NHK札幌放送局

コンサドーレ 菅野孝憲選手 インタビュー【前編】

西阪 太志

2020年7月29日(水)午前11時28分 更新

「全員がどのポジションをやっても問題なくプレーできる。これが私の哲学であり、サッカーの次のトレンドになる」と試合後の会見で語った、北海道コンサドーレ札幌・ペトロヴィッチ監督。

NHKが中継した日曜日の試合では、本職のFWを置かず、機動力が持ち味で複数ポジションをこなせる選手を多く起用。どんどん人が出てくるスピード感溢れる攻撃に、アグレッシブな守備で、去年の王者、横浜F・マリノスを破りました。

これでコンサドーレは7/4のJ1再開後、6試合負けなし。
チームの好調を最後尾から支えるのが、ゴールキーパーの菅野孝憲選手(36)です。

2003年に、当時J2の横浜FCでキャリアをスタートさせて今季でプロ18年目。
7/22のFC東京戦でJリーグ通算500試合出場を達成しました。

このブログでは、先日のNHKの中継でハーフタイムにお届けしたインタビューで紹介できなかった部分も加え、ほぼ完全版をお届けします。

前編では、各チームでたった一つしかないゴールキーパーの座を菅野選手はいかにして勝ち取り、500試合を積み上げてきたのか伺いました。

―J1再開後、「このセーブがなければ試合の流れが変わっていたのではないか」という菅野選手の好セーブが毎試合見られていると思います。ご自身では再開後のプレーをどう評価されていますか?

菅野
まあ率直にもっとできるというか。やっぱり反省点が多いゲームが続いてますし、本当にもっともっと出来るよっていう意味では気が引き締まる試合ばかりかなと。
やっぱり、勝って初めていいセーブだと僕は思っているので。それが勝ちにつながらなければ、それはいいセーブだとは思わないし。
だからそういう意味では、勝つキーパーが一番いいキーパーだと思っていますので。
そういう意味ではすごく、もっともっと結果にこだわらなきゃいけないなっていうのは改めてこの5試合で感じてますね。
(注:取材日は再開後5試合が経過した7/23 コンサドーレ練習後 オンライン取材)

―あの言葉の端々からも非常にストイックさを感じるんですけども、こうシーズン中に例えば満足するような試合であったり状況というのはあるんですか。

菅野
いやまだないですね。満足…した事ないですね。
本当に昨日の試合が終わって、また今日からは次の試合に向けて今いるキーパーの中でレギュラー争いが始まってるいと思っているので。
そういう意味ではもう本当に、満足する暇がないというか、試合は待ってくれないので。
常にベストの状態を保つことだけを考えている感じです。

―その中で、7/22のFC東京戦で、Jリーグ通算500試合出場を達成されました。
試合当日は札幌ドームにも「本物のプロが積み上げた500試合を誇りに思う。今日も立ちはだかれ菅野孝憲」というサポーターからの横断幕が掲げられていました。
改めて、1つしか出場の枠がないゴールキーパーというポジションで1試合1試合積み上げてこられた要因は何でしょうか?

菅野
いや、本当に周りの人に感謝しかないですよね。
僕、まあこういう小さいキーパーで(登録は179cm)プロに入ってきて生意気なキーパーだったと思いますけど。
一番最初に僕のキャリアをスタートさせてくれた人はリトバルスキー監督でしたけど、(プロ1年目からリーグ戦24試合に出場)あれが日本人の監督だったら僕を本当に(試合に)使ったのかなとか、今でも振り返っても感じますし。
まあやっぱりその時々に僕が出会った監督にもう本当に感謝しかないですし、そういう意味では、恵まれてるなっていうのは、改めて痛感しますね。

―リトバルスキー監督でなかったらというのは?生意気というのは当時尖っていたりしたのでしょうか?

菅野
尖っていた訳じゃないですけでど、思っていた事をすべて口に出していたので。
ですし、あの当時でもやっぱりそんなに小さいキーパーに関してね、今でもそうですけど、そこを思い切って使う勇気のある監督っていうのは、リトバルスキーさんだったからこそ、あれだけ早く使ってくれたのかなっていうのは振り返ってみれば、少し感じる時もあります。

―今お話にも出ましたが、菅野選手はプロのゴールキーパーの中では小柄と言われる中で、プロの世界で、どこで勝負し、どういう風に考えて戦ってこられたんでしょうか。

菅野
昔はそういう身長のことを考えていましたけど、逆に今はストロングポイントというか。
やっぱり身長が低ければ低いなりに、やらなきゃいけない事っていうのはある。
絶対に「ロス」してはいけないので。
やっぱり180cm190cmのキーパーが2m先のボールを捕るのと、僕が捕るのとっていうのを考えた時に、より最短で着地点に届かなくちゃいけなかったり、到達点に届かなくちゃいけないという意味では、常にロスのない動きっていう事は意識してトレーニングをしています。

―昔は身長のことを考えていたのが今はストロングポイントになってるというのは、どういう部分になってくるでしょうか。

菅野
それは数字だけですね。珍しいじゃないですか、170cm台で、まあいろいろ、そういう意味では、数字をぱっと見た時に昔はね、ちょっとコンプレックスじゃないですけど。
今もそういうプロを目指してる若い子もコンプレックスになる時はあると思うんですけど、まあ幼少期のコンプレックスって大人になってみると意外とストロングになっていたり、笑えたり。っていう意味で、サッカーの世界でも共通している感じかなと。
今までは僕もね、意地を張って、「小さくても関係ねぇじゃん」とか。
でも小さいモノは小さいんで。それを認めて、まあ出来ることがあると思いますし。
素直に何かいろんな状況を受け入れられるようになったっていう意味で
ストロングポイントになったのかな。

―菅野選手は、Jリーグ再開後の取材では必ずプレーできることへの感謝の気持ちを言葉にされています。その心境は、今回の新型コロナウイルスによるJリーグの中断前とは全く違った心持ちですか?

菅野
やっぱり新型コロナウイルスの影響が出る前は、もちろんね、当たり前の事なんてないよっていうのは口では言ってましたけど、本当にこういう状況下になった時に、サッカーって、別に生きている中で皆さんに必要かっていったら、食べる物や家とか、そういう風に絶対に必要なことではないじゃないですか。
なくても、誰も死ぬ事もなければ、命を落とすこともない。
そういう意味で、改めてサッカー選手ってどういう存在意義なんだろうって考えた時に、こういう場所をまた提供してくださって、みんなが必要としてくださってプレーできているということに対して、本当の意味で当たり前じゃないっていうのと、本当にこれは幸せな事だし、もう本当に1つでも皆さんにね、感謝の言葉を伝えなくちゃいけないっていうことは改めて。
改めてというか、身に染みて痛感しました。
この気持ちを忘れてサッカーやってるようだったらサッカーやめた方がいいんじゃないかなっていうぐらいまで、この期間は感じましたし。
本当に色々考えさせられましたね。

―サッカー選手がやるべきことといいますか、プレーすることの価値。
その辺りというのはどうでしょうか。

菅野
やっぱり本当に一人でも応援してくださった方たちに、僕たち本当に全力で、全力って簡単に口で言えると思うんですけど、本当に覚悟を持って僕たちがグラウンドに立つことが大事だと思うし。
明日感染するリスクは誰にでもあるわけで。
だから本当にグランドに立つ事にもっともっと僕たちは、覚悟を持って。
明日何があるか分からないんだよっていう状況で、また中断してしまう可能性もゼロじゃないわけですし、だから本当に「今日が最後だ」っていうぐらいの気持ちを持って常に練習にも臨まなきゃいけないし、試合にももちろん臨まなきゃいけない。
それプラスやっぱり結果として、皆さんの、応援に応えられるようにっていう意味ではすごく責任感も増しました。
覚悟っていう意味では、今まで口先だけで言ってましたけど改めて、自分にね、言い聞かせています。

本当に人生の中で、後悔したくないので。ああ昨日あれやっとけばよかったなとか。
そこだけは絶対残さないように毎日過ごすって事は自分の中のテーマなので。
そこは(中断前から)変わっていないですけど。
精神的な感謝の気持ちだったり、いつも幸せな気持ちだったりっていう意味では、間違いなく変わったところです。

(後編に続く)

コンサドーレ 菅野孝憲選手 インタビュー【後編】

2020年7月29日

関連情報

コンサドーレ・白井康介選手インタビュー【西阪太志】

西阪 太志

2019年8月6日(火)午後1時23分 更新

あさっての「まるラジ」は漫画特集!【西阪太志】

西阪 太志

2020年6月16日(火)午後1時27分 更新

きみはレバンガ強化計画を見たか【西阪太志】

西阪 太志

2019年10月7日(月)午前11時27分 更新

上に戻る