緯を伺いました。
作者の絵描きのUNICOさんは「自宅で被災したことで家が怖くなってしまった子どもたちの不安を取り除きたかったんです。特性はそれぞれ違いますが、一つの参考例になればいいなと思います」と話していました。
このほか地震後の観光復興に向けてSNSを中心に発信が続いた #元気です北海道 を仕掛けた若手経済グループや居場所がなくなった外国人旅行客を受け入れたゲストハウスオーナーを取材し、番組でお伝えしました。

2019年 ドラマチックな一年
この年は、広瀬すずさんが主演で十勝を舞台にした朝の連続テレビ小説「なつぞら」や嵐の松本潤さんが松浦武四郎を演じた特集ドラマ「永遠のニㇱパ」が放送されました。主演を務められた広瀬さん、松本さんへのインタビューを担当しました。特に松本さんのインタビューの放送では、作品を楽しみにしている人たちと一体感をもって伝えるをテーマに据え、画面に表示する文字=テロップや、右上に表示するマスコットも含めて全て紫で統一したほか、放送日は全員が紫色の何かを身に着けました。生放送ということもあり、テレビをご覧になっているみなさんと放送を出している私たちが同じ時間に同じコンテンツを共有する楽しさを分かち合いたいという試みでした。どなたかの記憶に残っていれば嬉しいです。

この年は、北海道を代表する方々にも数多くお話を伺いました。
初音ミクを生み出したクリプトン・フューチャー・メディア代表取締役の伊藤博之さんや映画監督の白石和彌さん、作家の朝倉かすみさん、彫刻家の安田侃さん、サツドラの代表取締役富山浩樹さんなどあげ始めればきりがありません。
さらに私、TwitterJapanにもお邪魔しました。
平成から令和に元号が変わる「時代越え」をみなさんと楽しもうという番組で、日付が変わる前後のリポートを担当しました。

令和に入り、世間が東京オリンピックに意識が向き始めた頃、北海道の若者らがTwitterを舞台に見せたあるファインプレーを覚えているでしょうか。
そう #札幌discover です。
東京オリンピックのマラソンと競歩の札幌開催をめぐり札幌に集まった批判=disをカバーするように、札幌をはじめ北海道のステキなところを多くの人が発信。そのきっかけとなった呼びかけとハッシュタグが #札幌discoverでした。
ローカルフレンズ滞在記浦幌編やあさって17日(金)の午後7時半から放送される「30DAYS 浦幌 若者が増える町」に登場する古賀詠風さんや、ローカルフレンズニュースで人口3700人ほどの上川町に続々とオープンするカフェの情報などを伝えてくれた絹張蝦夷丸さん、十勝を拠点に素晴らしいデザインや写真を数多く発表し北海道道にもご出演いただいた青坂さつきさんの3人が仕掛けました。
その根っこにあったのが地域をよくしたいと活動するローカルプレーヤーの普段のつながり。そのネットワークとの交わりが、後にローカルフレンズプロジェクトへとつながっていきます。

この年には在札民放のアナウンサーのみなさんと共にコマーシャルに出演したり、上記イベントに他局のアナウンサーさんが参加してくださったりと、局の垣根を越えて連携が進みました。

2020年 出会い旅を起点に超ローカル宣言!
この年にスタートした「ローカルフレンズ出会い旅」。地域のために働く人の素顔を見つめるため、地域にディープな人脈を持つ人=ローカルフレンズの案内でアナウンサーが各地をめぐる企画です。さらに皆さんの疑問に答えるNHK北海道の「シラベルカ」も始動。
21年度から番組コピーとなった“超ローカル宣言!”につながる地域密着の一年でした。

超ローカル宣言について詳しくは:どうせ転勤するんでしょと言われた私が 愛と覚悟を決めて“超ローカル宣言”してみた件(NHK広報note)
この年は私も最も忙しく札幌市の他、帯広市、音更町、北見市、津別町、北見市常呂町、釧路市、釧路町、厚真町、函館市、清里町、斜里町、小樽市、大樹町にロケに出かけました。コロナ禍でも輝きを放つ地域の人たちに励まされた一年となりました。
2021年 コロナ禍と向き合うローカルを取材
新型コロナの影響で成人式が中止となるなか、オンラインで成人式を開催しようと企画した伊藤翔太さんを取材。ほっとニュース北海道のテーマ曲「NANTE HOT」を歌うHAMBURGER BOYSが所属するPR会社の代表です。

その後も、新成人がVR空間で主催したVR成人式や「ススキノ大学」と名付けた複数の飲食店の従業員の社員教育を合同で行ってホスピタリティーを向上させる取り組み、高校生らが大通公園の新たな活用方法を探る実証実験など多くのチャレンジを取材させていただきました。
また、延期となっていた東京パラリンピックのスタジオキャスターも担当。アスリートの姿に胸を熱くしました。新年度の仕事では、この時の経験も生かしていきたいと考えています。
関連記事:パラリンピックの現場にいます
関連記事:みなさんはパラアスリートを何人知っていますか?
2022年 いのちの重さ
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まったこの年、日々伝えられる戦火をどのように子どもたちに伝えるのか。子育てをする家庭向けに毎月発行されているタブロイド誌「庭しんぶん」は「ロシアとウクライナ」というタイトルで特集記事を掲載。二つの国で生きる人たちの日常、暮らしが感じられるつくりになっていました。「戦争は人類がずっと抱えてきた解決できていない課題」としたうえで、「誰の暮らしも壊してはならない」という普遍的なメッセージがこめられていました。
また、亡き盟友に託された楽曲「INORI」をリリースした浜崎なおこさんも取材。曲をつくったのは、室蘭市出身でシンガーソングライター ヒトミィクこと故・倉本ひとみさんです。「INORI」は「遠い空の下で夢の続きを見よう いつの日か何処かで逢えるその時まで あなたを見守っている」と締めくくられています。札幌市のCDショップ 音楽堂でリリースライブを開いた浜崎さんは「もう聞くことができない誰かの声を思い出しながら『大丈夫だよ』と言ってもらえるような曲です」とあいさつし、みずからにとっても特別な一曲だと語っていました。

いのちの重さを改めて痛感する一年だったと感じています。
関連記事:ロシアのウクライナ侵攻を子どもにどう伝える?
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このほか、道内で夏に運行される「THE ROYAL EXPRESS」に乗務する世界的ヴァイオリニスト大迫淳英さんが停車駅のホームに降り立ち地域の人と列車に乗る人の心をつなぎたいと考えヴァイオリンを演奏していることや、東日本大震災をきっかけに自らの生き方を見つめなおしたデザイナー小野寺千穂さんが北海道で実現したいこと、自然写真家の水越武さんが半世紀にわたる北海道の記録をまとめた背景にある自然への思い。

ワインの町・余市に新たな特産品として牡蠣の養殖に取り組む人たちの姿、十勝・広尾町で酪農を営む菊地ファームと東京の販売店やコーヒー店らが共同で進める砂糖を使わないコーヒー牛乳開発、そして障害の有無や性別、世代など様々な壁を越えた多様性をダンスや音楽を通じて発信する全国巡回イベント「True Colors CARAVAN」札幌開催についてなど、幅広く取材させていただきました。
気がつけばこの5年で自ら取材し、制作・放送した企画は110本を超えました。5年前の会見で宣言した「広い道内、しっかりと歩き回り、自分が感じたことを大切にしながら情報を伝えるキャスターになる」という目標はある程度達成できたのではないかな…と感じていますが、その評価は番組をご覧くださっている皆様をはじめ北海道のみなさんが厳しくくだしてください。
こうした積み重ねの結果、道内各地に知り合いができました。勝手にその皆さんを仲間だと思っています。多くの仲間が暮らす北海道は、私にとって生涯大切な場所となりました。今後も帰ってきたい、つながり続けたい、自分で決めた“ふるさと”です。
3月末で所属としては北海道を離れることにはなりますが、北海道を大切に思う気持ちは何ら変わりません。残されたほっとニュース北海道、そしてその後も、みなさま引き続き、よろしくお願いいたします。
新年度!
2023年4月からのほっとニュース北海道
さてさて。今年度から「ほっとニュース北海道」の後半の構成が大きく変更され、午後6時40分からは4地域にわかれて情報をお届けしています。

番組後半の各地域ごとの放送では、テーマを決めて年2回、キャスターが各地をまわるスペシャルウィークを設定。道央いぶりDAYひだかでは、10月に日高地方、23年2月に胆振地方をまわりました。これらを踏まえると新年度は道央圏のどこかに新キャスターらがお邪魔するのではないでしょうか(推測!)。
北海道の番組の新年度はどうなるのか!?ですが、いま言える情報を記します。
◆詳細の発表は3月下旬の予定
◆ポスタービジュアル大幅に変更の予定
以上です!
それだけかい!と思われた皆様。すみません。
私が東京から北海道に異動する際も「会見までは絶対に言わないでください!」と強く言われておりました。発表になりましたら新キャスターご本人たちから明るく元気に情報発信されると思いますのでお待ちください!
ちなみに…。
実は、PRやポスター撮影はすでに始まっています。
その現場に潜入して隠し撮りを試みたのですが「まだ公開できないんです~」と、ホンモノの広報に制止されてしまいました。トホホ。

それでも今後、少しずつ、言ってもいい情報をゲットしたら“勝手に広報部長”として私からもあれこれお伝えします!まだわかりませんが、直近では3月初めころには何かしらの情報が伝えられるかもしれません…!ということで、今後もWEB記事は執筆していきますので引き続きぜひご覧ください。
3月はじめといえば…!

家族になろうよは3月5日(日)午後1時からBSプレミアムで全国放送。あす、2月16日まで観覧募集しております!

2023年2月15日 瀬田宙大