札幌から車で走ること3時間半。帯広と釧路のちょうど中間にある浦幌町が9月の舞台です。

十勝の浦幌町。
人口4300のこの町は「3年連続で20代人口が流入超過」しています。
若者を惹きつける浦幌町の魅力をローカルフレンズの案内で見つけていきます。

浦幌編のローカルフレンズ、井上陽さん(左)と古賀詠風さん(右)
浦幌編のローカルフレンズを務めるのはこちらのお二人。
浦幌町出身の18歳、井上陽(はる)さん。地元浦幌町で飲食店や牧場のアルバイトをするマルチワーカーをしています。
もう一人が、26歳の古賀詠風(えいふう)さん。この春地域おこし協力隊を卒業した、移住4年目のIターン組で、いまは地元企業で教育に携わっています。
二人が案内してくれたのは、浦幌町の若者の拠点の一つになっているというゲストハウス。

一か月滞在する「ハハハホステル」
15年間空き家になっていた振興局の独身寮の建物を、みんなでリフォームしたもの。
リフォームを進めていくうちに町内外の若者や地元の上の世代の方も加わったのだとか。

その数、なんと88人。

ローカルフレンズのお二人もリフォームのお手伝いをしたそう。

「ここは僕が塗りました」「こっちは僕が」
このゲストハウスのオーナー、小松輝さん(こまつ・ひかる)さん。元地域起こし協力隊員の28歳です。

「ハハハホステル」オーナー、小松輝(28)さん
「外の人と地域の人がつながれる場所を作りたい。」と地域の人の手も借りて1年前に
ゲストハウスをオープン。以来、受け入れた若者は300人を超えます。
開業前に描いてもらったというイラストを見せてくれました。

「本当に応援してくれているんだなぁというか、逆に自分もしてもらったことを恩返しじゃないですけど、できることで協力していきたいなぁという気持ちがより強くなっていますね」

地域への恩返し。
小松さんはこの春ゲストハウスに続く新たな試みをはじめました。
それは、浦幌町に興味がある若者が町の仕事を体験できるプログラム。
滞在5日目。この体験プログラムを受け入れている牧場へお邪魔しました。

体験プログラムを受け入れている酪農家高木翔太さんは「つくる人も食べる人だし、食べる人もつくる人。食べる人がいないと、つくっても意味ないじゃないですか。つながっているよって。自分で体験して、分かれば。」と話します。
牧場には東京から3週間、酪農体験にきている大学生がいました。
いままで牛とかかわったのは、搾乳体験だけ。角のある大きな牛に近づけません。

高木さんの合図で、牛が見ていない隙に掃除していましたが…

こわいと思っていた牛が、頭をなでさせてくれました。

「帰るまでにこの子と仲良くなりたい」

体験を受け入れている髙木翔太さん
「なんとなく、こんなことやったなって何かあったときに思いだして、ふらっとこれるような町だったらいいかなって」
再び、ゲストハウスへ。
小松さんは普段からさまざまなイベントを開いています。

この日は、地元で親しまれる魚「カジカ」を使ったカレーの試食会。
小松さんと一緒に企画したのは、最近東京から移住してきた料理家の宮川順子さん。
夏休みを使ってゲストハウスに長期滞在している大学生も「面白そう!」と飛び入り参加しました。

「料理を仕事とされている方の隣で料理することなんてなかなかないので。おもしろい」

宿泊客や地元の方を招き、30人ほどに振る舞います。


カジカにはなじみがあるものの「カジカを使ったカレー」は初めてという地元の女性も「おいしい。」と舌鼓。地元の人のお墨付きに小松さんも安心した様子。
地元の人のおかげで「描いていた理想像に近いかなぁ」と話す小松さん。
ゲストハウス開業前に描いていた夢。
その光景が今、目の前に広がっていました。

2022年9月8日
