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「なぜ若者たちは投票に行かないのか?」 ~学生の率直な意見を聞いてみました 座談会①後編~

  • 2021年10月25日

前回の記事(投票率考えてみた。〜Z世代が主役の未来〜 座談会①~前編~)では、座談会の2つのグループのうち1班で話した内容について取り上げました。今回はその後編として、2班で話した内容について紹介します。

選挙に関する学校教育に注文も

2班で最初に話題に上がったのは「選挙に関する学校教育」について。
学生からはこんな意見が出ました。

女子学生
「情報収集の仕方を教わっていないから何を見て判断すればいいのかわからない。私の一つ上の世代から18歳選挙権が導入されたため学校でも投票に関する説明を受けたが、高校では先生が『選挙に行ってね』とは言うものの、どうしたらいいんだろうと凄く思った。こういう風に調べるんだよって説明してもらったり、学校で調べたりディスカッションしたりする時間を設けてほしいなとは思った」

男子学生
「先生方も教えるに当たって難しいところがあると思う。先月、教育実習に行った際に、選挙について先生方もいろいろ生徒に考えさせようとしていた。
一方で、投票にあたって何がいいって判断する価値基準は生徒自身に培ってもらいたいと思っていたように感じた」

学校の先生は教育者の立場だから、この政党がいいとは言えない。一方で、投票の仕方やシステムだけを教わるのでは物足りないと参加した学生たちが感じているようでした。

候補者や政党の評価が難しい

続いて、実際に候補者や政党を評価する方法について議題に上がりました。
マニフェストや政治活動に触れても判断に困ることがあるという意見が出ました。

女子学生
「たとえば、マニフェストで実現すると言っている政策について、税金のどこを増やして財源を確保するのかとか、あるいはどんなサービスを削って新しい政策を実現しようとしているのか、サービスを削ることが本当にいいのかとかを頑張って評価して候補者を選びたい。でも、マニフェストで訴えている内容に実現性があるかどうかや、財源として何を当てにしているのかとかは判断が難しく、専門家じゃないと分からない部分があると思う」

女子学生
「政党や候補者ごとの主張のわかりやすさについて言えば、やはり高校などでシステムは勉強しても、どう判断すればいいのかということを教わらないまま、候補者を評価しなければならないのが負担になっていると思う」

やはり投票に当たってネックの1つになっているのは、「候補者の評価方法に困る」という理由でした。ほかにも理由がないのか気になったNHK職員が学生にこんな疑問を投げかけてみました。

NHK職員
「選挙の時期に出される主要な政党のマニフェストを、各政党分、全部読んだことがある人ってどれくらいいますか?」

学生たち
「(沈黙)」

今回集まった学生は、日頃から政治をテーマに勉強している、関心の強い人たちですが、それでも全部の政党のマニフェストを読み切った人はいないようでした。学生からはマニフェストについてこんな意見が出ました。

女子学生
「正直なところ、全部読むのは現実的じゃないし、最初から読むのを避けてしまう政党もある。ただし、家に来る選挙公報は読む。具体的なことが書いてあるので、それが本当に実現できるのかなという疑問とともに、本当にできるなら実現してほしいなと思う」

若者に「選挙」や「政治」どうすれば伝わる?

さらに、評価方法が分からないことに加えて、判断する材料も数が多くてどうすればいいか分からないという意見が出ました。
議員の活動を公平に評価する材料の1つとして、日頃の国会答弁があると思いますが、これについて学生がどう考えているのか尋ねてみました。

女子学生
「たとえば国会答弁のダイジェストとかでも、中立な第三者によって編集されているのであれば、みたいと思う人は増えると思う。それこそ、TikTokとか若者が使うSNSで流したら、ついつい手を止めて見てしまうんじゃないか。細かく分けて作っても意外とみんな見ると思う」

男子学生
「幅広い世代に見てもらうということを考えたら、YouTubeとかで議員ごとに答弁の再生リストとかを作ってまとめてくれたら、いろんな世代の人がちょっと見てみるかという気になると思う」

このほか、議員や支持者が直接やっているYouTubeやTwitterなどでの取り組みをどう受け止めているかも聞いてみました。

女子学生
「ないよりはいいと思う。ただ、テレビとかは自分の興味とは関係ない情報が入ってくる一方で、SNSは自分に興味のない情報がなかなか入ってこない。政治にもともと興味のある人はより深く知ることができていいかもしれないけれど、あんまり興味ない人は見ないのではないかなと思う」

男子学生
「SNSでの発信も同じで、政治家が作っていると、どこまで内容を信用していいのか分からない。メディアが作っていると、あの団体が作ったとなってある程度は信用できる。また、さっきのマニフェストの件についても、そのまま学校で扱おうと思うと先生方は凄く怖くなると思うんですけれど、政策に突っ込んだメディアの記事やリポートであれば学校でも扱いやすいのではないか」

NHK記者が感じたこと

今回の学生との座談会で驚いたのは、政治に関心のある学生たちが一様に「候補者をどう評価していいか分からない」という心のモヤモヤを抱えていたことでした。投票率が低い原因として、『政治に関心がない若者』が多いということがよく言われますが、関心のある学生たちでも投票の判断に迷う状況ならば、関心のない人に「選挙に行こう」と呼びかけても伝わらないのではと思いました。では、どうすれば投票率が上がるのか。学生たちの「これが分かれば選挙に行きたくなるかも!」という声を拾い上げ、投票率の向上について学生たちと一緒に考えてみようと思います。

この記事を書いた人

NHK札幌放送局・臼杵良
記者3年目。日頃は防災・減災、原発分野などを担当しています。
写真は、道東・厚岸町の道の駅で特産のカキと。
道民のみなさんのための報道を心がけ、一人前の記者を目指して修行中です。

2021年10月25日

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