NHK札幌放送局

宗谷プチ滞在 DAY4

瀬田 宙大

2021年4月22日(木)午後0時40分 更新

ローカルフレンズ滞在記4日目。今夜6時10分からのほっとニュース北海道での中継を前に、私たちを宗谷エリアに招待してくださったローカルフレンズの尾崎篤志さんにじっくりお話を伺いました。

旧駅舎の記憶を後世に

「旧稚内駅をご存知の方は見覚えがあるのではないでしょうか」と、尾崎さんが語りだしました。これは10年ほど前、駅舎の建て替えにあわせてJR北海道から譲り受けたブロックと、駅を示すアルファベット。今月、駅前の尾崎さんのゲストハウスに新たに設置しました。

この壁の制作が始まったのは今月1日。
当時の様子を、滞在を始めたばかりの越村Dが記録していました。

当初、商店街にある事務所に設置していたそうですが、宿の開業から一年。あるきっかけがあり、ゲストハウス前に移設することにしました。

そのきっかけとは。
そして、なぜ残したいと思ったのか。まずはそこから教えてもらいました。

2011年、なじみ深い旧駅舎が解体される時に寄贈してもらったんですけど、思いはシンプル。多くの人に親しまれたシンボリックな壁がなくなるのはもったいないって思ったんです。もともとこのブロックの壁には木製の『日本最北端』『稚内駅』という看板が掛かっていて、フォトスポットだったんですよね。その雰囲気を残して、街の活性化に少しでもつなげたいと思って、JRに寄贈をお願いしたんです。あれから時間が経って、去年、駅前でゲストハウスをはじめました。すると、お泊り頂いたお客さんの中には鉄道好きの方も結構いらっしゃったんです。お話をする中で、せっかくなら稚内の駅、鉄道の歴史を知ることができるものも置きたいと考えて、保管していた事務所から宿の前に移設することにしたんです。

フォトスポットは他にも。
JR稚内駅側の壁には鮮やかな絵があります。開業当初からのシンボルで、多くのお客さんを迎えてきました。これはアーティストとグラフィックデザイナーのデザインユニットの作品で、そのうちのひとりは尾崎さんの弟・強志さんだといいます。尾崎さん曰く、稚内愛に溢れた人物なんだとか。これだけ地域愛が強い尾崎さんが、自分を超えるという強志さん。いつかお会いしたいです。このほかにも、稚内出身で尾崎さんのお知り合いという方の名前も教えて頂きましたが、全員単独インタビューをお願いしたい方ばかりでした。稚内すごいです!


ローカルフレンズ滞在記に参加して

滞在ディレクターを1か月受け入れた尾崎さん。いつも定位置で仕事をするディレクターと関わりながら、ローカルフレンズ滞在記という新たなプロジェクトにどのような感想を持ったのでしょうか。

いや、大変だなぁと思ったのが一番だな(笑)全部ひとりでやらないといけないからね。僕が最初に思い描いていた滞在ディレクターのイメージは、とにかく宗谷管内を移動しまくって、いろんな人に会いまくる。そのために次から次へと人を紹介するというイメージだったんです。まだ何も知らないときは。でも、紹介すればするほどその人を映像で紹介する時間も短くなるし、そもそもディレクターは越村君ひとりしかいないから、ひとりで取材して、アポとって、札幌の人とやり取りして、撮影して、記事を書いて、編集して、リハーサルをして中継やって、また翌週も同じことの繰り返し。無理だよね。正直、こんなに仕事が多いなら2人でくればいいのにとも思ったよ(笑)ただ、大変な中でも一生懸命地域の魅力を掘り下げようとしてくれていることはすごく感じたんですよね。それがよかった。正直、テレビの取材ってワクワクすることが少ないんですよ。どうしてもパッと来て、撮影してバイバイが多いから。でも、ずっと宗谷にいてくれるから、僕ともいろいろ話をしたし、紹介をした人達の話を一生懸命聞いてくれていてね、それが嬉しかった。きっと、いままでとは違う何かを感じ取ってくれているんじゃないかなって思ったし、どんな放送になるのか僕も毎回ワクワクできたよね。あえてお願いがあるなら、1回きりにしないで欲しいな。また宗谷に来てほしい。ディレクターが変われば、ローカルフレンズが変わればまた違う宗谷もあるはずだから。


❝宗谷・道北エリア外❞へ届けたい

この1か月の放送も一緒に振り返ってもらいました。

第1週は稚内市。
スノーボードショップの木村亘さん(写真左)と、稚内在住のプロスノーボーダーの阿部迅市郎さん(写真右)が登場しました。尾崎さんは放送を通じてこんなことを感じていました。

いままでは言葉になっていなかった子どもたちの声が聞けた気がしました。街を思う気持ちが、世代を超えて彼らに届いている、つなごうとしてくれていることがわかって感動したんだよね。稚内、地元への愛情って大事なんだよね。木村さんも僕らも、若い子たちが地域を好きでいてくれたらいいなと思って活動しているけど、押し付けることじゃないから。僕らが聞くのではなく、カメラに向かって笑顔で話していたのは嬉しかったな。

第2週は利尻島へ。

越村Dに話を聞くと、利尻生まれ利尻育ちの高橋哲也さんに相当助けて頂いたといいます。島内を案内していただき、その中でご紹介いただいたのが西島さん一家でした。

都会育ちの越村Dにとって、ガイドの西島徹さんと、息子の一樹さんとの出会いは、生涯の宝になったといいます。この放送を見た尾崎さんは、希望を感じていました。

利尻島の西島一樹くん、すごいよね。あんなに自信と誇りをもって「ここが好きです」と言えるんだから。普段からご家族や島の人とちゃんとコミュニケーションとっている証だなと感じたんです。「ここが好き」って、過疎化の地域の薬だと思っているんですよ。好きな気持ちがないと始まらないし、続かないんですよ。それがないと過疎化は変わらない。だからすべての原点は「好き」と言えることなんです。でも、簡単ではない。一樹くんの姿は希望ですね。

第3週は豊富町へ。
多くの人を支える温泉と、そこに住まう人の熱い思いに触れました。尾崎さんは、放送中に寄せられた「知らなかった」「行ってみたい」というコメントを見て、紹介できてよかったと思ったそうです。

地元の人はもちろん知っているんですけど、全道、全国の人にもっと「豊富のパワー」を知ってほしいという思いが強くて上坂仁哉さんを紹介したんです。上坂さん達の音楽活動や、「トヨトミサイル」というフェスはこれまで紹介されるとしても、多くが宗谷留萌管内のニュース、記事だったんです。だからこそ地元の人は知っているんですけど、もっと広く、全道の人に知ってもらいたかったんです。知ってさえいれば、興味を持って調べたり、立ち寄ったりする人が増えます。知ってさえいれば。放送を通じて、実際に「知らなかった」「行ってみたい」というコメントが届いたのは嬉しかった。地域の、身内のお祭りにとどめたく無かったので、関心を持つ人が増えてくれたらいいな。
温泉もそう。稚内の私のゲストハウスのお客様とコミュニケーションをとっているとき、温泉が近くにあることを知らせると驚く人が多いんですよ。泉質としても特殊ですし、こんなにも人を助けている温泉はないと思っているので、音楽も温泉もエリア外に紹介してもらえてよかった。


最終週・猿払村への思い

第2週、第3週の行き先は番組をご覧の皆さんのアンケートで決定してきましたが、2回連続惜しくも2位だった猿払村。私たちも気になって、第4週、取材に向かいましたが、尾崎さんはどんな思いをもって候補に挙げていたのでしょうか。

猿払村は僕にとって魅惑の土地。コンテンツ溢れる地域なんです。例えば釣りであれば、海も川も楽しめます。マスやサケのほか、幻の魚・イトウもいます。さらに少し足をのばすと、浜頓別町や中頓別町もあって、このエリアは手付かずの自然が眠っています。エリアとしての強みがもっともっと表に出てくると、宗谷全体を周遊する人が増えると思うんですよね。その魅力に触れてほしいと思って候補に挙げていました。知られていないというのはこの情報時代において価値が高いんです。地元の人は「なんにもない」ってよく言いますけど、「何もないことを求めている人」も結構たくさんいるんです。人工物が一切ない真っすぐな道でも、自然でも。そういう地元の当たり前に目を向けてほしいです。その視点で猿払村を見ると、自然の象徴としてイトウを守る村の人たちがいるというのは他の地域の人にもっともっと知ってほしいなと思ったんです。釣りのポイントではなく、自然を大切にする人と出会えて釣りも楽しめる村として伝わったらいいですよね。頼むよ、編集中の越村君(笑)


宗谷エリアへのお誘い

最後に、こんな質問をしてみました。

このエリアがどのようになったらいいと考えていますか?

宗谷を「エリアでとらえている人」って少ないと思うんですよ。稚内なら稚内。利尻なら利尻って。関心を持ってもらえるのはいいんですけど、あくまで単独だなと。それぞれが魅力を高めることも確かに大事なんですけど、限界があると思うんです。なぜなら世界には、もっと上がいるから。日本全国でもそうかもしれない。でもそれは、単独なら。視野を広げて宗谷エリアで考えた時に、コンテンツ力は負けていないと思っているんですよね。景色、人、食、癒しなど、ここにいるからこそ体感できることってすごく多いんです。エリアを楽しむという意識で皆さん来られないので、1泊や2泊でお帰りになるんですけど、体感してほしいんですよね。宗谷を。地域を思ってあれこれ活動して10年を超えたんですけど、僕はここまでに貯め集めた思い、情報をゲストハウスを通じて旅人たちに伝えるようにしています。今回のローカルフレンズ滞在記は、宗谷に来る前にそういう思いを伝えるチャンスをもらったと思っていて、外の人には情報を、宗谷の人には共感や刺激が伝わったら嬉しいなといま思っています。やるかやらないか悩む人がいますけど、まずはやってみることをおすすめしたいですね。こういう機会もうまく活用して、新しい人たちとつながり、みんなで楽しい街にしていきたいです。かつての賑わいを取り戻すんじゃなくて、時代に合わせた新しく、楽しい街、エリアにしていきたいです。そうすれば稚内、宗谷に来る人の来訪スパンが短くなると思いますので。その為にも、みんなが「ここが好きです」って言えるようにいろいろ挑戦していきたいです。


放送中のメッセージお待ちしています

4月から始まったローカルフレンズ滞在記。宗谷エリアでの滞在も、いよいよ今夜6時10分からの放送でフィナーレです。

番組では皆さんからの感想やメッセージを募集しています。放送中に表示されるQRコードを読み込んで、ぜひ参加してください。また、来週からは後志の喜茂別町での滞在が始まります。喜茂別町への期待や要望もお寄せください。お待ちしています!

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◆宗谷プチ滞在DAY1~稚内散策
◆宗谷プチ滞在DAY2~猿払村ロケ① 
◆宗谷プチ滞在DAY3~猿払村ロケ② 
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2021年4月22日

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