「神門光太朗の32市町村すべておじゃまします」
今回は足寄町の足寄動物化石博物館におじゃましました。
ラジオネーム ひろあきさんからの投稿
「足寄動物化石博物館を取材してほしい。古生物学の研究者がどんな思いで研究に打ち込んでいるのか、その魅力をどう工夫して来館者に伝えているのか。音で表現することが難しい分野を、あえてラジオ番組で紹介してほしい!」
ということで……
『釧路根室十勝のすべて』11/28(月)の放送では
足寄動物化石博物館の館長 安藤達郎さんにインタビューしました。

――展示内容のことを聞く前に……、安藤さんはどうして古生物学に興味を持ったんですか?
小学3年生のときに理科の本を読んでいたら、担任の先生が「そういう本を読むのはすごいね」と褒めてくれて、ほかにもこんな本があるよと教えてくれたんです。科学的にものを知ることの面白さに気づいたのがすべての原点なんです。そこから宇宙と生き物の進化に興味がわきました。
――大学ではどんなことを研究していたんですか?
生き物の進化について化石をもとに調べるという研究をしていました。約2億3000万年前の魚竜の化石を分析しました。卒論ではペンギンについての研究をしてニュージーランドに留学していました。

――足寄動物化石博物館には「骨」がたくさんありますね! しかも大きい! 大型トラックぐらいの大きさですよ。
そうなんです。大型動物の骨格標本が23あります。そのうちのひとつが「束柱類」ですね。束柱類の化石は足寄でも発掘されています。
――束柱類とは?
歯の形が「束柱」なんです。8本ほどの柱で1セット。これでひとつの歯なんです。

こんな形の歯の動物が現代にはいないので、束柱類がどんなものを食べていたのか、陸で暮らしていたのか、海で暮らしていたのかもわかっていなかったんです。

「陸なのか海なのか」は、長年、解明されていなかったのですが、2013年に発表した論文で「海」説が有力になりました。骨の内部構造が海の動物と同じだったんです。
――えーっ! 2013年! つい最近じゃないですか! 誰が調べたんですか?
はい。私もその研究チームの一員でした。この博物館は、最新の研究成果も展示していきたいと考えています。また、学芸員の作業の様子も間近で見学していただきたいと思っています。

――安藤さんと話していて、研究者の皆さんは新しいことを「知りたい」という探求心が強いなぁと感じます。
「知りたい」というのは人間の性質のひとつなんです。知ることによって人間は生き残ってきました。知ることによって科学技術が発達してきた側面もあるし、自分が何者かを知ることもできる。私たちは生き物の進化の歴史の中に生きています。これまでに滅びてしまった動物と人類とは何が違ったのか、それがどうしてなのかを考えることは人類全体にも役立つし、ひとりひとりの生き方にも影響があることだと思うんです。

まだ知られていないことを「知る」ために、研究者の皆さんは日々努力されています。
博物館の展示を見たり、図鑑を調べたり、ネットを検索したりすれば、様々な知識を手に入れることができます。しかしそれらの知識は研究者の皆さんのひとつひとつの研究の積み重ねなのです。
あなたも博物館見学する際、もし機会があれば、学芸員の皆さんの話を聞くことをおススメします。私、これまで古生物学にはあまり興味がなかったのですが、今回の取材で「ほほ~う」「へぇ~」と安藤さんの話を聞いているうちに関心度が急上昇。日を改めてプライベートで見学に行ったほどです。
この番組、『釧路根室十勝のすべて』が、あなたにとって新しいことを知るきっかけになっていれば幸いです。

(11/28 午後7時から1週間配信)
『釧路根室十勝のすべて』
あす29(火)も、あさって30(水)も、午後5:05から生放送!
(釧路根室十勝のR1 NHKラジオ第1)
NHK帯広放送局ホームページ
NHK釧路放送局ホームページ

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