NHK札幌放送局

羅臼の人は親切だとNHK神門は感じたのです

神門 光太朗

2022年12月12日(月)午後3時54分 更新

ラジオ番組『釧路根室十勝のすべて』のロケで羅臼町におじゃましました。
その日は羅臼で宿泊。
ロケを終え、ホテルでテレビをつけました。

「ふぅ疲れた疲れた。おっ、NHK総合『ほっとニュース ぐるっと道東!』連続テレビ小説『舞いあがれ!』帯広での撮影エピソードを紹介しているなぁ……」

「きょうのロケで会った西川さんも、『舞いあがれ!』をご覧になっていたなぁ……」



ふと気付けば、テレビを見ながらその日のラジオロケを振り返り、(羅臼の人は親切だなぁ……)という思いをかみしめていました。


今回、なぜ羅臼町におじゃますることになったかというと、きっかけは1通の投稿でした。

島根県・ラジオネーム スパロウリズムさんからの投稿
「年末になると親戚が羅臼や日高など北海道の昆布を送ってくれます。春に母が他界したので、これからの正月は私が昆布料理をすることになりますが、母からレシピを聞いていませんでした。神門さん、羅臼町で、おいしいだしのとり方と昆布巻きの作り方を聞いてきてもらえませんか。母の好物だった昆布巻きを仏前に供えられたらと思っています。個人的なことですがお願いします」


12/2(金)、羅臼町に到着。昆布といえば海だ。
漁港に向かいました。

ガラガラガラガラドンガラガラガラガラガラドンドンドンガーーーーーガーーーーーガーーーーーガラガララーガガラガラ

漁船のエンジン音やカゴを積み上げる音、何かを引きずる音が、あちこちから聞こえてきます。

漁業者の皆さんはとても忙しそう。
「どうもー!」なんて気安く声をかけられるような状況ではありません。
(今回のロケもアポなしなのです)



困った私の頭に浮かんだのは、西川さんの顔です。

西川美智子さん
「どこでなにする旅~羅臼町の赤いのを飲む旅~」のロケで、私が突然おじゃましたにもかかわらず、赤いフノリのみそ汁を作ってくださいました。感謝!


今回も、5月のロケと同じように、西川さんが経営する喫茶店の扉を開けます。

「こんにちは。今回も突然スミマセン。またまたNHKのカンドです」
「わーーーーー! キャッキャッキャッキャワッハッハッハッハッハッハッハ」

明るい歓迎でした! ありがたい!

そして「島根のリスナーさんのために、羅臼昆布のおいしい料理を教えてもらえませんか?」と聞くと、「それならね、オトモちゃんに聞いてあげるわ」と電話をかけ始める西川さん。

昆布について、料理上手なオトモちゃんから聞いた内容です。
(西川さんがお話しされたとおりに文字起こしします)

だしのとり方】
▶羅臼昆布をチラッと洗って、そのまんま水にひと晩つけて、軟らかくなったら取り出して、そのだしを使えばいい。
▶急いでいるときは、火を入れてあっためる、あまり沸騰させないでサッと昆布を取り出す。そのまま入れておくと雑味が出てしまう。
【だしを取ったあとの昆布はつくだ煮に】
▶昆布を細かく切って、長い時間ゆっくり弱火にかけて、半日くらいかかるかな、砂糖とみりんとしょうゆで味付け。
▶ゴマを入れたりナンバン(とうがらし)を入れたり、お好みに応じて。
昆布巻き
▶身欠きにしんをきれいに洗って、うるかす(水につけて軟らかくする)。
▶昆布をにしんの大きさにあわせて切って、巻く。
▶コトコト煮る。しょうゆもはじめは薄味で、ある程度軟らかくなったら砂糖をたして、最後はみりんを入れて、しばらくコトコトと小さな火で煮る。


アッサリと、だしのとり方と昆布巻きの作り方を聞けてしまった。
これできょうの業務終了じゃないか!
日帰りできる時間じゃないか!
……と思っていると、店の扉が開いてお客さんがやってきました。
西川さんが「あらちょうどいいところに! 森さんは昆布の人なんですよ」とおっしゃるじゃないですか。どういうこと?

森慎吾さん(84歳)
「長年、スケソウダラや昆布の漁をやってたんだけどね、平成7年に漁船を降りて、工場をつくって昆布かまぼこを作り始めたの。在庫があるから今から持ってきてやるよ」

私が工場に行きますよ! と申し出たものの、森さんは「今から持ってきてやっから、いいからいいから!」と店を出て行ってしまいました。


それから30分、扉が開いて再び森さんが入ってきました。
森さんの工場は4キロも離れたところにあるのです(ご近所かと思っていた……)。
わざわざ取りに帰っていただいて、すみません……。


「これが昆布かまぼこだよ」


家庭で作るのは難しいのでは???

「いやぁ、そんなことないべさ。羅臼では昔から家庭で作ってんだ」

ということで森さんからレシピをうかがいましたので、文字起こしします。

昆布かまぼこ
▶まず、すり身をつくる。1キロのホッケに対して、塩20グラム、砂糖110グラム、でんぷん80グラムを加えて、すり鉢でするかフードプロセッサーにかける。そこに卵と昆布だしを加える。
▶やわらかくした昆布を敷いて、その上にすり身を置いて巻く。
▶25分間、蒸したら完成。
【※12/16修正=塩20グラムをしょうが20グラムと誤記していました。ご指摘いただいた皆さん、ありがとうございました m(__)m 】

「ほほう、なるほど」と相づちを打ちながらも(1キロのホッケを入手するのは難しいのでは……)と感じたので聞いてみましたが、他の魚で代用したり分量を調整したりして作ってみてほしいとのことでした。


ロケ開始から3時間。
ここまで私は、喫茶店のカウンターでコーヒーを飲みながら話を聞いているだけ。
せめて森さんの工場を少しだけ見せてはもらえませんか……とお願いしたところ、「おお、いいよ。今は注文が入ってないから作業はしてないけどね」と言いながら連れて行ってくださいました。

そして帰りぎわに「ここは海が目の前に見えていいところですねぇ」と声をかけると……

森「干しガレイ、持ってって焼いて食べな。うちへ持ってって」

神門「えっ! いいんですか! しかも5つも!」

森「いいって! なぁぁぁぁあにを!」


神門「すみません! ありがとうございます!」

森「そういうものォ、元は漁師だもの! ケチケチしてないから! ガッハッハ! 気ィつけて!」


▼今回もアポなしなのに明るく迎えてくださった西川さん、ありがとうございました!

▼喫茶店にコーヒーを飲みに来たはずなのに、いったん帰って昆布かまぼこを持ってきて、干しガレイまでおみやげに渡してくださった森さん、ありがとうございました!

前回のテレビロケでも全員が快くインタビューに応じてくださって、本当に羅臼の皆さんにはいつも助けられています! ありがとうございます!

島根県のスパロウリズムさん! そんな羅臼の人たちのことを思い浮かべながら、昆布料理にチャレンジしてみてください!
年明けの報告をお待ちしています。

私も昆布料理を作りました!
(昆布巻きと昆布かまぼこにも、今後チャレンジしてみようかと……)


「神門光太朗の32市町村すべておじゃまします~羅臼町編~」は
12/12(月)午後5時05分から、釧路根室十勝のNHKラジオ第1で生放送!
(NHK帯広・NHK釧路エリアの周波数は赤枠内です)

『釧路根室十勝のすべて』は、13(火)、14(水)も午後5時05分から生放送!


聴き逃し配信は、放送当日の午後7時から1週間です(全国で聞けます)


NHK帯広放送局ホームページ
NHK釧路放送局ホームページ


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