NHK札幌放送局

ハスカップとともに生きる

ほっとニュースweb

2021年9月6日(月)午後2時37分 更新

「またここからスタートだな」
去年秋、ようやく土砂の撤去が終わり新しいハスカップの苗を植えた農家がいます。胆振東部地震で大きな被害を受けたハスカップ。厚真町の特産です。再び収穫ができるようになるまでは、およそ10年。それでもハスカップとともに生きることを選んだ男性の決意です。

惚れ込んだハスカップ栽培

ハスカップ農家の土居元さん。

17年前、祖父のハスカップ畑を引き継ぎました。

札幌で別の仕事をしていた土居さん、それまで農作業の経験はほとんどありませんでした。

慣れない畑仕事。予期せぬ天候。

先輩農家の助けも借りながら、試行錯誤を繰り返し、10年以上かけて美味しいハスカップを厳選し、育ててきました。

土居さんは、収穫体験で訪れるお客さんに直接ハスカップの説明をして、味わってもらうことがなによりの楽しみでした。

毎年7月の収穫シーズンには、地元だけでなく札幌など町外からも多くのお客さんが訪れていました。

大切な木が・・・

3年前の9月6日。

土居さんは自宅で大きな揺れに襲われました。

幸い妻や子どもは無事でした。

畑は大丈夫だろうか。

夜が明けて周囲の安全を確認してからハスカップ畑の様子を見に行くことにしました。

すぐに車に乗り込みましたが、道路が陥没したり、土砂が流れ込んでいてなかなか畑に近づくことはできません。

ようやく農園にたどり着いた時、目を疑うような光景が飛び込んできました。

畑の至る所に地割れができ、ハスカップが茶色い土砂に覆われていました。

土砂が流れ込んだハスカップ畑

2000本のうち、およそ200本が土砂に埋まっていました。

土居さんが10年手塩にかけて育て、成木目前まで育ったハスカップの木でした。

少しずつ前に・・・

去年5月。

ようやく土砂をすべて撤去することができました。

復旧まで2年の歳月がかかりました。

復旧したハスカップ農園

ことし6月、ハスカップの収穫を取材させてもらいました。

土居さんは実ったハスカップを見つめながら、一つ一つ丁寧に収穫していました。

「生のハスカップを食べたほうが、本当のハスカップを楽しめる」

実際に生の実を食べさせてもらうと、甘酸っぱい、苦いなどさまざまな味がしました。

小さなハスカップの実 甘酸っぱい

さらに土居さんは、地震の後新たに植えたハスカップの苗木を見せてくれました。

これまで400本ほどの苗木を植えました。

この苗木から収穫できるようになるまでには10年かかります。

土砂崩れの起きた畑は火山灰の混じった土が流れ込み、土質がかわってしまい、ハスカップが無事に育つ保証はありません。

新しく植えたハスカップの苗木

それでも土居さんは、根気強く、ハスカップを育てていきたいと考えています。

土居元さん
「そこで止まってても気持ちが止まっててもいけないと思う。少しずつ前進してそれがみんなに伝わるのがいいかなと思っています。またここからスタートだなと思っています」

地震の前のように体験農園で多くの人に厚真のハスカップを楽しんでもらうことが土居さんの目標です。

「ハスカップは復興のシンボルと言うとちょっと大げさかもしれない。ですがやはり震災とともにいまこのかたちがある。私はハスカップとともにあるのでまた頑張っていきたい」

土居さんは、小さな実に復興への思いをこめてすこしずつ前に進んでいます。

               取材・NHK苫小牧支局 地吹顕太朗カメラマン

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