NHK札幌放送局

おじゃまします「音更町」

神門 光太朗

2022年8月3日(水)午後5時00分 更新

神門光太朗の32市町村すべておじゃまします」
今回は音更町におじゃましました! 

きょう(3日)放送の『釧路根室十勝のすべて』は、8月3日(水)午後7時から8月10日(水)午後7時まで、らじる★らじる聴き逃し配信をします。何度でも聞けますので、どうかよろしくお願いします。


音更町 ラジオネーム アキラさんからの投稿
「私は音更町教育委員会の職員です。昭和30年代の音更町の街並み写真展示会を開催しています。町民の皆さんから好評で、会期を延長して5か月目に入りました。写真を展示しているだけではないんです。見に来てください」


「展示しているだけではない」とは!?  気になる!
7月29日(金)におじゃましました。

会場の音更町生涯学習センターには、音更町中心街の写真20点が展示されていました。昭和30年代ですから、もちろん白黒写真!
(8月からは音更町駒場地区・万年地区の写真が展示されています。9月末まで)


私は昭和53(1978)年生まれなので、「懐かしい!」ではなく、「へぇ~、あの商品は昭和30年代から売ってるのかぁ」とか「当時はパチンコ屋さんのとなりに葬儀屋さんがあったんだぁ」など新鮮な驚きの連続で、1枚ずつ見入りました。

ん? この写真のキャプション(説明文)に何か貼ってあるゾ。


拡大!


「閉店してます。」という付箋。
主催者側で貼ったものではなく、お客さんが貼ったのだというのです。

アキラさん、どういうこと?

「お客さんが知っている情報を、自由に書き込んでもらいます」

「展示前に私が調べてもわからなかった情報、あるいは間違っている情報があります。お客さんが気づいたことを付箋で指摘してもらうんです」


「この写真を見てくださいよ。
 店舗を正面から撮った写真ではないので、店名がわかりませんでした。
“田商店”しか読み取れない。山田なのか高田なのか古田なのかナニ田なのか!? わからないまま写真展が始まったのですが、お客さんが付箋で教えてくださいました。福田でした!」


付箋に書いてもらうだけではありません。アキラさんはお客さんに積極的に声をかけます。
「どちらにお住まいだったんですか?」「ここには何があったんですか?」「ここに写っている人をご存じですか?」などと質問します。
当時を知る人は、写真を見ることで、写っていない部分の記憶もよみがえるのだそうです。
「この店の右には病院があってね」「この家のご主人は活動弁士だったんだよ」と貴重な証言が得られるといいます。
アキラさんは、1枚の写真をきっかけに町民の皆さんの記憶を持ち寄ってもらい、音更町の歴史をデータベース化していこうと考えています。



私が注目したのは、昭和34(1959)年撮影の写真。

建物の右側には「薬店」の看板が。その前に白衣姿の人たちが写っています。
しかし、同じ建物の左側には「電器店」の看板。
どういうこと!?


展示写真に写る店の中で唯一、今も営業を続けているということで、行ってみました。

あれから63年。建物は新しくなっていました。

「こんにちは、突然失礼します」
これこれこうでこういう事情で昔の写真についてお聞きしたくてやってきたんですカクカクシカジカと告げると……

向平敏孝さん(71歳)が「まあまあ、そこにおかけくださいよ」と応じてくださいました。
スミマセン、“アポなし取材”の多い番組でして……。


「写真の一番右で白衣を着ているのが私の父で、左のほうの和装が母。学生服を着ているのが兄です。私は写っていないんですよ」


「父の知り合いの帯広の電器屋さんが音更に出張所を出すというので、同じ建物内で営業してたんですよ。だけど入口は別で、中にも壁があって仕切られていました。修理をしていたのもよく覚えていますよ」

「これは1月2日の初売りのときの写真ですね。父の知人の写真館をやってる方が毎年撮ってくれていたんです」

「農家のお父さんたちがオートバイで買い出しに来ていましたね。道路は舗装されていなくて、わだちがあったなぁ」

「当時はビー玉で遊んでたなぁ。家の前が空き地だったから、子どもたちで集まって。年上の先輩たちにいろんなことを教わって遊びましたね」


1枚の写真をきっかけに、次から次へと記憶がよみがえったようで、「懐かしいですねぇ」と語ってくださいました。
突然おじゃましたのに、ご丁寧にありがとうございました! うかがった内容はアキラさんにしっかり伝えておきますね。



で、再び生涯学習センターのアキラさんです。

「アキラさん。初対面かのようにしらじらしくインタビューをしてきましたが、あなたは去年まで帯広のコミュニティFMにお勤めだった上野山彰さんですね。その節は私も番組出演させていただいて、お世話になりました」

「はっはっは、そうですよ。私、転職したんです。ふるさと音更のために何かしたいとずっと考えていたんです。59歳で決断しました」

ふるさとのために決断! カッコイイですね。
でも、そのポーズだと真剣さが伝わらないので、もう少しシブくお願いします。


「はい。昔の音更町の写真を集めています。音更町民の皆さん、あるいはかつて音更町に住んでいたというあなた。家のどこかに写真が眠っていないでしょうか。探していただけないでしょうか。音更町教育委員会生涯学習課の上野山までご連絡ください。写真をお借りするか、スキャナーを持ってうかがいます。わかる範囲で当時の情報を聞き取らせてください」

「あなたのコメントが、音更の貴重な財産になります!」



「釧路根室十勝のすべて」には、おんこちしんせんこんとかちのコーナーがあります。
私も上野山さんに負けぬよう、故きを温ねて新しきを知る活動をしていきます。

釧根十勝を紹介した過去のNHKラジオ・テレビ番組の思い出をお送りください。
あるいは放送を録音・録画したテープを持っているよ! という方、その情報をお寄せください。
お待ちしています。

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