NHK札幌放送局

WEBニュース特集 “コロナ時代”盲導犬の支援は

北海道WEBニュース特集

2020年9月8日(火)午後2時04分 更新

新型コロナウイルスの感染拡大は盲導犬を育てて視覚障害者をサポートする民間団体の活動にも大きな影響を及ぼしています。“コロナ時代”にどのように対応して盲導犬とともに歩む暮らしを守ろうとしているのか、今の活動に「ほっとニュース北海道」の太細真弥キャスターが迫りました。

生活支える地道な訓練

8月31日、札幌市内の住宅街で盲導犬の歩行訓練が行われました。参加したのはこれから盲導犬と一緒に生活する女性で、訓練には盲導犬協会の指導員も同行しました。

指導員は車が路肩に駐車して道が狭くなっている所を避けるように誘導しているか確認しながら、女性には盲導犬に的確に指示を出すやり方を伝えていました。盲導犬と暮らすにはこうした訓練を1か月ほど重ねます。
訓練に参加した女性は早ければ9月中にも盲導犬と一緒に行動できるようになるということです。

「“今歩きたい”と思って声をかけたら、そばにいる盲導犬と一緒にすぐ歩くことができる。その喜びはあります」

盲導犬の活動にも影響

道内の盲導犬の指導や管理にあたっているのは札幌市南区にある北海道盲導犬協会です。今の活動状況を取材しようと訪れてみると、棚の上には活動への寄付を呼び掛ける募金箱がずらりと並んでいました。
この募金箱は道内各地の飲食店などに置かれていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で閉店に追い込まれるなどして4月以降、返却が相次いでいるということです。

盲導犬の飼育や訓練、繁殖に必要な経費は一頭あたり約300万円かかり、協会では8割近くを個人や企業からの寄付でまかなっています。ところが、今年度寄せられた寄付金はことし7月末の時点で去年の同じ時期より約3割減り、感染拡大が活動資金を直撃している形です。

さらに、盲導犬に直接触れて身近に感じてもらうイベントや、街頭で呼びかける啓発活動も相次いで中止を余儀なくされ、協会では盲導犬への関心が薄れてしまうのではないかと不安を抱えています。

北海道盲導犬協会 和田孝文所長
「盲導犬は目の不自由な人とともに実際に社会の中で活動し、社会の中で受け入れられて初めて、その目的が達成されます。そのためには市民の理解が必要で、私たち協会と盲導犬ユーザーが社会に一緒に理解を得ることが欠かせません」

コロナ時代の新たな形は

この状況下でも理解を広げようと、協会は今、新しい生活様式に配慮したイベントを模索しています。その1つが一般の人に目隠しをして盲導犬と一緒に歩いてもらう「歩行体験」です。
これまでは職員が長さ1メートルのリードを使い、犬と体験する人に近づいて指示を出していました。

そこで参加者との距離をとるため、リードを倍の2メートルに伸ばすことにしました。ただ、距離感が変わると犬は不安に思って指示通りに動けないことがあるため、職員が2メートルのリードを使った練習を繰り返しています。

私も目隠しをして盲導犬と一緒に10メートルほど歩いていすに座る練習を体験させてもらいました。職員のサポートを受けながら散歩する感覚でゆっくり歩くと、犬が座っていすの場所を教えてくれました。

“苦しい時こそ”支える声

盲導犬の活動が苦しい時だからこそ支え続けようという声が今、広がっています。協会には「大したことはできませんが、末永く微力ながらでもお役に立ちたいと思っております」「皆様もワンちゃん達もお体に気をつけてお過ごしください」といった内容の手紙やファックスが次々と届いています。

その1人が南幌町の高松佳子さんです。会社を経営するかたわら、30年以上にわたって社内に募金箱を置いて協会の活動を支援してきました。
高松さんは現在の状況を心配して寄付を続けながら、協会にも直接、電話で気持ちを伝えていました。

南幌町 高松佳子さん
「協会の皆さんには『これからも頑張ってください』とお話ししました。少しの募金でも目が見えない人が1歩を踏み出せるきっかけになるならすごくうれしいので、これからも続けていくつもりでいます」

盲導犬を間近に感じて

歩行体験をした時の感覚は今までにないものでした。目隠しをして比較的早足で盲導犬が案内してくれましたが、いすの手前ではゆっくりスピードを下げ、いすの座面に頭を乗せて場所を知らせてくれたことが伝わりました。
目の前が真っ暗な中、無事いすに座ることができ、安心感に包まれたようでした。盲導犬にまさに“触れる”ことで、活動そのものとの距離も縮まるのだと実感しました。

多くの人の支援の積み重ねで続けられてきた盲導犬事業が、1日でも早くこれまで通りに活動できる環境を取り戻してほしいと願っています。
協会では今後の感染状況を見極めた上でイベントなどを再開していく方針です。今後の活動スケジュールやインターネットでの募金方法などは北海道盲導犬協会のホームページでご確認ください。

(「ほっとニュース北海道」キャスター・太細真弥 2020年9月3日放送)

関連情報

WEBニュース特集 レバンガ北海道・折茂武彦“専業社長”で…

北海道WEBニュース特集

2020年6月30日(火)午前11時16分 更新

WEBニュース特集 最新研究 津波の浸水予測

北海道WEBニュース特集

2018年10月31日(水)午後1時00分 更新

WEBニュース特集 “流氷の天使”どこに?

北海道WEBニュース特集

2019年3月25日(月)午後6時00分 更新

上に戻る