NHK札幌放送局

世界が求む ディープインパクトの血統

おはよう北海道

2019年3月20日(水)午前11時38分 更新

北海道が産んだ名馬「ディープインパクト」。2006年の引退から10年以上がたちました。いま現役時代とは別の理由で世界中から注目を集めています。

日本の名馬 最高峰レースで初の快挙

競馬の本場イギリス。
200年以上の歴史を持つ最高峰のレースで、ある一頭の馬が人気を集めました。

「サクソンウォリアー」。北海道安平町生まれのサラブレッドです。

日本生まれの馬として初優勝。父親はあのディープインパクトです。サクソンウォリアーの勝利は世界に大きな衝撃を与えました。

いま、ディープインパクトの血を求める問い合わせが世界中から殺到しています。種付け料は、一回4千万円ですが・・・

フランスのエージェントからは、「金額問わず」となっています。さらにディープインパクトの子どもはいないかなど、舞い込むオーダーの種類はさまざまです。

問い合わせだけにとどまらず、イギリスからは一頭のメス馬が送られてきました。送られてきた馬はなんと・・・

エリザベス女王の所有する馬です。ディープインパクトが種付けをして、おなかの中には子どもを宿していました。

「女王陛下の方から(種付け)のオファーがありました。私どもも光栄なこと。もともとは王侯貴族が始めたスポーツでありゲームであるので、認められたというのは本当に意義のあることだと思います」(社台コーポレーション 海外交渉担当 細田 直裕さん)

世界が欲しがる そのわけは?

なぜディープインパクトの血統はこんなにも求められているのでしょうか。ヨーロッパ最大級の規模を誇る生産者を訪ねてみました。

アイルランドに本拠地をおく、生産者団体「クールモア」。
優れた血統をもつ馬をそろえ、各国の大きなレースに勝利し続けています。

サクソンウォリアーも安平町で生まれたあと、クールモアが育成し競走馬として磨き上げましたが、ここ数年は課題がありました。

実力のある特定の馬の子どもばかりが増えてしまったのです。血統が似通って交配が難しくなったことで、将来的な競走馬の生産に懸念が生じました。

そこで彼らが目をつけたのが、ディープインパクト。競走馬としての輝かしい実績はもちろん、ヨーロッパにはほぼいない血統であったことが決め手となりました。

「ディープの父はアメリカ産で欧州にはあまりない血統だ。日本で大きな成功を収め、フランスでの凱旋門賞でも勝てるはずだった。ディープの子どもの中には欧州最高峰のレースに勝つ馬も出てきた。私たちは彼のすばらしさをよく分かっているのだ」(クールモア セールス担当 デビット オラフリンさん)

クールモアは今年、第二のサクソンウォリアーの生産を目指し、優秀なメス馬を10頭も安平町へ送り込んでいます。ディープインパクトの血統に未来を託そうとしているのです。

「引き続き、多くのメス馬をディープのもとへ送り込む予定だ。もっとも優秀な種馬こそが私たちのビジネスには必要なのだ」(クールモア セールス担当 デビット オラフリンさん)

日本で育成した馬を勝利へ

ディープインパクトの血統に世界からの注目が集まる日本の競馬界。しかし、長年に渡る課題がありました。

育成の技術が、世界に比べて遅れをとっていたのです。日本はかつてサラブレッドの“墓場”とまでやゆされてきました。

その評価を覆すために努力し続けてきた人がいます。
ディープインパクトの育成も手掛けた、中島文彦さんです。

中島さんは、ディープの血をひくサクソンウォリアーの活躍を複雑な思いで見ていました。サクソンウォリアーを競走馬として完成させたのはヨーロッパだという現実を認めざるを得なかったからです。

「(活躍は)以前にはとても考えられないことでしたし、血統が積み重なってここまできたと思いますけども。サクソンウォリアーも世界の大手のグループでしっかりとした管理をされて走ったということですので」(ノーザンファーム 場長 中島 文彦さん)

中島さんはいま、徹底的な管理のもと世界最高峰で勝負できる馬の育成に挑んでいます。

月2回行われる、およそ200頭もの馬の育成チェック。獣医である中島さん自ら、一頭一頭馬体を確かめます。

「どうだい?」(中島さん)
「昨日寝違えて、きょうだけ休んでます。痛みはだいぶ取れてる」

中島さんは調教スタッフとともに、馬が示すどんな細かなサインも見逃さないよう担当者と話し合います。

「はじめに僕たちがどう感じているか、思っているかを聞いてくれる。普段持っている先入観を外して客観視してもらえるのは僕らにとっても新しい視点になる」(調教スタッフ 伊藤 隆行さん)

中島さんが掲げているのは、日本生まれのサラブレッドを日本で育成し、世界最高峰のレースに勝つこと。この目標が達成されて初めて、世界と肩を並べることができると考えています。

「種付けに来ていただいて喜んでいるようでは、向こうにとってもノーザンファームはライバルじゃないと思いますので。さらにみんなで団結して、勝てるように頑張っていきたいです」(ノーザンファーム 場長 中島 文彦さん)

(2019年3月2日放送)

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