12月9日(金)、NHK札幌放送局と札幌市は「災害発生時等における外国人向け情報発信に関する協定」を結びました。…長いタイトルですが、この協定、簡単に言いますと、災害発生時の様子や災害関連情報を、在留外国人に向けて、NHKがSNSやラジオの災害報道等で放送できるようにする、というものです。「札幌市を外国人にとってもっと暮らしやすい町にしていきたい!」という、NHKと札幌市の思いが込められています。
札幌市の国際交流員が情報発信
札幌市には、市と海外の架け橋となり市の国際化を推進する、「国際交流員」という外国出身の職員がいます。出身国はアメリカや韓国、ドイツなど。日本の外務省が実施する、日本語や日本文化に関する知識を問う選抜試験を経て配属されました。

(2022年10月撮影)
札幌市総務局国際部には4人の国際交流員がいて、平常時は母国と札幌との交流促進のための様々な業務に当たっています。例えば…。

札幌の美味しいラーメンを紹介するための記事をドイツ語で執筆したり…。

韓国の文化を紹介する授業を札幌市内の小学校で行ったり。
こうした文化交流のほかに、国際交流員が担う大切な役割がもう1つあります。災害が発生したときに、防災情報を多言語で発信することです。札幌市では震度5弱以上の強い地震があった時や気象警報が発表された時などに、状況に応じて災害対策本部が設置されます。そこからの情報を翻訳して、市のホームページや関連団体のSNSなどで発信するのです。

こちらは、2018年の胆振東部地震のあと、ブラックアウトで電力供給がままならない事態になったとき、節電のために地下鉄の運行本数を減らすことを英語で伝えた翻訳文です。
国際交流員によると、「家族が海外にいる外国人にとっては、自分の安否を伝えるためにも、どこでインターネットにアクセスできるかという情報が特にニーズが高い」といいます。
なるほど、国際交流員ならではの視点ですね。
外国人に必要な情報をとどけるために
今回、NHKと札幌市が結んだ協定では、大きな災害が発生したときに国際交流員の皆さんが作成する翻訳文章をNHKのホームページなどにも掲載できるようにしたり、国際交流員に母国語でインタビューに答えてもらいラジオやテレビで放送することで、さらに多くの外国人に情報が伝わるようにします。まずは英語でのスタートですが、いずれ他の言語にも広げていきたいと考えています。
札幌市に住む外国人市民は12月の時点でおよそ15,700人と、3か月連続で過去最多を更新しています。いざというときに1人でも多くの人に必要な情報を届けるために、協定を通して外国人への情報発信をより充実させていきたいと考えています。
札幌放送局アナウンサー 芳川隆一
在留・訪日外国人の防災については、こちらもどうぞ
外国人の防災チーム、札幌で結成! | 芳川 隆一 | NHK北海道
“センパイ”が外国人の防災支援 | 芳川 隆一 | NHK北海道