NHK札幌放送局

ほっと通信(112)【瀬田宙大】

瀬田 宙大

2020年10月7日(水)午後2時19分 更新

みなさんもありませんか??夕飯の準備をしていると、子どもが「お腹すいた」と“口撃”してくることが。「ちゃんと夕飯も食べなさいよ」と約束をもちかけると「わかった♪」といい返事がかえってくるものの、実際は・・・なんてことが。そんな悩みを解決したいと、家族で取り組む人たちが札幌にいます。解決策として提案したのは、北海道のフルーツをとじこめた「食前アイス」でした。取材を進めると、救われていたのは親子だけではないこともわかってきました。

今回取材で訪れたのは、札幌に暮らす萩原さんのお宅。
美緒さん(写真右端)は、誰もが一度はお世話になったことがあるだろう大手レシピ検索サイトの元社員。4年前に北海道に移住し、去年、夫の学さんと札幌で起業しました。

設立した会社で目指すものを伺うと、このような答えが・・・。

自分たち家族の食卓が、移住してから圧倒的に楽しくなった原体験をもとに、食卓を囲む時間が幸せになることを手助けしたいと考えています

ステキです。

そこで、最初に取り掛かったのが夕飯前に食べることを前提に開発した「食前アイス」でした。
この開発の経緯をご自宅で萩原美緒さんと、夫の学さんに伺いました。

―――なんで夕飯前に食べるアイスをつくろうと思ったんですか?
美緒)
東京で暮らしていた時にお互いにフルタイム、長時間働いていたんです。私の方が早く帰ることが多いから、子どもをお迎えに行って、晩ご飯つくって、食べて、寝かせる。そして、寝かせたあとに私は起きて仕事をするっていう日々だったんです。平日限定で考えると、その晩ご飯くらいしか子どもとゆっくり時間を一緒にできるときがなかったんです。なんですが、子どもたちは晩ご飯を待てないんですよね。お腹すいちゃって。ぐずりはじめるとというか、そこで騒がれてしまうと、私も夕食の準備が進まないから「お菓子」をあげちゃって・・・。すると、食べ過ぎちゃって満腹になっちゃう。やっと晩ご飯できあがっても、本人はもうお腹いっぱいで食べたくありませんってなるんです。せっかく平日、一緒にテーブルをかこめる時間が、おやつで台無しになっちゃっているというのがすごく辛いなと思ってて、それって私だけかなって思って、当時働いていた同僚に聞いてみたら同じような悩みを抱えていたんです。それがきっかけで、平日のご飯前に食べるおやつって、“ハレの日”とは別の“ケの日のおやつ”っていうのが必要なんじゃないかなと思ったんですよね。それで、その思いがずっとあって、北海道に移住してきて、北海道のいろんな食材に出会って、こういう食材で、あの時思っていた、平日の“ケの日のおやつ”をつくれたら子どもも嬉しいんじゃないかなと思ってつくりはじめました。
―――正直なところ、お菓子あげるときの気持ちってどうだったんですか?
美緒)
すごく罪悪感がありました。お菓子でお腹いっぱいにさせちゃったって。栄養とれてなかったんじゃないかなとか、ご飯じゃなくて、おやつで、ただただ胃が膨れちゃったっていうことに、親としてダメなことしたんじゃないかなっていう感じになりました。
―――学さんはどうでしたか?
学)
もちろんそうですね。私の方が早く帰ってくることがあると、私自身もつくることあるんですけど、つくってくれたものもたべてくれないと割とがっかりするので・・・。子どもの栄養とか考えてつくるけど、お菓子で食べてくれないとなると、お菓子は楽しみだったはずなのに、子どもにとってはハッピーかもしれないけど、親にとっては嫌な形になるのはもったいないなという気がありました。
―――それで、双方ハッピーなおやつをと考えたんですか。
美緒)
忙しい時にりんごの皮を優雅に剥く余裕は正直ないなって。そうなったときに、フルーツをぎゅっと閉じ込めたようなものがあればいいなと思っていたんですよね。

【コンセプトへの共感が、次の展開に】

こうして生まれたのが、一袋20グラムのアイス。
開発開始から1年半ほどかけて、試行錯誤の末に生まれました。
完全無添加で味は2020年10月現在で4種類です。
常温で届くほか、ポストに投函できるサイズを実現したことで注文をした家族も家で配達を待つあの時間からも解放されるという完全なユーザー目線。さらに、アイスはシートに包まれているので、冷凍庫の中でバラバラになるのも避けられるといいます。このあたり、当事者だったからこその発想だなと脱帽しました。

最新作はハスカップ味。
一口目は酸味が、二口目は甘味の方が強く感じます。
ハスカップ狩りでいろいろな樹になっている、味違いの実を食べているような印象がありました。

実は、ハスカップ味が生まれたのはある一通のメールがきっかけでした。
そこには「コロナ禍で観光農園を開けず、何とかハスカップを収穫しましたが、どのように利用するか悩んでいます。もしよかったらアイスの原材料として利用してみませんか」と書かれていました。

アイス発売の翌日、急に届いたこのメールは萩原さんにとっても大切な一通で、いまでも時折読み返していると言います。受け取ってすぐ、萩原さんは厚真町に向かいました。

メールを送ったのは堀田祐美子さんです。

3人の子どもを育てる母親です。
夫のお母さんから引き継いだというハスカップを育てています。胆振東部地震で根が切れるなどはしましたが、いまも700本が元気に実をつけます。

当時のことを堀田さんに聴きました。

―――10年ほど前からご家族で管理してきたハスカップ。ことしは、どんな年だったんですか?
堀田)
観光農園になってからは4年目なんですけど、ことしはコロナがあったので、お客さんに来てもらえない状況が続いていてどうしようかなって思っていたんですね。自分たちでなんとか収穫だけはできたんですけど、収穫した実をどうしようって困っていたところに、ちょうど萩原さんのアイスを見つけて、これはステキ!と思ってメールさせてもらいました。
―――見た瞬間に連絡しようって思ったんですか?
堀田)
はい。もう見た瞬間に!私も、3人の子供の母親をしているので夕ご飯前のあの時間、ぐずる時間を解決するなんてすごいアイデアだなって思ったし、北海道のフルーツを使っているというところがすごく魅力で、北海道のフルーツならハスカップも仲間に入れて欲しいなってすぐ思って、それでメールしました。
―――萩原さんはこのメールが来たときってどう思ったんですか?
萩原)
すごく嬉しくって。実はハスカップ、試作だけは終わっていたんですよ。やっぱり北海道のフルーツを使うって決めた時点で、ハスカップは外せないと思っていたので。でも発売当初、様々なことに追われて新しい味の開発まで頭がまわっていなかったんですけど、メールを頂いて「あ、そうだ、私たちもともと北海道のフルーツを使ってほかの商品のことも考えていかなければいけないんだった」って思い出させてもらって、すぐにお返事したっていう感じでしたね。だから、本当にやらなきゃいけないことを思い出させてもらった感じがしました。原点に立ち返らせてもらったという感じですね。
―――堀田さんは、萩原さんからすぐに連絡が来てどうでした?
堀田)
いや、私もすごく嬉しくて。メールはしていたけど、反応を期待していたわけじゃなかったので、「本当に返信きた!」って、すごく嬉しかったです。実際、すぐにお邪魔しますって言ってくれたのもすごく嬉しくて、ハスカップもそうですけど、厚真町は地震があったことで被災地のイメージがついてしまったのが心にひっかかっていて・・・。被災地じゃなくて、ハスカップの美味しい町とか、そういうイメージを持ってもらいたいと思っているので、一回、厚真町に来てもらうという機会ができるといいなって思っていたので、ハスカップをきっかけに萩原さんがすぐに来てくれるということが、あの時は嬉しかったですね。それに、お話ししてみたら、北海道の生産者さんを応援したいっていう気持ちがあるんですっていうお話を伺って、それもすごく嬉しいなって。私も結婚するまでは消費者側しか知らなかったんですけど、私自身が農家側にまわってみると、こんなに大変なのに、安く売られている農産物があったりして、すごくもったいないなと思っていたので、北海道の生産者を大事に、フルーツを大事に思ってくれるのも嬉しかったです。

―――いい出会いだったんですね。結果論でしかありませんが、コロナ禍だったからというのもあったかもしれませんね。
堀田)
そうかもしれないです。1年早かったり、1年遅かったりしたら、観光農園も開いていたでしょうし、私もちょっと違う気持ちだったかもしれませんね。
―――ご縁というか、めぐりあわせってあるんですね。
萩原)
めぐりあわせ、確かにありますね。ハスカップもそうですし、無添加で製造する技術との出会いもそうですし、恵まれましたね。
―――生産者のみなさんと一緒につくっていることが伝わってきますね。
萩原)
それは、本当に大事だと思っています。取り繕われた見せ方ではなくて、これまで厚真が紡いできた歴史を汚すことなく、そのまま表現することが厚真の希望ともいえるハスカップをちょっとでも表現することにつながるのではないかなという気がしています。それも、こうして生産者のみなさんにお会いして、お話を伺わなければ生まれないので、一緒にというのはまさにですね。
―――堀田さんは、いまの話、どう聞いたんですか?
堀田)
本当に嬉しいです。ハスカップの、そのままの味を表現することを大事にしたと仰ってくれましたけど、私、初めてハスカップ味のアイスを食べた時に「本当にハスカップだ」って思ったんですよね。一緒に、ハスカップの収穫していた仲間とも食べて、そこでも同じようにハスカップそのものだねっていう話をしていて、それって本当に生産者としてはありがたいことなんです。ちょっとだけハスカップぽいかもねっていう商品は本当にたくさんある中で、これだけ素材を生かしてくれているのは、すごく嬉しいです。もっと言うと、お店で売っているハスカップより、農家って自分でジャムにしたり、自分好みにしたりと、手作りするんですけど、そういう味に近い。地元の人が、自分用にするハスカップというか、そういう感じのイメージを持ちましたね。
―――ハスカップそのものを、まさに閉じ込めたということなんですね。
萩原)
ハスカップを食べたことがない人は、ちゃんとした味を知りたいって思うと思うんですよね。ハスカップの要素を抽出したものではなく、食べたことがないものだからこそ、最初はそのまま知りたいと。実際、私がそうだったから。忠実に表現ができているので、例えば来年とかね、北海道に観光で来られるようになったらハスカップ狩りに来て、実際に食べてもらうような体験につなげられたらいいなって妄想していたりするんですけどね。
堀田)
でも、そうなってくれるような気がしています。私の友達で、高校卒業してからずっと、横浜とか東京に移り住んで、20年近く北海道を離れている人たちがアイスを食べて「本当に懐かしかった。記憶がすごくよみがえった」と話していて、北海道に帰ってきたような体験になったんだって言ってました。
―――萩原さん、めちゃくちゃ嬉しいんじゃないですか??
萩原)
もちろん。北海道らしさを伝えるって、いろんな商品ありますし、いろんなやり方がありますけど、私たちはフルーツの味をそのまま生かすっていうことでらしさを表現するのが役割かなって、なんかこのハスカップを使わせていただいて、より思うようになったかなって気がしますね。

・・・お二人の話は尽きることはありませんでした。
取材の後はおふたりで厚真町のカフェへ。
素敵な時間をありがとうございました。

一通のメール。コロナという時代。お互いを思う力。いやー、こんなことが起こるんですね。一生懸命、本気で社会に向き合う人たちの輝きは必然的に重なるものなんだなと思いました。それは北海道だからかもしれませんが。

このお二人のつながり、映像でも見たいと思った方は、ぜひ、あすのほっとニュース北海道をご覧ください。

予約録画でもいいです。
あ、予約録画するのであればもう一つオススメ番組が・・・

家族になろうよ の第4弾の放送が決まりました。10月10日(土)の午後1時半から3時45分までBSプレミアムでお届けします。保護犬、保護猫が新たな家族と出会うお手伝いをする番組です。森山直太朗さんが初のナレーションにも挑戦しています。番組への質問、メッセージも募集しています。こちらもぜひ!!

それでは、またฅU•ﻌ•Uฅワン

2020年10月7日

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