あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて、今年最初の仕事も去年同様、スキージャンプ女子ワールドカップの実況でした。
表彰台こそ逃したものの、日本選手4人がトップ10に入るなど、選手層の厚さを感じる大会となりました。
実は、この中継に先立ち、解説を担当していただいた伊東大貴さんにご協力いただき、スキージャンプの最新トレンドなどを勉強しました。
示唆に富む内容ばかりでしたので、今回は、その内容を一部公開!!
スキージャンプの観戦のお供にしていただければと思います。
空中スピードが勝敗分ける
伊東さんが、今シーズン熱い視線を注ぐのは、女子では、ワールドカップ総合ランキング2位のカタリナ・アルトハウス(ドイツ)、男子では同じく2位のアンジェ・ラニシェク(スロベニア)の2人の選手です。
今シーズンともにここまで3勝をマークしている2選手に共通しているのは、「空中スピードが速い」ことです。
なぜ、空中スピードが速いことが勝利につながるのでしょうか。
理屈はこうです。

ということだそうです。
空中スピードを速くするためには、ジャンプ台から適切な角度で立ち上がり、空中に飛び出してからも体やスキー板が動かないなど、無駄な動きを少なくすることが必要です。
ジャンプ台から飛び出した後の空中のスピードに注目して見ると、より深くスキージャンプを楽しめること間違いありません。

「バイクに乗っている時、時速30キロで体が受ける風圧と、時速80キロの時の風圧では、時速80キロの方が風圧は強いですよね。それと同じ理屈で、空中スピードが速い方が空気の抵抗が大きい=浮力が大きいのでなかなか落ちないのです」
テレマークはセンス
スキージャンプの選手が着地で取るあのポーズ。
そうテレマークです。
(こちらも参考にして下さい)
トップレベルの選手になると、飛距離で差がつきづらく、このテレマークの良し悪しで勝負が決まることも少なくありません。
しかし、このテレマークは、私たちが想像している以上に難しいのです。
ジャンプ台から90キロ前後のスピードで飛び出し、その勢いのまま、雪の上でスキー板がブレたり、足を取られないようにしながら、両腕を水平に広げ、左右の足を最低でも1足分前後にずらし、さらに、両足の幅はスキー板2本を越えないようにポーズを取らなくてはならないのです。
どうすれば、テレマークがうまくいくのか。
伊東さんの答えは、ずばり「センス」でした。
空中からテレマーク姿勢に入る「タイミング」、姿勢を保つための「バランス」と「体幹の強さ」。
これら3つの要素がつながらないと、減点が少ない良いテレマークにはなりません。
特に、タイミングは、教えても身に付けるのは簡単ではないそうです。
また、テレマークが上手い選手に共通しているのは、スキーの板に乗るのがうまい選手だそうです。
女子でこのテレマークが上手い選手の一人が、ワールドカップ総合ランキング1位のエバ・ピンケルニッヒ選手(オーストアリア)です。
この選手は、元々、アルペンスキーの選手ということもあり、スキー板に乗るのが上手く、テレマークがきれいに決まるのです。

勉強会には、全国のアナウンサーやディレクター、記者がオンラインで参加。
色々な質問に丁寧に答えていただきました。
NHKでは、女子ワールドカップ蔵王大会、男子ワールドカップ札幌大会を以下の日程でBS1で生中継します。
ジャンプ女子ワールドカップ蔵王大会
1月13日(金)午後4時50分~
1月14日(土)午後4時~
1月15日(日)午後4時~
ジャンプ男子ワールドカップ札幌大会
1月20日(金)午後3時55分~
1月21日(土)午後3時50分~
空中スピードとテレマークに注目して、ぜひご覧下さい!!
NHK札幌放送局アナウンサー 笠井大輔
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2023年1月11日