NHK札幌放送局

パリへの新エースは誰だ!!

笠井 大輔

2022年5月10日(火)午後3時05分 更新

東京オリンピックで、金メダル2個を含む5個のメダルを獲得した体操ニッポン。 2年後のパリへの戦いはすでに始まっています。 NHKでは、今年の世界選手権の代表選考を兼ねたNHK杯体操を、 女子は14日(土)午後2時からEテレで、 男子は15日(日)午前11時50分からBS1、午後2時からはEテレで生中継!! 

今回は、私、笠井が実況を担当する女子について、見所をご案内しましょう。

世代交代

東京オリンピック後の女子は、種目別ゆかで銅メダルを獲得した村上茉愛選手をはじめ、寺本明日香選手、畠田瞳選手ら、ここ数年、日本を支えたメンバーが引退しました。
そうした中で、先月行われた全日本選手権では、10代の選手が躍動。
上位5人が10代の選手となるなど、いままさに大きな転換期を迎えています。

中でも注目は、先月の全日本選手権で、初優勝を飾った笠原有彩選手。
愛知県出身の17歳です。
身長156センチと決して大きくはありませんが、きれいな体の線を活かした美しい体操が特徴です。
女子は、跳馬、段違い平行棒、平均台、ゆかの4種目で行われますが、いずれの種目でも大きなミスなく演技を行い、パリオリンピックのエース候補に名乗りを上げました。

準優勝は、同じく17歳の宮田笙子選手。
眼鏡だけではなく、体操の街としても知られる、福井県鯖江市を拠点に活動しています。
去年の全国高校総体のチャンピオンで、力強さとダイナミックな体操が特徴です。
今年の春に、右ひじを怪我した影響もあり、全日本選手権では、段違い平行棒で落下するなどのミスが響き、わずか0.733点の差で優勝を逃しました。

0.733

NHK杯は、全日本選手権の予選と決勝の合計得点を持ち点として、そこに今回のNHK杯の得点を加えた合計得点が上位の選手が優勝となります。
では、笠原選手と宮田選手の得点差、「0.733」というのは、どう見ればよいのか。

まずは、体操の得点の仕組みからご説明しましょう。

中継を見ていると、演技を終えた選手の下に、このCGが出てきます。
名前の下に、「D」と「E」とありますが、これは、技の難しさを示すDスコア、演技の出来栄えを評価するEスコアを表しています。
その選手のその種目の得点は、このDスコアとEスコアの合計で決まります。
まずは、Dスコア。ざっくり言うと、難しい技だと高い得点がもらえます。
中継などで、解説者やアナウンサーが、「E難度」、「C難度」と言いますが、これは、その技の難しさを表しています。
Aは0.1、Bは0.2というように、アルファベットが進むにつれて、0.1点ずつ増えていきます。
ちなみに、女子で最も難しい技は、アメリカのシモーネ・バイルズ選手が行った、ゆかのBilesというJ難度の技です。
後方抱え込み2回宙返り3回ひねり、もっとわかりやすく言うと、身体を抱え込んで後ろに飛びながら、着地するまでに、2回宙返りをして、3回からだをひねる大技です。
イラストにするとこんな感じです。

ちょっと、凄すぎて、理解できないくらいですよね。

そして、Eスコア。
これは10点満点で、例えば、着地の際に足が少し動くと0.1点減点、平均台や段違い平行棒で落下をすると1点減点というように、10点から引かれていきます。
跳馬だと8点台後半から9点台、そのほかの種目では、8点台が、良い出来栄えの目安となるので、ぜひ覚えておいてください。

「それならば、どの選手も、Dスコアが高い演技をすればよいのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、Dスコアが高いということは難しい技を行うことになるので、出来栄えが良くなくなるリスクがあり、Eスコアが低くなる可能性があるのです。
リスクを冒してでも高いDスコアを取りに行くのか、Dスコアはそれほど高くない技で、高いEスコアを取りにいくのか。
ここは、選手個人個人の戦略になってきます。

話は戻って、笠原選手と宮田選手の「0.733」という差。
全日本選手権では、段違い平行棒で落下し、1点減点された宮田選手。
今回、右ひじが回復し、落下しなければ、十分逆転可能な得点差です。
しかし、笠原選手も、跳馬で、難しい技に挑戦する可能性もあり、優勝の行方は全く分かりません。
さらに、全日本選手権3位の山田千遥選手、19歳。
2018年ユースオリンピック日本代表の実力者で、笠原選手との差は、「0.900」。
課題の平均台でミスがなければ、こちらも逆転可能な得点差です。

熾烈な代表争い

NHK杯は、今年の秋に開催予定の世界選手権の代表選考も兼ねています。
NHK杯の上位3人が、まず、代表に内定。
その後の大会であと2人が選ばれます。
優勝争いだけではなく、3位争いも注目です!!

NHK杯体操は、
女子は14日(土)午後2時からEテレで、
男子は15日(日)午前11時50分からBS1、午後2時からはEテレで生中継!!
ぜひご覧下さい。

NHK札幌放送局アナウンサー 笠井大輔
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