NHK札幌放送局

北海道まるごとラジオ 放送記録▼2020年5月7日

北海道まるごとラジオ

2020年5月14日(木)午後3時41分 更新

ゲストは、オホーツク海側 大空町出身の講談師 神田山陽さん。
MCは鈴木遥アナウンサーと佐藤千佳キャスターでお送りいたしました! 

今回、山陽さんには電話で出演していただきました。
(電話出演は、ラジオの初レギュラーの時以来、25、6年ぶりなんだそう!)

山陽さんが毎回テーマを決めて50分間しゃべくり倒し、私たちを素敵な世界に連れて行ってくれるコーナー、『うんちく問答』。今回のテーマは、「映画の風景」です!

山陽さん:外出自粛のこのご時世。素晴らしい風景を想像できるような、映画の中に現れてくる風景をお伝えして、表に出られない分を、少しでも埋められたならと言う気持ちでお話しできたらと思います!映画3本!風景を3つ!ご紹介しますよ!

さぁ、どんな話を聴かせてくれるのでしょうか!

【故郷の景色との再会】

山陽さん:いっぽんめ!主演・渥美清さんと言えば!なんでしょう?
鈴・佐:「「男はつらいよ」」!
山陽さん:そうですよね!今日はその中でも、11作目。「寅次郎忘れな草」をご紹介したいと思います。ご覧になりましたか?
鈴木:私ですねぇ、今回は、男はつらいよ絶対来ると思って、5作目15作目38作目は見ました!(全部北海道がロケ地なので…。)
山陽さん:11作目はね、もうとにかく名作中の名作なんですよ!(と、ポスターのセリフがスラスラ出てくる山陽さん・・・笑)

■「男はつらいよ 寅次郎わすれな草」~あらすじを、山陽さんの思い出とともに~

その時のマドンナが、浅丘ルリ子さんが演じている、リリーさん。48作中、別格のマドンナでして、この方が初めて登場する回が、この、「寅次郎 忘れな草」なんです。(ちなみに2回目に登場するのが、鈴木アナが見た15作目相合い傘。)公開は1973年ですが、山陽さんが見たのは、講談師の世界に入ったばっかりの1990年。浅草の映画館のオールナイトで見たそうです。ネットカフェやビジネスホテルなどがない時代、終電が行ってしまった後の一番よい夜の過ごし方だったそうです。朝まで映画館で寝て、映画を見ているんだか、見てないんだかで過ごすっていう。で、なんとなくで見ていた映画が、この「忘れな草」だったかなんですが・・・、なんと、ロケ地が、故郷・網走なんですよ!!!
さらにその後もう少し進んでいくと、網走郡網走市字卯原内(うばらない)という、私が幼い頃に過ごした土地が、まさにロケ地だったんです!映画館でびっくり!もう、正座するような気持ちでその後食い入って見ましたね。寅さん、とらやに帰ってくるんだけど、やっぱり喧嘩して出て行っちゃうんです。そこから北海道に行って、たまたま網走神社の鳥居のそばでレコード売ってるの。嬉しくてねー、その時、「私ね、ここが故郷なんですよ!」って、隣に座っているお客さんにいくら言おうかと思ったぐらい!その2人が、これからシリーズのうち4回出会って別れていくんですけど、その始まりが自分の故郷だった、この鳥居の横を通って高校に通っていたって言うのを、誰かに言いたくて言いたくてしょうがなかったの。そのころ、故郷を離れてから6 ・7年ぐらい経ってたんですけど、なんていうのかなあ…こんなところで故郷に出会うという、感動を交えながら見たのを覚えております。

■風景に秘められた歴史

山陽さん:作品の中で、寅さんが砂浜にいるシーンがあるんですけど、その時に遠くに見えているのが、網走のランドマークといってもいいんじゃないでしょうか!「帽子岩」です!
佐藤:「帽子岩!何度も見たことありますよ!」
(佐藤キャスターのスマホの中から見つけた1枚。手前は流氷です。)

網走の帽子岩は、もともと、帽子岩とは言わなかったんですよ。そこはアイヌの人たちにとっても大変神聖な場所で、「カムイワタラ」とその頃呼ばれていたんだそうです。
カムイワタラっていうのは「神の岩」って言う意味で、流氷が去って春に漁に出るのに、必ずその岩の上に登って「イナウ」を立てて祈りを捧げた場所だったんです。神聖な場所だという名前で「渡良岩」と地元でも言っていたらしいんですよ。
帽子の形をしていると言ったのは明治になってからで、地元の資料によると、地質調査にやってきたアメリカ人の技師が、「あの岩は帽子みたいだね」て言ってから帽子岩ってみんなが呼ぶようになったので、言ってみれば最近の話なんですね。
この「網走」と言う地名も、もともとアイヌ語の「チパシリ」とから来ているらしいんだけど、「チパ」というのが、古いアイヌ語で(アイヌ語に新語と古語があるらしい)、「チパ」という、御幣(神社などでお参りするときに立てるもの。イメージしてみてください・・・儀式の際に使う棒の先についている紙。そう、それです、それ!)と同じような役をしているものがあるらしいんですよ。その御幣のことを、もともと「チパ」って言うらしい。それでお参りをする場所と言う「「ぬさ場」のある場所」っていうのが、チパシリと言う意味らしい。だから網走と言う地名は、この、帽子岩から来てるらしいのよ。

山陽さん:いろんな説がある中で、これが今有力だと言われているのを、この間読んだのです。
それで、「はー、なるほどなぁ。そんなに大事なところだったんだ」と思って。「じゃぁ、帽子岩って言わずに渡良岩とかカムイワタラとか言ったほうがいいんじゃないかしら」と私は思ったんです。

【リスナーからは・・・】

「映画のロケ地を見てみたい!というのが、映画を見る楽しみでもあります。ローマの休日、サウンドオブミュージック、インディージョーンズなど、海外行ってみたいですね~!」というお便りが。

鈴木:ローマの休日で、階段でジェラート食べるシーン、わかります?あの階段、いま、そこでジェラート食べちゃいけないんですよ。みんなが食べて汚すから(多分)。
佐藤:知りませんでした!びっくり!そうやって、映画ファンの人が行きたい場所が、自分たちのマナーのせいで減ってしまうのは、悲しいことですよね・・・。

さらに、Twitterからは、

◆アイヌ語由来の地名の話はおもしろい!
◆神田さんのうんちく勉強になります!
◆3本話せるのかな・・・

という声も!

そう、時間、足りるのでしょうか!?「男はつらいよ」についてはまだ話し足りないという山陽さんでしたが・・・2本目に参りましょう!

【2本目!印象に残ったセリフとは・・・?】

山陽さん:2本目は、39年前の映画です!主演:高倉健さん!「駅 STATION」です。高倉さんは北海道にものすごく縁のある方だったらしくて、映画、205本ぐらい出演されている中の30本以上が北海道ロケなんですよ。(山陽さん調べ)
この映画を初めて見たとき、一番印象に残ったのが、「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」という台詞。見た方は、そうそう!と思っている男性も多いと思いますが。(山陽さん、2回言いました。気になりますねぇ・・・)

■「駅STATION」~山陽さんによるあらすじ~

高倉健さん演じるのは、警察官であり、オリンピックの出場が決まっている射撃の選手。舞台は、1967年の銭函の駅。ここで4歳になる息子と妻と別れるのですが、その別れのシーンのいしだあゆみさんの、列車が動き出してから、敬礼をして笑って見せるんですけど、悲しい顔で笑っているんです、それがなんとも美しいんですよ。実に美しいんですよ、赤いコートを着てらしてね・・・。わたし初めて見たときはまだ小僧だったので、なんか大人な話だなと思ったんですけど、いま見直してみると、実によくわかるんですよ。別かれる前に、自分の射撃のコーチであって、尊敬する上司(演:大滝秀治さん)が、連続警察射撃犯に狙撃されて、検問中に射殺されてしまうんです。そんなことがあって、別れてしまうんですよね。ずいぶん傷心ななかで、1人目の話は終わるんですけど、ここから12年かけて話は進んでいくんです。ケンさん演じる警察官の3人の女性との出会いと別れ、みたいな。
2人目は、烏丸せつこさんが演じる、犯人の妹で、舞台は「増毛(ましけ)」

山陽さん:増毛の場所、わかりますか??
両手で、人差し指と親指をあわせるとひし形ができますよね。その一番上が宗谷岬で下が襟裳岬だとすると、左手の第二関節のあたりが、増毛だと思ってください!
鈴木・佐藤:これは画期的~!おもしろい!今後どんどん説明に使っていきましょう!

(話はあらすじに戻って・・・)増毛で、連続通り魔を捕まえるんです。その妹の役が、烏丸せつこさん。健さんはこのころオリンピック強化合宿のコーチになっているんですけど、スパルタすぎて解雇されているんです。このときも心にいろいろ抱えている。
それからさらに3年後。最後に紹介する風景は、「雄冬(おふゆ)」です。健さんが演じた三上さんという刑事が、帰郷するところが、雄冬という集落なんです。昔は、陸の孤島といえば、雄冬というぐらい、海からの道しかなかったんです。札幌から海沿いを走っていく道ができたんですけど、この道が20年以上の難工事のすえにようやく道がついたというところなんです。ここには船じゃないといけない。  3年後、心にいろいろ抱えた健さんは、故郷に帰ろうと、そして刑事をやめようと思って、増毛から連絡船に乗ろうとするんですが、雪で欠航になるんですね。行くところもなくさまよっていると、一軒あかりのついた赤ちょうちんがあって、そこにいたのが、倍賞千恵子さんなんですよ!店には八代亜紀の舟歌がテレビから流れてきて、2人は寂しい心を寄せ合って意気投合するんですよ。翌日、「紅白歌合戦でも一緒に見ない?」とかいって、映画を見に行って、そのあとで、「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」ということが起こるんです! (山陽さんがこんなに言うなんて、とっても気になりますが・・・何が起こったかは、映画を見ましょう・・・)
ところが、ここに、その上司の敵というのが、何の因果か、倍賞さん(演じる役)の元彼氏で、やってきてしまうんです。敵を討つと言うことが、恋の終わりとなってしまう、実に切ない映画なんです・・・。

■絶景の地区・雄冬!

雄冬は映画としてはそんなに出てくるところではないんですけど、まだ連絡船が通っている頃に一度行ったことがあるのですが、本当に、暑寒別岳の断崖絶壁が迫っている集落なの。「なんでここに人が住むことになったんだろう・・・」と思うと、江戸中期にまでさかのぼるんですよ。ニシンがすごい最盛期でした。身欠きニシンで食べるだけじゃなくて、当時は、ともし油、ニシン油もそうだし、ニシンかすは肥料としてものすごく高級品だったんだって。200年ぐらい、大正時代になるまで、陸の孤島の雄冬から、日本中にニシンが渡っていった。だからここで暮らさなきゃいけない人がいたんですよね。ニシンで栄えたところだったから。
さぁ、そんな雄冬、増毛から船にのって2時間ぐらいかかったんですけど、いまは車で15分ぐらいじゃないかな?近くなってしまいました。札幌からだと2時間もかからないんじゃないかなぁ。231号線という道をずっと札幌からあがっていくと雄冬なんですけど、ここに、幻の滝といわれている滝があるんです!「ペリカの滝」ってうのが、あるんですよ。これは連絡船だと見られたんだけど今は道になってしまったので海からしか見えない、幻の滝なんです。

山陽さん:初めて見たとき、人間の作為なんていうのは自然にはかなわないなぁというか、作為の及ばない痛快さみたいなものを感じた。不便は不便でよかったし、不便だから見られる景色みたいなものもあったんですよ。絶景の地区ですから。ましてこの映画を見たあとだと、ここでこんなシーンを撮ったんだ!というのが、おわかりいただけると思います。

山陽さんが雄冬に行ったのは、30年近く前ということですが、今度、どこにでも行っていいような時間になったら、行ってみたいなぁと思っている場所のひとつなんだそうです。

Twitterからは、

◆この映画のときに走った特別列車・PR列車見に行ったなぁ

という声が。愛されている映画なんですね~!

【3本目!番組残り10分弱!】

山陽さん:最後は森田芳光監督の作品!このかたも北海道で4本映画をとってらっしゃるんですが、そのなかの1本。1984年、「ときめきに死す」!をご紹介!(この作品は、MC2人ともわからず・・・)
コメディかと思ってみたら全く違ったんですけど、これも北海道で撮影されているんです。衝撃のラストシーンは、渡島大野駅というところ。渡島半島というところで、主演が沢田研二さんなんですよ。

■「ときめきに死す」~山陽さんによるあらすじ~

沢田研二さんが、使命をもって、この街にやってくるんです。そのサポート役になったのが歌舞伎町の医者だという杉浦直樹さん、そのあとやってきた、どうやら水商売らしい、樋口可南子さん。この3人のなんとも間が開く、かみ合わないような会話が続くんですけど、この、ひんやりとつめたい冷めた空気と言えば良いんでしょうかね、いまは見えないんだけど、どっかに張られたワナのワイヤーのようなものがピーンと張った緊張感が、ずーっと全編に張り詰めている。そして、最後の最後にわかるんですけど、この沢田研二さんが演じる役が、暗殺者なんですよね。ドキーッ!っとするんですけど。
この3人が、静かな、特別なにも起こらないといえば起こらないんですけども、目の離せないような話のなかで、3人で黙って車に乗っている海岸線があるんです。そこが、最後に紹介する景色、「日浦洞門」です!

■どうやって撮影したの!?「日浦洞門」

函館から、渡島半島の南東にある恵山という山に向かって行く道に、「日浦洞門」というトンネルがあるんです。ぶつんぶつんと短い、昭和4年に掘られた手堀りのトンネル。実に狭いトンネルで、対面交通だと思うんですけど、バスが来るとミチミチのいっぱいになるので、バスで通るとこっちが緊張するぐらい、狭いトンネルなんですよ。ここを、沢田研二さんたち3人が乗った車がずーっと走っていくんですが、そのときに、車の周りを、カメラがぐるん!と回るシーンがあるんですけど、これは映画館で見たときに立ち上がるかと思いましたね!今みたいにCGやドローンがあったりするわけじゃないのに!どうやって撮ってるんだ!この不思議な撮影は!!と、もう、ずいぶん昔の話ですが、感動して見た覚えがありますね。
このあたりの「サンタロナカセ岬」に、「サンタロナカセ岩」っていうのがありまして、この岩は、「三太郎という人の息子が海に行って帰ってこなくなって、毎日毎日息子の帰りを待っているうちに、岩になってしまった」という伝説があるらしいのです。ここがねぇ、朝日といい、夕日といい、海の眺めが格別なんですよ。またね、恵山が活火山なので、恐山に似た風景もあって、さいの河原とよばれているところもあるんですよね。周りに温泉もものすごくあって、大変すばらしいところなんですよ。
ぜひ、自由に北海道旅行が楽しめるようになった際には、おすすめの場所ですね。そのときは。「ときめきに死す」の沢田研二さんを見てからおいでになったら楽しみが格別になるかと思います。

今回のうんちく問答は、ちょっと特別編のような感じでしたね。道外の方から、
「昨年5月と6月に2回北海道に行きました。大ファンになり、そのときは絶対来年も行こうと思ったのですが、残念、行けなくなりました。また訪れたいと思います。」
というお便りもいただきました。
そのときは、映画の風景も思い出しながら、北海道におこしいただければと思います。

▼番組で紹介した曲 ~神田山陽さんセレクション
『霧の波止場』/高倉健
『灰とダイアモンド』/沢田研二

5月7日(木)午後5時5分~
北海道まるごとラジオ「うんちく問答”映画の風景”」

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