NHK札幌放送局

第二の故郷・北海道で目指す夢舞台~スキージャンプ女子・茂野美咲~

小山 凌

2021年10月22日(金)午後4時15分 更新

いよいよ今週末24日に、札幌・大倉山でNHK杯ジャンプが行われます。
来年2月に迫った北京オリンピックに向けて、国内のトップジャンパーが集います。
女子は20代の選手たちが、世界各国を転戦するW杯メンバーとして活躍する中
今季を競技人生25年の集大成として大舞台に挑む選手がいます。
国内最年長ジャンパー・茂野美咲選手(34歳)です。
地元の新潟県で競技をはじめ、高校卒業と同時に北海道に拠点を移し、長年女子ジャンプ界をけん引してきました。
茂野選手に今シーズンにかける思いを聞いてきました! 

「スキージャンプ女子も五輪競技に」 強い思いを抱き、北の大地へ

茂野美咲選手は、新潟県南魚沼市に生まれ、ジャンプ競技と出会いました。
スキージャンパーとして生きていくと覚悟を決めたのは、幼いころにテレビで見たある光景がきっかけでした。
1998年の長野オリンピック・スキージャンプ団体。多くの観客が見守る中、選手たちが見せる大ジャンプ、金メダルを獲得して喜びを分かち合う日本選手の表情など、テレビを通して見た歓喜の瞬間が強く心に残ったといいます。

「私もオリンピックに出場して、あの大歓声の中でビックジャンプをしたい」

小学生だった茂野選手の夢が決まった瞬間でした。
高校卒業後は北海道の大学への進学を決め、競技に打ち込みました。しかし、当時はオリンピック競技ではなかったジャンプ女子の競技環境は、決して恵まれたものではなかったと言います。

「大学卒業後は所属チームが決まらず、居酒屋で夜通しアルバイトをしながら練習費を稼いでいました。フリータージャンパーとして試合をこなす毎日でした。体も心も苦しい時期だったけれど、アルバイト先の人たちや、北海道で出会った仲間たち、さらに地元の新潟の皆さんからの応援が自分の背中を押してくれて、厳しい環境のなかでも努力を続けることが出来ました。私が活躍することで女子ジャンプをオリンピック競技にしたいという思いを常に持ち続けながら競技に打ち込んでいた日々でした」

そんな環境の中でも、2013年に初めて世界選手権出場、さらに世界各国の大会を転戦するW杯メンバーにも選出されるなど、北海道の地でジャンプ女子をけん引する選手へと成長を遂げました。
ついに2014年のソチ五輪からジャンプ女子が正式種目になりました。

歓喜の裏で味わった屈辱 ~ソチ・ピョンチャン 2度の代表落選~

しかしソチ大会は代表落選、選手人生をかけて挑んだピョンチャン大会も度重なる怪我や、若手の台頭などもあり、代表権を掴むことが出来ませんでした。

そんな中、日本のエースとして期待されていた高梨沙羅選手がピョンチャン大会でジャンプ女子史上初のメダルを獲得しました。
茂野選手は、観客席からその歓喜の瞬間を見つめていました。

「ジャンプ女子にとっては本当にすごいことだけれど、悔しすぎて心からおめでとうと言ってあげられなかった。なんで私は観客席にいるのだろうと。オリンピック出場の夢を達成するまで選手をやめることは出来ない」

人生で一番悔しい経験を味わったと話す茂野選手は、35歳で迎える北京五輪を目指すことを決めました。

競技生活、25年の集大成~北海道へ、ジャンプ界へ恩返しのビックジャンプを~

再び世界と戦うために茂野選手は大きな挑戦を決めました。
わずか数㎝のズレや変化でジャンプの飛距離が大きく変わるとも言われる繊細なジャンプ競技ですが、茂野選手は、ジャンプ直前の助走にあたるアプローチ姿勢を変更することを決めました。
持ち味の下半身の強さをいかすために、今までよりもアプローチの際の腰の位置を低くすることで、力強く飛び出すジャンプを目指しました。
腰を低くする分、足の筋肉にかかる負担が増すため、これまで以上に下半身のトレーニングに力を入れています。

さらに、茂野選手は自身の夢を叶えるためではなく、ある思いをもって競技に打ち込んでいます。

「これまでは自分のために競技を続けてきたが、今後はジャンプ界に、そしてお世話になった北海道の地に、地元の新潟の皆さんに恩返しが出来るような活動をしていきたい」

茂野選手は、ジャンプ競技の魅力発信にも力を入れています。
自らのトレーニング映像を撮影し、映像に合わせて自身で実況風にコメントをつけたり、自撮り棒を持ちながらジャンプ台の紹介や、競技のルール説明をしたりする動画の制作にも関わっています。

自分と同じようにジャンプ選手を目指す子供たちのために。
スキージャンプがもっと多くの方々から注目を集める競技にするために。
茂野選手は日々奮闘を続けています。

優勝の経験もあるNHK杯ジャンプに向けては、

「いまは私が国内最年長ジャンパーになっていて、ジャンプ女子がまだオリンピック競技ではない時代、国内の大会が数えるほどしかなかった時代を知っている選手だからこそ、私が先頭に立ちたいという思いがすごく強いです。やっぱり若い子たちには負けたくないですよね。その時代の代表としてもうちょっと花を咲かせたいなと思っています。今年度は全ての大会を集大成という気持ちで戦っているので、これまで関わってくれたすべての皆さんに向けて恩返しのジャンプをしたいです」

国内のトップジャンパーたちの熱い戦いに注目です!

実況は高山大吾アナウンサー、小山はリポーターを担当します!
インタビューなどで選手の声をお届けする予定です。

第63回NHK杯ジャンプ
10月24日(日) 午前10時20分~
放送:BS1

高山アナが取材した
期待の若手ジャンパー・櫻井梨子選手の情報もぜひご覧ください!
#スキージャンプ女子の新星 櫻井梨子選手

NHK札幌拠点放送局 アナウンサー 小山凌


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