NHK札幌放送局

小樽港に響く被爆ピアノ【芳川隆一】

芳川 隆一

2019年8月20日(火)午後6時23分 更新

先日、小樽港に大きなクルーズ船がやってきました。

総トン数およそ35000トン、客室数500で、12階建てのビルと同じぐらいの高さです。その迫力に、思わずテンションが上がる私。

実はこのクルーズ船の中であるコンサートが開かれるということで、その様子をほっとニュース北海道でお伝えしました。注目は、会場で使われた楽器です。

1945年8月6日、広島に投下された原爆の爆風で吹き飛ばされたガラス片の跡が今も残る「被爆ピアノ」です。広島の団体が修復し、今も管理しています。ピアノの持ち主だったのは当時19歳の河本明子さん。

あの日、明子さんは、空襲による延焼を防ぐために建物を取り壊す作業に駆り出されていて被爆し、翌日、亡くなりました。このピアノでショパンの楽曲を弾くのが大好きだったといいます。

コンサートは、国際NGOのピースボートが主催しました。ピースボートと言えば、10年以上に渡って広島や長崎の被爆者と共にクルーズ船で世界各地を巡り、証言を届ける活動をしていますが、終戦から74年がたち、被爆体験を直接語れる人が年々少なくなっています。そこでこの夏、被爆ピアノをクルーズ船に乗せて、各地にその音色を届けることにしました。8月6日に広島を出港した後、長崎、韓国の釜山、ロシアのウラジオストクなど東アジア各地でコンサートを開催し、今月(8月)16日に小樽港にやってきたのです。

小樽の会場を訪れた人からは、「とても柔らかい音色でした」とか「もう傷ついたピアノは見たくないですね」といった声が聞かれました。いつか、被爆者の声を直接聞けなくなる日が来ることでしょう。それでも、「被爆ピアノ」は、原爆の悲惨さと平和の大切さを後世に伝える「証言者」として、これからもずっと語り続けてくれると、今回の取材を通して感じました。


(2019年8月20日)


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