アナウンサー神門光太朗です。
きょう(27日)放送の『釧路根室十勝のすべて』は、4月27日(水)午後7時から5月4日(水)午後7時まで、らじる★らじる聴き逃し配信をします。何度でも聞けますので、どうかよろしくお願いします。

「神門光太朗の32市町村すべておじゃまします」
今回は標津町におじゃましました。
帯広市 ラジオネーム いとみさんから「メロディーが聞こえる標津町の道路の音を聞いてみたい」という要望が届きました。
メロディーが聞こえる道路……。
スピーカーから音楽が流れるのか? 近所の誰かが大声で歌っているのか? それとも……
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!
以前なら、怪奇現象の可能性もあるぞ……などと、おそるおそる現地取材に行ってみたものですが、今は21世紀、しかも21世紀に入って20年以上経っています。あなたも今見ている、インターネットという便利なものがございます。
カタカタカタカタ……[標津 メロディー 道路] パーン、検索!
はい、すぐに出てきました。
車道に掘った細かい溝の間隔を調整することで、そこを車が通過する際のタイヤの接地音に音階をつけるという、標津町の建設会社が考案した工法のことなのだと判明しました。
このようにネットで情報を確認できたら満足……しがちではありませんか?
きっと、いとみさんもそれくらいの情報は確認したのだと思います。その上で番組にメッセージを送ってくださったわけですから、きっと『釧路根室十勝のすべて』の独自取材力に期待していらっしゃるのでしょう。
その思いに応えようじゃあーりませんか!!
ってことで、釧路からバスに揺られて3時間近く、標津町にやってきました。
私を降ろしたあと、羅臼に向かって走り去るバス。地域の足、取材の足、心強い! 知床の山並みが美しい。

こちらが、建設会社の専務 篠田猛さん。
標津町川北 北7線東1の道路に、細かい溝が掘ってあります。

篠田「ここを車で走ると、知床旅情が聞こえます」
神門「知床旅情か~。羅臼行きのバスに乗ってきた私にピッタリだ」
篠田「知床旅情が聞こえるって話は事前にネットで知っていたんじゃないンですか?」
神門「あ、新鮮な驚きを表現したつもりですが、わざとらしかったですかね」
篠田「ハイ……。では、私が運転しますので、助手席で録音してください」

ブウウ~~~~~ン(時速60キロ)
♪ブーーーブワァ~ンブワァワァアンブワァワワァアアアアアンブウウワァワーーーンブワワワァ
神門「すごーーーーーーい! すごいです! すごいです!」
文字表現の限界……。
どんなメロディーが聞こえてきたのかは、らじる★らじる聴き逃し配信でお聞きください。
幅6ミリの溝が10センチほどの等間隔で掘られています。

路面をよく見ると、途中でその間隔が変わるところがあります。
左側とくらべて右側はビミョーに間隔が狭くなっています。わかりますかねえ?
間隔が狭くなると音階は高くなります。
「広」ゾーンを走っていた車が「狭」ゾーンに入ると、聞こえる音は高くなるっちゅうわけです。
わかりますかねえ?

↑
この画像は、標津町からの帰りのバスの中で、車酔いになりそうになりながら20分がかりで作りました(;’∀’)
一番右の「狭」の文字がズレているのは、バスの揺れによるものです。お許しください。この画像で伝わればいいのですが……。
そもそもなぜこの工法を思いついたのでしょうか。
あなたも、車に乗っているときに、橋や交差点、坂道などで路面から聞こえる音が変化するのに気づいたことがないでしょうか?
私は、帯広市と幕別町との境にある札内橋(国道38号)を渡るときに、交差点の手前でブォオオオオオオオオンと大きな音がして、いつもハッ!とします。
それは、すべり止めのために溝が掘られていることによって生じる現象です。
これをヒントに、「メロディーが聞こえる道路を作りたい」と構想を抱いたのは社長の篠田静男さんでした。
溝と溝との間隔を変えれば音階が作れるのではないか。
標津町の協力も得て、比較的交通量の少なかった道路が実験場になりました。
そこから社員たちの試行錯誤が始まります。
(篠田猛さんに当時を再現してもらいました)
路面に座り込んで手作業で直線を引く→線に沿って機械で溝を掘る→数百本を掘ったところで試走する→思い通りの音が出ない→再び図面を書き直してやり直し……

それを重ねること3年。
ついに、ねらい通りの「知床旅情」が流れるようになりました。
アイデアを、知恵と工夫と技術でカタチにする! これぞ職人魂!!!! 番組制作も同じ! 見習います!
この標津町川北 北7線東1の道路は、篠田さんたちの実験場でした。
現地で聞くと、その痕跡を3つ確認することができます。
1.「知床旅情」が始まる前に、なんだかよくわからない音階が続く
2.途中で「知床旅情」が流れながらも、それとは別のメロディーも聞こえる
3.「知床旅情」が曲の途中で唐突に終わる
1は、様々な音階を試した痕跡です。
2は、右タイヤと左タイヤで異なる音階を奏でる実験です。
3は、この道路の長さが1コーラス分なかったためです。
冬タイヤよりも夏タイヤのほうが音は出やすいそうで、これからシーズン到来です。
あなたも、標津町で実験の痕跡を聞いてみてはいかがでしょうか。
篠田さんが考案した工法で作られた道路は全国各地に設置されています。
北海道内では別海町と北斗市にあり、前者では「おお牧場はみどり」、後者では「赤とんぼ」「いいもんだな故郷は」が流れます。
このように、【釧路根室十勝のすべて】はあなたからのメッセージをもとに番組をつくっていきます。ふつおた(ふつうのおたより)でも、番組の感想でも結構です。
釧路根室十勝32市町村のあそこに行ってほしい、ウチに来てほしい、アレを調べてきてくれ……など、あなたからのメッセージが来ないと、この番組は始まりません。投稿フォームからお送りくださいませ!

次回、5月は23(月)、24(火)、25(水)放送予定です。 よろしくお願いします!
