NHK札幌放送局

災害への備え、プロに聞いてみた

ほっとニュースweb

2021年3月12日(金)午後0時34分 更新

東日本大震災から10年。みなさん、災害の備え、どうしていますか? 水や食料は必要だけど、何をどれだけ用意すればいいの? 必要な物を全て詰め込んだら、重くて持ち出せないのでは? いざ備えようにも、分からないことばかり。悩んでいてもしかたがないので、防災のプロに教えてもらいました! (札幌局記者・飯嶋千尋、キャスター・太細真弥)

何を持ち出すかは厳選して

災害への備え、必要だと分かっていても、いざというときに何を準備すればいいの?教えてもらったのは、日本赤十字社北海道支部で防災教育を担当している原田由美さんです。

まず、女性が避難する際に持ち運ぶことが出来る重さは、だいたい5キロが限度。非常用の持ち出し袋は、中身を厳選するのがポイントだそうです。水や食料のほか、持ち出し袋に入れることを特に検討してほしい物をあげてもらいました。

  • 紙おむつや生理用品

東日本大震災などの大きな災害が起きた際、足りない状態が続いたのが、紙おむつや生理用品。避難生活の長期化に備えて、下着や肌着を用意するのもお勧めだそうです。

  • 薬の記録

お年寄りはいくつもの薬を服用していることが多いため、数日分の薬とお薬手帳を持っていると安心です。
でも、お薬手帳はふだん持ち歩いているので、防災用の持ち出し袋に入れておけないのでは?
そう思ったあなた!そんな時は、薬と一緒に薬局からもらう写真付きの薬の説明書を入れたり、お薬手帳に書かれていることを写真に撮っておいたりすると、避難先で薬をもらう時に役立ちます。

  • 小銭も忘れずに

停電で電子マネーやクレジットカードが使えない場合に備えて現金を用意しておくこと。特に忘れがちなのが小銭です。携帯電話がつながりにくくなって、連絡手段が公衆電話だけという時のために、十円玉や百円玉などを用意しておきましょう。

持ち出し袋に靴を入れる?と、ちょっと意外でしたが、入れておくと安心なのが靴。あわてて家から飛び出したら素足だったということも多いそうで、足をガラスの破片などから守るのに必要になります。また、冬の避難所は足元が冷える場合もあるので、スリッパよりも靴がいいそうです。特に数時間はいていても疲れない、スニーカーがおすすめです。

  • マスクや消毒用アルコール、体温計

最近は、新型コロナウイルスなどの感染対策のため、マスクや消毒用アルコール、それに体温計もあると、他の人と使い回さずに済むので安心です。

  • タオル

タオルは身体を拭いたり、けがをしたところをおさえたりと、さまざまな使い方ができます。ただ、同じ大きさのものを何枚も入れるのではなく、ハンカチやフェイスタオル、バスタオルなど大きさの違う物を用意したほうがいいそうです。

こうしてみると、必要なものはいっぱいありますね…。しかも、一度そろえれば終わり、ではないんです。食品の賞味期限が切れたり、季節ごとに必要な物が変わったり。そこで、半年ごとにチェックすることも必要になります。
原田さんによりますと、北海道の皆さんは、タイヤ交換をする時期がちょうどいいそうです。

実は、避難所で配られる物も

避難の際に必要な物を聞いていると、「必要な物がたくさんあって迷いますよね、でも実は…」と話を続けた原田さん。
見せてくれたのは、持ち運びやすそうなバッグ。日本赤十字社では、避難してきた人に配布する「緊急セット」を用意しているそうです。中には、ウエットティッシュや絆創膏などのほか、懐中電灯や携帯ラジオなども入っています。

また、避難生活中は特に身体を休めることが重要。「安眠セット」として、耳栓やアイマスク、枕などを1つの袋にまとめて配っています。

「自分の身は自分で守るつもりで備えることは大切ですが、万が一、着の身着のままで避難することになったとしても、こうした物を活用してくださいね」と教えてくれました。

自宅で避難生活を送る備えも

ここまで、災害で避難する際の持ち物について見てきましたが、救助に時間がかかったり、胆振東部地震のように停電が続いたりした場合に、自宅で過ごすための備えも大切です。

まず、食材や水は1週間分を目安に常備します。賞味期限が切れないように、食べては補充、を繰り返すといいそうです。
実際の量ですが、水は1人1日3リットル必要として、1週間分はこのようになります。

3リットル×7日×(世帯の人数)=(水の備蓄量)

1人だけでも水21リットル!そんなに大量に備蓄できるの?と心配になりますが、原田さんは、「非常食」と言われる特別な物を備蓄するのではなく、ふだんの生活で食べることができ、備蓄にもなる、ちょっとした工夫を教えてくれました。

①冷凍庫に食品を詰めておいて、日々の食卓に活用。停電時には自然解凍されて、そのまま食べられる。
②レトルト食品は常時ストック。
③米は無洗米。そのままポリ袋に米と水を入れれば、水を大量に使わずに米が炊ける。

そして、冷たいものばかり食べ続けるのも心が折れますよね。そんな時にカセットコンロがあると、レトルト食品を温めたり、米を炊いたりすることができます。

災害時の知恵「ホットタオルの作り方」

ここで1つ、原田さんから、覚えておくと災害時に役立つアイデアを教えてもらいました。
災害時は、シャワーが使えなかったり、大量のお湯を沸かすこともできなかったりして、体を清潔に保つのにも苦労します。そんなときでも、少ないお湯でホットタオルを作ることができるんです!

用意するもの
ポリ袋、フェイスタオル、バスタオル、沸騰したお湯(100~120ml、紙コップ半分程度)

つくりかた
①ポリ袋にフェイスタオルを入れる。
②袋の中のタオルにお湯をまんべんなくかける。
③袋ごとバスタオルで包み、揉み込む(中は熱いので注意を)。
④できあがり。

こんな少ないお湯で足りるのかしら?と思っていましたが、揉み込むことでお湯がタオル全体に行き渡り、ホカホカのタオルができてびっくり!ふだんの生活でも使えそうです。

AIが教えてくれた!

色々とご紹介してきましたが、必要なものがたくさんあって、用意してみても、これで大丈夫か不安になりそうです。でも大丈夫!自宅の防災用品に足りないものなどを、AIがアドバイスしてくれるサービスがあるんです。ちなみにこれも、日本赤十字社の取り組みです。

アドバイスを受けるには、
①備蓄した防災グッズを写真に撮る。
②ツイッターの本文に「#AIで防災グッズ点検」「@JRCS_PR」と書き込み、①の写真とともに投稿。

これだけで、アドバイスが返信されてきます。簡単!

試しに、我が家の防災用の持ち出し袋の写真を投稿してみたら、「肌着だけでも数日分あると便利」「感染症対策もふまえて持ち出す物をチェックして」といった返信が届きました。この取り組み、3月末まで行われているそうです。

気持ちが大事、まずは心構えを

「災害への備え」と一口に言っても、考えないといけないことがたくさんあるなぁ…と感じてしまいますよね。でも原田さんは、「何から用意しようか」と考え、心構えをするだけでも、“災害への備え”の第一歩になるといいます。

原田由美さん
「災害時の備えは物資の面も大切ですが、『どうしようか』と考える意識も大切です。何が必要か家族で話し合って、いざというときに備えてください」

“災害は忘れたころにやってくる”と言われます。私も忘れないうちに、できることからコツコツと始めてみようと思います。

2021年3月9日放送

関連情報

まるで異世界!?湖から聞こえるナゾの音

ほっとニュースweb

2021年1月6日(水)午後1時05分 更新

“人犬一体”で守り抜く! 道警の警備犬

ほっとニュースweb

2021年8月3日(火)午後6時12分 更新

ハスカップとともに生きる

ほっとニュースweb

2021年9月6日(月)午後2時37分 更新

上に戻る