NHK札幌放送局

北海道の“原爆資料館”

芳川 隆一

2021年2月1日(月)午後0時59分 更新

広島、長崎から遠く離れた札幌にある“原爆資料館”を、皆さんはご存じですか? その名も「北海道ノーモア・ヒバクシャ会館」。札幌市白石区のJR平和駅から延びる跨線橋を降りてすぐ目の前にあります。最寄り駅の名前が「平和」だなんて、何だかとてもシンボリックです。 

私がここを訪れたのは1月中旬。核兵器禁止条約が発効を迎えたことについて北海道に暮らす被爆者の男性にお話を伺うためです。建物は3階建て。屋根の上には広島の原爆ドームを模したデザインが施されていて、館内には、広島や長崎の被爆者やその家族から寄贈された資料など約100点が展示されています。こちらは広島で原爆の熱線を浴びたラムネの瓶。溶けた複数の瓶がくっついています。

「北海道ノーモア・ヒバクシャ会館」は、道内の被爆者同士の交流の場として1991年に完成しました。会館を運営する北海道被爆者協会の担当者によりますと、北海道にはかつては1000人とも2000人ともいわれる被爆者が暮らしていたそうです。担当者は「広島、長崎から遠く離れた北海道に来ることで、悲惨な思い出と決別して新たなスタートを切りたいと考えた人が多かったのではないでしょうか」と、戦後、多くの被爆者の目に北海道が「新天地」として映っていたのではないかと教えてくれました。
それから時は過ぎ、去年(2020年)3月末の時点で道内に暮らす被爆者は248人、平均年齢は84歳です。このうち、自らの被爆体験を語る活動をされている方々は10人に満たないと言います。

被爆体験を語り継ぐことが今後、ますます難しくなる中で、北海道にいる私たちにもできることがあると教えてくれたのは、国際NGO「ICAN(アイキャン)」の川崎哲(かわさき・あきら)さんです。ICANは、核兵器禁止条約の国連での採択に貢献したとして2017年にノーベル平和賞を受賞した団体です。

川崎さん
「ついつい核兵器の問題って、広島や長崎の被爆者の方々が頑張ってらっしゃることが前面に出てくるわけですよね。けれど、決して広島・長崎のローカルの問題じゃないんです。世界の問題だし日本がどうするかは日本全体の問題だから、各地で自分たちが考えなきゃいけないんだって、そういうメッセージが出てこなければいけないと思うんです。私、北海道では多くのそういう取り組みが既にあると思いますし、北海道の皆さんがさらにそういう事を声を強くしてくださる事によって、広島長崎以外の他地域にも波及すると思うんですよ」

札幌市の「北海道ノーモア・ヒバクシャ会館」は、広島、長崎を除いては全国的に見ても大変珍しい、原爆に特化した資料館です。札幌の“原爆資料館”を中心に、ここ北海道でこれからも被爆体験の継承が行われていく事を願いますし、私もその様子をお伝えしていきたいと思っています。

2021年2月1日

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