NHK札幌放送局

ほっと通信(111)【瀬田宙大】

瀬田 宙大

2020年7月10日(金)午後0時38分 更新

「意志ある場所でない限り人は来ないし、おもしろい人がいない限り都会には負ける。ポテンシャルがあるよねと言われ続けているのをいい加減抜け出したい」次々に繰り出される力強い言葉にワクワクしたし、刺激も受けたし、本気を感じました。担当するほっとニュース北海道で新たに生まれた経済コミュニティ―「えぞ財団」の代表、“団長”を任された成田智哉さんを中心に、この経済グループが目指すものは何かに迫りました。

「えぞ財団」は10代から40代の若手経営者が中心となって運営される経済コミュニティーで、先月、活動を本格的に開始しました。7月9日時点で140人あまりの個人と4つの企業が参加し情報交換を始めています。事業は主に3つ。メディア事業、教育事業、投資事業。既に、経営者同士の対談映像を配信しています。今後は企業の人材研修なども手がけていきたいと考えているほか、定期購読費として集めた資金をもとに、北海道のための事業に投資することも目標に掲げています。

発起人のひとり、道内を中心にドラッグストアチェーンを経営する富山浩樹さんに話を伺いました。

富山さんは「北海道や地域が発展していかなければ企業の発展もなく、ビジネスも生まれない。地域がどう持続的に生活圏として存続できるかを『経済』を軸に考え、地域の発展に貢献していきたい。そして、東京などと比べた時に地方の課題として感じていた、つながりの可視化や、動ける人のコミュニティー形成、メディア発信などに力を入れていきたいと考えた」と、この経済コミュニティーを設立した意義を語りました。

団体の中心メンバーは3人。
発起人が富山さんと、木下斉さん(4画面の左下)。
そして、放送では代表と表現して紹介しましたが“団長”の成田智哉さん(4画面の右上)です。

4画面の写真は、7月1日にオンラインで配信されたトーク番組 DeepDialog の様子です。団体の主要メンバー3人が第2回のゲストとして登場しました。この中で木下さんは、「東京を中心様々なことが動いている。その必然として、外に目が向きやすいが、もっと北海道の中を見た方がいい。北海道は事業継承のスピードが非常に素晴らしく、30代~40代の若い経営者に先代がバトンを次々に渡している。そうした人たちと、北海道の、北海道による、北海道のための経済とはなんたるかをもっと考える機会があってもいいのではないかと常々思っていた。そんな話をしていて、団体に参加することになった」と経緯を語りました。また、設立を伝える動画では「地域単位で経済力が健全に成長していくこと、みんなが豊かになっていくこと、独自の教育とかが行われること。メディアが形成されることが大切」とも。熱いですね。一言一言にパワーがあります。いずれ直接お話を伺いたいです。

今回、なぜ成田さんに焦点を当てたのか。その理由は簡単。団体が目指す「地方でも経済を回すことができる人を増やす」という考えを体現しているからです。富山さんに聞くと「大企業に勤め、海外勤務も経験して“外の目線”を持ちながら、北海道各地にユニークな仲間をつくり、地域に飛び込んで動き回りながら事業をつくっていることが頼もしい。10代~40代中心の運営メンバーの中でさっそくリーダーシップを発揮してくれている」と太鼓判を押します。

成田さんは、現在32歳。大学卒業後、大手自動車メーカーに勤務し、海外駐在員を経て退職。地域課題を解決したいと、去年、厚真町で起業しました。目指すのは“地方でも持続可能な交通インフラの開発”。現在、実証実験を行っています。成田さんは「『モビリティー・ミーツ・コミュニティー』ということで、地域の課題としてバスが少ないとか、タクシーがないという事で困っている。その課題を、住民が支えあいをするということで解決を目指しているもので、移動を出会いの場に設定しようというものです」と語っていました。新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、秋にも実証実験を再開させて事業化することを目指しています。

厚真町の職員の宮久史さんは「一緒に地域を考える心強い仲間です。あまりいないタイプの人間です。どんなにコミュニケーション術にたけていても苦手はあるものですが、成田さんには苦手がない。誰とでも、どこでも人と関わることができる。とにかく人が好きなんだと思う。しかも、決して押し付けず、調整しながら、折り合いをつけながら進めていくことができる人です。準備をしているモビリティー事業は、みんなが待っているサービスで、すごくニーズがある領域。地域が抱える『あったらいいなっていうサービスの1つ』だと思う。でも、あったらいいなとはみんな思っていても、実現していくためにはやる気のある人がいなければならない。そういう意味で、あったらいいなを実現してくれる可能性のある人だと思って期待しています」と語ってくれました。

成田さんが団長として経済コミュニティーで実現したいのは「北海道最強宣言」。放送ではキャッチ―に使わせてもらいましたが、取材ではこのように語っていました。「実現したいことですか。北海道最強宣言みたいなものですね。アフターコロナは地域の時代といいますが、おこぼれもらうとかは絶対にありえません。意志ある場所でない限り人は来ないし、おもしろい人がいない限り東京の方が絶対面白いんです。でも、今回の財団を通して顔が見える、活動が見える、何か面白そうな事やってる大人たちがいっぱいいるなと思うと見え方が変わると思うんです。学生たちも視野を広げるという意味で東京で就職するのもいいと思いますが、いつか戻ってきたいって思えるようなところにもっともっとなれるはずだと思うんです。仕事は都会、北海道は観光でなく、仕事も北海道と。そのためには、数字もまわさないといけない。本当に、ポテンシャルがある、ポテンシャルがあるというのは聞き飽きているので。僕なんてまだ会社つくって1年目ですし、まだまだ甘いんですけど、北海道にはすごい経営者や、ちゃんと見てくれる人、助けてくれる人、刺激をくれる人がたくさんいるんだっていうことを伝える、ブーストさせていくタイミングだと捉えています」

新たな経済コミュニティーは道内各地のチャレンジャーを応援し、切磋琢磨することを目指していますが、そもそもチャレンジャーがいなければ実現できません。
「夢を実現したいと思っているものの一歩踏み出すか迷っている人の背中を押したい」と、成田さんが大手ビール会社や札幌市でコワーキングスペースにもなっているカフェ&バーを運営する会社らと協力して立ち上げた事業があります。その名も「ほっとけないどう」。毎月3人がイベントで実現したい夢を語ります。それを聞いた人が指定されたビールを購入すると、売り上げの一部が夢を語った人に支援金として送られる仕組みです。すでに33人が参加し、これまでに合計170万円あまりが送られました。

私が取材でお邪魔した日も3人のチャレンジャーが夢を語りました。

ブルーチーズドリーマーと名乗り、江丹別でブルーチーズを生産している伊勢昇平さん。ブルーチーズの断面をモチーフにした迷彩柄の、世界で一枚のパーカーをユニフォームとして身に着けて活動しています。伊勢さんのプレゼンは熱を帯びていて引き付けられました。アナウンサーとしても本当に勉強になります。「夢をもって、勇気をもって発言して行動していけば、やがて周りに人の言葉は気にならなくなる。自分を信じて夢と希望をもって行動すれば、江丹別に世界一の村をつくれる、世界一のチーズを江丹別から世界に届けられる」というメッセージにはグっときました。応援しています。

続いて登場したのはグラフィックレコーダーの木村あゆみさん。去年12月に独立。新型コロナの影響でイベントが中止となるなか、オンラインでグラレコをすることが増えてきたことからオンライングラフィッカーを自称しています。木村さんは「北海道にグラレコ、ラクガキを楽しむ文化をつくって、それによって地域や人を豊かにしたい」と夢を語りました。イベント後にお話を聞くと「個人の応援はもちろん嬉しいんですが、イベント単位で応援してくれるのは力になる。一緒にイベントに参加した仲間にも刺激を受けて、一緒に盛り上げるぞ!という気持ちが高まります」と熱っぽく語っていました。ラクガキコミュニケーションっていいですね。

最後は、プロのバレーボールチームのヴォアレス北海道を運営する会社の代表の池田憲士郎さん。長身です!バレーボールチームの運営だけではなく、地域の子供たちがダンスをする場づくりや、地域のイベントへの積極参加など地域密着型の素敵なチームです。聞けば聞くほど、まるで大泉洋さんが主演していたあのドラマのラグビーチームのようです。池田さんは「コロナ時代のプロスポーツの価値をみなさんと議論しながら理解を深めたい。その上で、試合会場で感動体験を共有出来たら嬉しい」と語りました。イベント終了後に、参加しての感想を聞くと「僕らのように明るく挑戦するエネルギーを感じてもらい、みなさんにもチャレンジしたいって思ってもらえたら嬉しいし、そう思える企画だなと思いました」と教えてくれました。試合にぜひ行きます!

イベントを終え、興奮が冷めやらぬうちに成田さんに声を掛けました。

成田さんは「思いがあって、行動を起こせば夢を実現できる可能性があることを『ほっとけないどう』のような場でまず知ってもらい、『えぞ財団』はそうしたチャレンジャーたちを応援し、ビジネスとして成り立たせるという点で協力していきたい。その結果、チャンスがあり成果も出せるのが北海道だという形までもっていきたい」と目標を楽しそうに教えてくれました。

さあ、つながろう。学ぼう。動こう。北海道は今から変わる―このキャッチフレーズを掲げて動き出した経済コミュニティ―。それを体現する成田さんを取材して、彼のような人が増えたら確かに北海道が面白くなるし、誰もが働く場としても憧れる地域になると感じました。「ポテンシャルある」から「北海道最強」へ。有言実行を期待しましょう。そのためには私たちひとりひとりも、つながり、学び、動くことが大切ですね。

それでは、また\| ・vvvv ・ |/

(2020年7月10日)

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