NHK札幌放送局

スケソウダラ減少 原因は温暖化? #水産クライシス

ほっとニュース ミニ

2020年2月20日(木)午後5時12分 更新

冬の味覚「おでん」。北海道の厳しい冬には、つい食べたくなりますよね。おでんに入っているちくわやはんぺんなどの練り製品の原料にはスケソウダラのすり身が使われています。スケソウダラは国内では北海道周辺が主な漁場になっていますが、水揚げ量はこの30年ほどで激減しています。温暖化による海水温の上昇が原因だと指摘する研究者もいます。

温暖化が資源減少の要因?

道立総合研究機構・稚内水産試験場の美坂正研究主幹は、スケソウダラの資源管理を研究してきました。美坂さんは温暖化の影響で日本海の海水温が上昇したことが、資源減少の要因の1つと指摘しています。
日本海側のスケソウダラは冬に産卵します。海面付近を漂う卵がふ化するのに適した温度は7度。ところが、1990年以降、海水温が上昇、海面付近の温度はその7度を超えるようになっているのです。卵や稚魚が死んでしまうケースが多くなったと考えられているといいます。
さらに去年発表された研究では、スケソウダラの親魚が生息する水深400メートルでは、ここ30年間で温度の上昇が続いていることがわかってきました。

美坂正研究主幹
「卵や生まれたばかりのスケソウダラにとっては、致死的な水温に遭遇する可能性が高い。北海道沿岸の日本海のスケソウダラの資源量は、かつての量に戻れないかもしれない」

美坂さんは、このままのペースで水温の上昇が続けば、スケソウダラの分布が北上し、北海道沿岸の資源量はさらに減少するおそれもあると指摘しています。

乱獲も加わって深刻な資源の減少

北海道近海のスケソウダラの水揚げ量の減少は深刻です。2018年(平成30年)の水揚げ量はおよそ5600トンで、30年前のおよそ20分の1ほどに落ち込みました。温暖化による資源の減少に加え乱獲が続いた結果、厳しい漁獲制限が行われ水揚げ量は低迷したままです。

すり身の値段が高騰して・・・

森町の水産加工会社いなみ食品工業は、主に道内産のスケソウダラのすり身を使って、ちくわやかまぼこなどに加工しています。去年、商品を一律8%ほど値上げしました。すり身の価格が高騰したためです。
スケソウダラ以外の原料を使うなど、企業努力を続けてきたものの、値上げを選択せざるを得ない状況でした。

水産加工会社工場長・稲見俊一さん
「価格高騰が続き、厳しい状況ですが、なんとかやっていかなければいけないと思っています」

すり身価格高騰の理由は、欧米やアジアでの健康志向の高まりで、世界的にスケソウダラの需要が高まっているからです。国内大手食品メーカーが製造した「カニカマ」のパッケージには英語で「SURIMI」と表記され、世界中で流通しています。
このため全世界のスケソウダラの水揚げの大部分を占めるアメリカ産やロシア産などのすり身の輸入価格高騰が続いている状態です。

全国の加工業者で作る日本かまぼこ協会が去年124社を対象にしたアンケート調査では、実に8割の会社が商品の値上げや内容量の変更をしていました。日本かまぼこ協会・下村全宏会長は「採算割れや経営苦境が続き、メーカーの自助努力を超えている」とコメントしています。

資源回復に向けた対策は

こうした中、資源回復に向けた研究が行われています。北海道大学の桜井泰憲名誉教授は、これまで明らかになっていなかったスケソウダラの幼魚の生態を明らかにして、成長に適した環境を人工的に整備することで、資源の回復につなげようとしています。
桜井教授は、実験水槽の中に岩場や砂地などが広がった海底の様子を再現しました。水槽にスケソウダラの幼魚を放したところ、岩場に集まりやすいことがわかりました。桜井教授はこの特徴を生かして漁場を人工的に整備すれば、スケソウダラが成長しやすくなり、資源の回復につながるのではないかと考えています。

北大・桜井素憲名誉教授
「温暖化という厳しい環境の中、生き残ったスケソウダラがしっかり成長できるように環境を整備しておくことが重要だ。今後、海でも同様の実験をして効果を検証したい」

全世界で問題になっている地球温暖化は、北海道の漁業に、そして、私たちが囲むおでんの鍋に、大きな影響を及ぼしていました。

2020年2月19日放送

担当:高杉北斗記者

次回は、焼き魚の定番 #ホッケ。ホッケも資源量が減っています。回復をのため漁業者が始めた資源管理の方法とは

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