NHK旭川放送局の気象予報士 赤羽祐介です!
旭川に来てもうすぐ1年。初めてのブログです(笑)
昨年から、有難いことに「ほっとニュース道北・オホーツク」をご覧の方から天気に関する質問を頂き、気象コーナーの中で紹介させて頂いています。当初から、道北・オホーツクの皆さんと一緒に、このコーナーを作っていきたいと思っていたので、とても嬉しいです。
本当にありがとうございます!
今回は日頃の感謝を伝えるとともに、
これまで解決した質問を紹介していきます。
・月彩雲とうろこ雲 (名寄から)
・この不思議な雲の正体は何ですか? (旭川から)
・雄武で気嵐を発見!河口が暖かいから?(興部町から)
・幌延で見かけたこれは霧氷?樹霜? (稚内から)
・雪が青く見えました。なぜ青く見えるの? (旭川から)
・どうして幌加内は雪が多いの? (旭川から)
・光が空に向かって伸びていました!これは何?(訓子府町から×2)
【この不思議な雲の正体は何ですか?】

旭川で見かけた天に伸びるような雲の写真。
実は、これは飛行機雲でした。まわりの雲に比べて空の高い所を飛ぶ飛行機が手前から奥に進んだことで、縦に伸びて、さらに風で流されたため不思議な雲に見えました。
飛行機雲が長く残るということは、空気中の水蒸気量が多いので、その後、天気は下り坂になったと考えられます。
【雄武で気嵐(けあらし)を発見!河口が暖かいから?】

雄武の気嵐も素敵でした!
実は、この「気嵐」今は全国的に使われていますが、名付けられたのは道北の留萌。まさに、この土地ならではの現象です。そもそも、気嵐は海の水温が気温に比べて高いので見られる霧で、イメージとしてはお風呂の湯気のようなものです。
質問には、河口は川の水が暖かいから気嵐が出たんじゃないか?とのことだったので、実際に川の水を計りに行って来ました!↓

寒かったけど、川の水温は意外と高めと8℃!
当時の海水温よりも数℃高いことから、気嵐が河口でのみ見られた理由が証明されました!
【幌延で見かけたこれは霧氷?樹霜?】

霧氷の写真は本当にきれいだった!
単純に羨ましかったです。そして、この方がすごいのは「樹霜(じゅそう)」という名前を知っていること。空気中の水蒸気などが木々について凍ったものを「霧氷(むひょう)」と呼び、その中に「樹氷(じゅひょう)」「樹霜」「粗氷(そひょう)」の3種類があるのですが、名前も姿もそっくりでとても厄介です。

今回は、花のような氷の結晶が美しく見えていたので霧氷の中の樹霜でした。これに関しては、僕も本当に勉強になりました。(笑)
ありがとうございました!
【雪が青く見えました。なぜ青く見えるの?】
この質問も非常によかった!
「雪が青く見えました。これはなぜ?」これは理解してくれる人が少ないかもしれません。「雪は白いでしょ」と思った方、青く見える雪とはこんな感じです↓

こちらは1月に占冠に行った時に見つけました。確かに青くますよね。その他にも、流氷や海、川、池なんかも青く見えることがあります。
この共通点はズバリ「水」です。
実は、水は様々な色の光を吸収する性質があり、
残った青い色の光が目に届くので青く見えます。↓

ただ、青く見えるには、青以外の色をすべて吸収する必要があるので、一定の量が必要です。ペットボトルの水は透明だけど、海は青いのはこれが理由です。↓

そんな放送をしたあと、旭川冬まつりで青く見える氷見つけましたよ!なぜかとっても嬉しかったです!↓

【どうして幌加内は雪が多いの?】
これもローカルな良い質問!
全国放送じゃ絶対やらない解説もしました。こちとらローカル放送ですから、こうした質問もウェルカムです!!
幌加内は、2018年に324㎝の積雪を記録し、北海道で一番雪が多い地域です。324㎝ってどのくらいかというと…このくらい!↓

秋に幌加内に行ったとき、「ここまで積もった!」という印を見つけました!印があるのが、蕎麦屋っていうのが、日本一のそばの産地である幌加内らしくて素敵ですね(笑)
雪の多い理由は、沢山ありますが、なかでもわかりやすいのが「どんな風向きでも雪が降りやすい」ということです。道北が大雪になる西風パターンはもちろん、旭川ではあまり降らない北風の時も、幌加内は山の間を通って雪雲がやってきて雪が降ることが多いです。

その他にもこちら↓

このようにいろいろな要素が加わって
幌加内は道内有数の豪雪地になっています。
雪は多いし、晴れると-30℃を下回るし、
まさに道北の天気を語るうえで幌加内は外せない地域だと日々感じています。
【光が空に向かって伸びていました!これは何?】
↓2月には、こんな面白い写真も送って頂きました。

こちらはライトアップでも、UFOが襲来したわけでもありません。
「ライトピラー」という現象です。
あまり聞きなじみがないかと思いますが、「サンピラー」は聞いたことありますよね?

↑そうそう。これこれ!
ダイヤモンドダストが見るときに、太陽光により光の柱が見える現象です。実は「ライトピラー」も同じ原理で見られます。太陽の部分が街灯の光になっているイメージで、街灯の光が氷の結晶で反射して、我々の目に届くことで見られます。

寒い日は日中だけでなく、ぜひ夜も空に目を向けて
「ライトピラー」も見つけてみてください!
僕もまだ見たことないので探してみます!
質問以外にもこんなものふうに
「こんな空が見られたよー!」という写真もすごく嬉しいです!!
こちらの「月彩雲(月光環)とうろこ雲」、
秋の魅力をすべて詰め込んだような写真で最高に美しかったです↓

振り返ってみると、皆さんの写真や質問が素晴らしすぎて、投稿へのハードルが上がっているように思えますが、「こんな雲が見られたよー!」とか「福寿草が咲き始めたよ―!」、
「夕焼けが綺麗だったよー!」そんな軽い感じで送って頂いても構いません。
これからも一緒に番組を作っていきましょう!
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さて、ここまで飛ばさずに読んでくれた方は、天気が好きか、時間に余裕がある方だと思います(笑)どちらの方もありがとうございます!!さて、ここからが本題です。
実は2013年の雪についての質問を頂いたんですが、
少し前のことなので放送では扱えず・・・この場を借りて質問に答えていきます。
↓その質問はこちら!(旭川市のダヨー。さんから)
「2013年の1月2日未明~3日朝にかけて降った雪はとてつもない量でした。我が家の玄関が半分埋まってしまい、旭川に生まれ45年になりますが人生初の経験でした。なぜあんなに雪が降ったのか教えてください。」
実際に、当時の天気図を見てみると、北海道の上空を小さな低気圧が通過したことがわかります。

こちらの低気圧、局地的に強風や大雪をもたらす「ポーラーロウ(Polar Low)」だと考えられます。ポーラーロウはその大きさの大小にかかわらず、強い風や発達した雲を伴うため、上陸すると激しい現象が起こるのが特徴です。また、前線を伴わなかったり、発達すると台風のような眼ができたりすることから「冬の台風」、その他にも以前番組でも紹介した「真冬の小悪魔」とも呼ばれることがあります。
今回の大雪の原因はこのポーラーロウの進路で、おそらく空知の平野から深川、旭川へと山の低い部分を通って活発な雪雲が流れ込んだため局地的に大雪になったと考えられます。また、風も強まったことでサラサラの雪が吹き溜まりになり、アメダスの積雪よりもはるかに多い雪が溜まったと推測できます。実際に、1月2日20時~1月3日8時の12時間に降った雪の量は20㎝でした。一晩で20㎝というのは大雪でありますが、ものすごく珍しいレベルではありません。ただ、今回強かったのが風です。内陸の旭川では珍しく、1月3日6時の風速は17.7m/s。瞬間的には30m/s近い暴風になったと考えられます。その日は、旭川市内の交通機関に大きな影響も出たようですから、雪と風が強まることの恐ろしさがよくわかる事例だったと言えます。実は宗谷地方や留萌地方はこうした吹き溜まりで被害が出るパターンが多いので、吹き溜まりの威力を改めて感じました。僕も勉強になる貴重な質問を送って頂き、ありがとうございました!
最後に
このブログを書きながら改めて思いましたが、皆さんの質問に答える中で、僕自身が道北・オホーツクの天気について勉強になることが沢山ありました。
もっと道北・オホーツクの天気、
皆さんの素朴な疑問を知りたいと思っているので、
ぜひこれからも気軽に送ってください!
また番組内では、時間が限られているため質問しか紹介できていませんが、皆さんから頂いた温かいメッセージも、いつも嬉しく思いながら読んでいます。本当にいつもありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!
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